その一 幕末初日
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「あーっ、理屈はどうでもいいきに。
わしは、大久保さんがゆうさんを独り占めしようっちゅう魂胆が気に入らんぜよ」
「ゆうは俺の女にすると決めたんだ。そう簡単に渡せるかっ」
…なんかよくわかんないけど…。
さっきから、妙にモテてる気がするんですが、ここって、若い女の子はヨイショしないといけないとかって習慣があるのかな。
そう言えば、ここに来るまでの町の中でも、なんか異常にモテてるって感触はしてた。
つか…ここまで歩いて来た道で、外にいるのは男の人ばかりだった。それも若い男性ばかり。
女の人は、店員さんっぽい人を数人見ただけで、女性の通行人はほとんどいなかった。
若い男の人たちは皆、暇そうというか…仕事なくて昼間っからぶらぶらしてる感じだった。すこしにぎやかな道の角には、何人もの男の人たちがたむろしてて…。
んで、私が通ると、すれ違いざまに、別嬪さんとか、なんてきれいだとかって、誰かが一声かけてくる。
何それって思ったけど、まだそれはいい方だった。
こう…セーラー服の襟元とか…スカートのすそとか…じーっと、X線みたいな目で見てる人も…いたんだよね。
あんな目…なんかちょっと、殺気…っていうのかな…そんな目をする男の人たちって…確かに現代にはいないよ。
やっぱりここって…違う時代なのかなあ…。
よくわかんないけど、この町には、若い女の子がほとんどいなくて、物珍しがられてる感じはする。
桂さんが言った。
「やはりここは、ゆうさんの気持ちがいちばん大事でしょう。ゆうさん、君は、どうしたいんだね?」
おお、唯一の常識人。
そりゃやっぱ、薩摩藩邸以外がいいですって、即答しようかと思ったら、大久保さんに先に言われた。
「まあ、この中の誰かと、重ねて四つに斬られたいというなら、どこに行こうが止めんがな」
うっ…。
「その間男のような言われようは心外ですが」と、武市さん。
「こいつ一人ぐらい、俺達で守れる」と、以蔵が怒ったように言った。
「そうですよ、姉さん。男として、姉さんのことは必ず守りますから、安心してください」
と、慎ちゃんも珍しく、真剣な顔で言った。
「守る…?」
私は、ふと思った。それってつまり…。
「私はこいつらといるとお前が危険だとは言ったが、逆に言えば、こいつらも、お前を守ろうとする分、自分の身を危険にさらすというわけだ」
と、大久保さんが、こちらを見もせず、お茶を飲みながら、なんかすごく冷たい口調で言った。
冷たいけど…。
確かに、言ってることは正しい。
私…。
それは、いやだと思った。
今日一日だけで、こんなに親切にしてもらったのにさ。
これ以上、いっぱい世話をかけるだけじゃなくて、皆を危険にまでさらすなんて…できないよ。
「どうする?小娘」
あいかわらず、こっちを見ずに、大久保さんが言う。
なんか…このまま言いなりになっちゃうのって、くやしい。
できることなら、お茶でもひっかけてやりたいとこだけど…。
長州藩邸でそんなことしたって、どうせ桂さんあたりが掃除させられるんだろうしなあ。
「私、大久保さんみたいな失礼な人にお世話してもらうのなんか、ぜーったい嫌です!」
「安心しろ。小娘の世話係に、女中くらいはつけてやる」
そういう意味じゃないっ!
「では決まりだな」
と、大久保さんが笑った。
なんかむかつく。
けど…やっぱり大久保さんが正しいんだろうな。
私、たぶん、薩摩藩邸に行くのが、いちばん皆に迷惑かかんないんだと思う。
「…わかりました…」
私は、渋々言った。
なんか、ドナドナか赤い靴でも歌いたい気分だったけど。
わしは、大久保さんがゆうさんを独り占めしようっちゅう魂胆が気に入らんぜよ」
「ゆうは俺の女にすると決めたんだ。そう簡単に渡せるかっ」
…なんかよくわかんないけど…。
さっきから、妙にモテてる気がするんですが、ここって、若い女の子はヨイショしないといけないとかって習慣があるのかな。
そう言えば、ここに来るまでの町の中でも、なんか異常にモテてるって感触はしてた。
つか…ここまで歩いて来た道で、外にいるのは男の人ばかりだった。それも若い男性ばかり。
女の人は、店員さんっぽい人を数人見ただけで、女性の通行人はほとんどいなかった。
若い男の人たちは皆、暇そうというか…仕事なくて昼間っからぶらぶらしてる感じだった。すこしにぎやかな道の角には、何人もの男の人たちがたむろしてて…。
んで、私が通ると、すれ違いざまに、別嬪さんとか、なんてきれいだとかって、誰かが一声かけてくる。
何それって思ったけど、まだそれはいい方だった。
こう…セーラー服の襟元とか…スカートのすそとか…じーっと、X線みたいな目で見てる人も…いたんだよね。
あんな目…なんかちょっと、殺気…っていうのかな…そんな目をする男の人たちって…確かに現代にはいないよ。
やっぱりここって…違う時代なのかなあ…。
よくわかんないけど、この町には、若い女の子がほとんどいなくて、物珍しがられてる感じはする。
桂さんが言った。
「やはりここは、ゆうさんの気持ちがいちばん大事でしょう。ゆうさん、君は、どうしたいんだね?」
おお、唯一の常識人。
そりゃやっぱ、薩摩藩邸以外がいいですって、即答しようかと思ったら、大久保さんに先に言われた。
「まあ、この中の誰かと、重ねて四つに斬られたいというなら、どこに行こうが止めんがな」
うっ…。
「その間男のような言われようは心外ですが」と、武市さん。
「こいつ一人ぐらい、俺達で守れる」と、以蔵が怒ったように言った。
「そうですよ、姉さん。男として、姉さんのことは必ず守りますから、安心してください」
と、慎ちゃんも珍しく、真剣な顔で言った。
「守る…?」
私は、ふと思った。それってつまり…。
「私はこいつらといるとお前が危険だとは言ったが、逆に言えば、こいつらも、お前を守ろうとする分、自分の身を危険にさらすというわけだ」
と、大久保さんが、こちらを見もせず、お茶を飲みながら、なんかすごく冷たい口調で言った。
冷たいけど…。
確かに、言ってることは正しい。
私…。
それは、いやだと思った。
今日一日だけで、こんなに親切にしてもらったのにさ。
これ以上、いっぱい世話をかけるだけじゃなくて、皆を危険にまでさらすなんて…できないよ。
「どうする?小娘」
あいかわらず、こっちを見ずに、大久保さんが言う。
なんか…このまま言いなりになっちゃうのって、くやしい。
できることなら、お茶でもひっかけてやりたいとこだけど…。
長州藩邸でそんなことしたって、どうせ桂さんあたりが掃除させられるんだろうしなあ。
「私、大久保さんみたいな失礼な人にお世話してもらうのなんか、ぜーったい嫌です!」
「安心しろ。小娘の世話係に、女中くらいはつけてやる」
そういう意味じゃないっ!
「では決まりだな」
と、大久保さんが笑った。
なんかむかつく。
けど…やっぱり大久保さんが正しいんだろうな。
私、たぶん、薩摩藩邸に行くのが、いちばん皆に迷惑かかんないんだと思う。
「…わかりました…」
私は、渋々言った。
なんか、ドナドナか赤い靴でも歌いたい気分だったけど。