その一 幕末初日
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「遅いっ!」
長州藩邸の正門の前に着くと、案の定、大久保さんはすごい怒った顔で、腕を組んでこちらを睨んでいた。
なんかこの人、いつも機嫌悪いよね。
だけど、私は、大久保さんより、後ろに立ってる人たちと大きな物に目を奪われた。
これって…。
時代劇でよく見るあれ、だよね?
「大久保さん、薩摩藩邸からわざわざ駕籠(かご)呼びよったんか?」
素直にびっくりした…って顔で、龍馬さんが言った。
やっぱ、駕籠か。
当たり前だけど、駕籠の実物を見るのは初めてだった。
だけど…なんかこれって、普通の時代劇に出てくるのと違うよね?
その駕籠は、なんか表面に、きらきら真珠色に光る細工でできた小さいお花の絵とか埋め込まれてて、赤い房飾りとかついてた。
とにかく、ものすごくデザインが可愛い。
駕籠かきの人たちも、時代劇みたいに裸じゃなくって、ちゃんと制服(なのかな?)とか着てるし。
桂さんが言った。
「これは、姫様が乗るような女駕籠ですね。うちのものより高価そうだ」
「なんだとっ!おまえは駕籠に乗りたかったのか。よし、今度来るまでに、うちの駕籠もしゅす張りにしておくぞ!」
と、高杉さん。
「いや、そういう問題ではなく…」
桂さんが、大久保さんを何だか不思議そうな目で見た。
「この駕籠…。まさかとは思いますが…天璋院様が京都に来たときにあつらえたという…あれじゃないでしょうね?」
「ほう、よく知っているな。
あの後、島津の姫御前を数回乗せた程度で、使っていなかったからな。
まあ、虫干しを兼ねて、こいつでも運んでやろうかと思って、呼んでみた」
と、大久保さんは何でもなさそうに言ったんだけど…。
「…天璋院様のお駕籠っスかぁ?」
「な…何ちゅう贅沢な…」
「くそっ…ま、負けた…」
「不遜な人だとは思っていましたが…ここまでやるとは…」
「おい、猫に小判どころじゃないぞ…」
残り五人は一斉にドン引きしたらしく、なんか顔が凍り付いてました。
慎ちゃんが言った。
「うー…もし姉さんが寺田屋に来るなら、俺達は一緒に歩いていくつもりだったんスけど…。
これじゃあんまり、差をつけられ過ぎっス。なんか悔しいっス」
武市さんがあきれたように言った。
「やれやれ。ゆうさんも不思議な人だ。これは相当、大久保さんに気に入られましたね」
「大久保さん、抜け駆けにもほどがあるぜよっ」と龍馬さん。
「お前たち、横合いからごちゃごちゃと、うるさいぞ!」
と、大久保さんはイラついたように言った。
「小娘、何をぐずぐずしとる。さっさと乗れ!」
「は、はいっ!」
私は、あわてて皆の方に向き直って、お辞儀をした。
「あ、あのっ。皆さん、今日はいろいろとお世話になりました。ありがとうございます」
「…また、何かあったら知らせて来い」
と、以蔵がぼそっと言った。
なんのかんの言って、やさしいなあ…。
やっぱ、寺田屋に行きたかったよぉ…。
「ぼさっとするなっ」
と、大久保さんが追い打ちをかける。
うー、また叱られてしまった。
やっぱ、薩摩藩邸に行くの、不安だよ…。
「あ、はいっ…。では皆さん、また」
私は、もう一回、皆にお辞儀をしてから、駕籠のカバーみたいなところを上げてみた。
わお。
この駕籠、中も可愛い。
このクッションとか…なんかお花の刺繍が、上品なのにキュンとしちゃう。
もしかして…だけど。
こんな可愛い駕籠…私のためにわざわざ呼んでくれちゃうなんて…。
大久保さんも、実はやさしい人なのかな?
長州藩邸の正門の前に着くと、案の定、大久保さんはすごい怒った顔で、腕を組んでこちらを睨んでいた。
なんかこの人、いつも機嫌悪いよね。
だけど、私は、大久保さんより、後ろに立ってる人たちと大きな物に目を奪われた。
これって…。
時代劇でよく見るあれ、だよね?
「大久保さん、薩摩藩邸からわざわざ駕籠(かご)呼びよったんか?」
素直にびっくりした…って顔で、龍馬さんが言った。
やっぱ、駕籠か。
当たり前だけど、駕籠の実物を見るのは初めてだった。
だけど…なんかこれって、普通の時代劇に出てくるのと違うよね?
その駕籠は、なんか表面に、きらきら真珠色に光る細工でできた小さいお花の絵とか埋め込まれてて、赤い房飾りとかついてた。
とにかく、ものすごくデザインが可愛い。
駕籠かきの人たちも、時代劇みたいに裸じゃなくって、ちゃんと制服(なのかな?)とか着てるし。
桂さんが言った。
「これは、姫様が乗るような女駕籠ですね。うちのものより高価そうだ」
「なんだとっ!おまえは駕籠に乗りたかったのか。よし、今度来るまでに、うちの駕籠もしゅす張りにしておくぞ!」
と、高杉さん。
「いや、そういう問題ではなく…」
桂さんが、大久保さんを何だか不思議そうな目で見た。
「この駕籠…。まさかとは思いますが…天璋院様が京都に来たときにあつらえたという…あれじゃないでしょうね?」
「ほう、よく知っているな。
あの後、島津の姫御前を数回乗せた程度で、使っていなかったからな。
まあ、虫干しを兼ねて、こいつでも運んでやろうかと思って、呼んでみた」
と、大久保さんは何でもなさそうに言ったんだけど…。
「…天璋院様のお駕籠っスかぁ?」
「な…何ちゅう贅沢な…」
「くそっ…ま、負けた…」
「不遜な人だとは思っていましたが…ここまでやるとは…」
「おい、猫に小判どころじゃないぞ…」
残り五人は一斉にドン引きしたらしく、なんか顔が凍り付いてました。
慎ちゃんが言った。
「うー…もし姉さんが寺田屋に来るなら、俺達は一緒に歩いていくつもりだったんスけど…。
これじゃあんまり、差をつけられ過ぎっス。なんか悔しいっス」
武市さんがあきれたように言った。
「やれやれ。ゆうさんも不思議な人だ。これは相当、大久保さんに気に入られましたね」
「大久保さん、抜け駆けにもほどがあるぜよっ」と龍馬さん。
「お前たち、横合いからごちゃごちゃと、うるさいぞ!」
と、大久保さんはイラついたように言った。
「小娘、何をぐずぐずしとる。さっさと乗れ!」
「は、はいっ!」
私は、あわてて皆の方に向き直って、お辞儀をした。
「あ、あのっ。皆さん、今日はいろいろとお世話になりました。ありがとうございます」
「…また、何かあったら知らせて来い」
と、以蔵がぼそっと言った。
なんのかんの言って、やさしいなあ…。
やっぱ、寺田屋に行きたかったよぉ…。
「ぼさっとするなっ」
と、大久保さんが追い打ちをかける。
うー、また叱られてしまった。
やっぱ、薩摩藩邸に行くの、不安だよ…。
「あ、はいっ…。では皆さん、また」
私は、もう一回、皆にお辞儀をしてから、駕籠のカバーみたいなところを上げてみた。
わお。
この駕籠、中も可愛い。
このクッションとか…なんかお花の刺繍が、上品なのにキュンとしちゃう。
もしかして…だけど。
こんな可愛い駕籠…私のためにわざわざ呼んでくれちゃうなんて…。
大久保さんも、実はやさしい人なのかな?