その数刻後。

大久保さんに頼まれてた商品が届いたと言って、龍馬さんと以蔵が訪ねてきた。
…のはいいんだけど、ちょっとタイミングが悪かったかも。

「お邪魔するぜよ」
「…入るぞ」
と、二人が来たところで、ちょうど私はつんのめりかけていた。

「あっ、助けて…」
と言いつつ、前にすっ転び、思い切り以蔵の胸にすがりついてしまう。
以蔵の顔が、あっという間に真っ赤になった。

「以蔵っ!ゆうさんに何をしゆうが!」
「何を…こいつがいきなり…!」

「ご、ごめんなさいっ!」

「こら、小娘、いきなり何を抱きついとる!」
と、部屋の反対側から、大久保さんにも怒られる。

そこで龍馬さんが、状況に気づいた。
「お…大久保さん…ゆうさんのひざをしごきで縛って、何しちゅうじゃか?」
何を想像したのか、龍馬さんまで顔を赤くする。

「あ…あの…これはですね…」

「人聞きの悪い言い方をするな!小娘に、着崩れのせん歩き方を練習させておっただけだ!」

…そうなんですよね。
すっごいスパルタなんだけど。

「膝をつけて内股で歩けといくら言っても、大股でバタバタ歩くのを止めんから、体で覚えさせようとしただけだ」

いや…その言い方も、けっこうアブナイと思います。