その一 幕末初日
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そんなこんなしているうちに、駕籠は大きな屋敷の前に着いた。
ここかな、薩摩藩邸って。
この建物、長州藩邸よりさらに大きい感じがする…。
なんかちょっと南国っぽい香りもするけど…庭に花でも咲いてるのかな。
門を入ると、いろんな人が大勢働いているのが見える。
楽しそうにおしゃべりをしながら、でも手は止めずに、皆てきぱきと働いている。
なんか皆、明るそうだなあ…南の方の人が多いから…とか、そんなことはないか。
そろそろ夕方だから、皆、忙しいのかも。
大久保さんは、歩調をゆるめずに正門をくぐった。
門番さんがいたけど、大久保さんは、いかにも向こうがどくのが当然って態度だったし、実際そのとおりだった。
「今、帰った」
と、声をかける。
あれ。
おしゃべりがぴたりと止んだ。
突然、空気が張り詰めたような感じ。
夕方で、ちょうど日が翳ったせいかもしれないけど…。
藩邸に一歩入った途端、大久保さんの背中に張り付いた影が急に大きくなった気がした。
何というか…。
皆が居ずまいを正して、大久保さんを見てる。
怖がってるのとは違うんだけど…。
なんか、すごい偉い人が帰って来て、緊張してます…みたいな。
私、大久保さんのこと、単なる偉ぶったお兄さんと思ってたけど…。
実は本当に偉かったの…かな…。
そんな人のお世話になって、いいんだろうか…。
駕籠が下ろされて、駕籠かきさんが駕籠を開けて降ろしてくれた。
大久保さんはちらりと私を見ただけで、私が着いて来るのが当然って顔して、大きな建物のひとつにずんずん入って行ってしまう。
なんか、りっぱな建物だなあ…どこもかしこも。
思わずきょろきょろしかけたけど、大久保さんに置いて行かれそうになって、あわてて追いかけた。
お屋敷に入ると、外よりもさらにいっぱい人がいて、どぎまぎしてしまった。
大久保さんが廊下を通っていくと、女中さん達が横によけて、ずらりと並んでお辞儀した。
なんかお侍さんも多いなあ…あれ、私、注目浴びてる?
スカートと髪の毛…やっぱり見られてるよね。そんなに珍妙かなあ…。
大久保さんは、そんな女中さんたちの中の、いちばん偉そうな人と二言三言、なんか話すと、ちらりと私を見て、さらにずんずん奥へ進んだ。
ふっとい柱の並ぶとことか、渡り廊下とか、いろんなところを通った。
「ここだ」
と、大久保さんに言われて入った部屋は、長州藩邸で通された部屋より、一回り大きかった。
なんか…また、すごい広い部屋に通されちゃったなあ…。
あれ。さっきの花の香りが強くなってる…。
私はつい、香りに誘われて、庭に出てみた。
うわあ…。
庭は、花でいっぱいだった。
その中でも、縁側のすぐ先に白い大きな花が並んで咲いているのが、もう、ものすごくきれいだった。
「しばらくこの部屋を使うといい」
と、大久保さんは、いかにも事務連絡って口調で言った。
「ありがとうございます。なんかすごくきれい」
「単純なやつだな」
…どうしてこう嫌味ばかり言うんだろう、この人は。
ここかな、薩摩藩邸って。
この建物、長州藩邸よりさらに大きい感じがする…。
なんかちょっと南国っぽい香りもするけど…庭に花でも咲いてるのかな。
門を入ると、いろんな人が大勢働いているのが見える。
楽しそうにおしゃべりをしながら、でも手は止めずに、皆てきぱきと働いている。
なんか皆、明るそうだなあ…南の方の人が多いから…とか、そんなことはないか。
そろそろ夕方だから、皆、忙しいのかも。
大久保さんは、歩調をゆるめずに正門をくぐった。
門番さんがいたけど、大久保さんは、いかにも向こうがどくのが当然って態度だったし、実際そのとおりだった。
「今、帰った」
と、声をかける。
あれ。
おしゃべりがぴたりと止んだ。
突然、空気が張り詰めたような感じ。
夕方で、ちょうど日が翳ったせいかもしれないけど…。
藩邸に一歩入った途端、大久保さんの背中に張り付いた影が急に大きくなった気がした。
何というか…。
皆が居ずまいを正して、大久保さんを見てる。
怖がってるのとは違うんだけど…。
なんか、すごい偉い人が帰って来て、緊張してます…みたいな。
私、大久保さんのこと、単なる偉ぶったお兄さんと思ってたけど…。
実は本当に偉かったの…かな…。
そんな人のお世話になって、いいんだろうか…。
駕籠が下ろされて、駕籠かきさんが駕籠を開けて降ろしてくれた。
大久保さんはちらりと私を見ただけで、私が着いて来るのが当然って顔して、大きな建物のひとつにずんずん入って行ってしまう。
なんか、りっぱな建物だなあ…どこもかしこも。
思わずきょろきょろしかけたけど、大久保さんに置いて行かれそうになって、あわてて追いかけた。
お屋敷に入ると、外よりもさらにいっぱい人がいて、どぎまぎしてしまった。
大久保さんが廊下を通っていくと、女中さん達が横によけて、ずらりと並んでお辞儀した。
なんかお侍さんも多いなあ…あれ、私、注目浴びてる?
スカートと髪の毛…やっぱり見られてるよね。そんなに珍妙かなあ…。
大久保さんは、そんな女中さんたちの中の、いちばん偉そうな人と二言三言、なんか話すと、ちらりと私を見て、さらにずんずん奥へ進んだ。
ふっとい柱の並ぶとことか、渡り廊下とか、いろんなところを通った。
「ここだ」
と、大久保さんに言われて入った部屋は、長州藩邸で通された部屋より、一回り大きかった。
なんか…また、すごい広い部屋に通されちゃったなあ…。
あれ。さっきの花の香りが強くなってる…。
私はつい、香りに誘われて、庭に出てみた。
うわあ…。
庭は、花でいっぱいだった。
その中でも、縁側のすぐ先に白い大きな花が並んで咲いているのが、もう、ものすごくきれいだった。
「しばらくこの部屋を使うといい」
と、大久保さんは、いかにも事務連絡って口調で言った。
「ありがとうございます。なんかすごくきれい」
「単純なやつだな」
…どうしてこう嫌味ばかり言うんだろう、この人は。