その五 一週間後

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「けんど、大久保さんも忙しい人と思っちょったが…。
ゆうさんのことにはいくらでも時間を取れると見ゆるのう」
と龍馬さんは笑った。

「もうひどいんですよ。毎日、何か特訓させられるんですもん」
と、私は訴えた。
「それ以外にも、今日とかだったら、これからお習字とお茶と着付けのお稽古が入ってるんです」

以蔵が、目を丸くした。
「…過保護だ」
「ごっつう過保護ちや」

「…くだらん話はもういい。さっさと本来の用件に入らんか」

「そうそう。忘れちょったわけではおらんきに」
と、龍馬さんは持ってきた荷物を私の方に押し出して、中を開けた。

「あ…かわいい」

そこには、子供向けのABCの絵本が何冊かと、学校教材の詰め合わせのようなものが入っていた。

私は、絵本のページをめくってみた。

A is for Apple.
B is for Boy.
C is for Cookie.
:

外国の子どもが、毎日の生活でふれるようなものが、きれいな挿絵でずらりと並んでいる。

私が喜んで絵本を眺めていたら、大久保さんが言った。

「やはり小娘は、その程度の英語ならば読むに不自由しないようだな」

「まあ、このくらいだったら…新聞とか読めって言われたら、辞書なしじゃ絶対無理だけど」


あれ?でもなんで私が英語読めるって気づいたんだろう?

そう聞いてみたら、
「見ていればわかる」
と言われた。

そういうもんかなあ…。よくわかんないけど。
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