その四 薩摩藩邸四日目
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なんか、もうごまかしようが無くなってきちゃって。
「あの…こんな話しても、絶対信じてもらえないと思うんですけど」
と言いながら、突然ここに来てしまったこと、なんか未来から来たんじゃないかって言われてるって話をした。
さすがに、皆の名前を出すのはまずい感じがしたので、そこは言わなかったけど。
「…ずいぶんとたいへんな目にあったんですね」
と、沖田さんはしみじみと言った。
えと…いきなり信じてくれてる?
「あの…変な嘘を言う子…とか、思わないんですか?」
「別に」
沖田さんは、なぜそんなことを言うのかと言いたげな様子で答えた。
「京都には昔から、天狗や大鷲にさらわれて来たとか、竹から生まれたかぐや姫とか、妙な話はいっぱいありますから」
…いや、なんかそれも違う気がするんですけど。
「それより…」
沖田さんはいたずらっぽく笑った。
「ゆうさんが家に帰りたいのはわかったけど。
それって、故郷がなつかしかったり、あちらの世界の皆が心配しているから、だけなんですか?」
「え?」
「何だか君は、さっきから…お世話になっているって人の話ばかりしている。
その人とうまくいかないから、ここにいたくないみたいに、僕には聞こえたんですけど」
「えっ…ええっ?」
いや…そんなことはないです。絶対…たぶん…ない。
沖田さんは、私の様子を見ながら、なんだかとても面白がっているような顔をした。
「ゆうさんは、ここに来たばかりで、何も仕事ができないとか、役に立たないって悩んでるみたいだけど…。
そんなの、できなくても大した問題じゃないですよ。
だって、突然ここに来たばかりなのに、それだけいろんな人と親しくなって、心配してもらえているんでしょう?
それって、すごい才能だと思う」
「さ…才能ですか?」
「そう。
大丈夫、何もできなくとも、仲間がいればなんとかなるものだから。
僕だって、京都に来て、色々戸惑うことばっかりだったけど、いい仲間がいたから、これまでやって来れたんです。
だから、ゆうさんも、きっとうまくやって行けますよ」
そう、自信たっぷりに沖田さんは言い切ると、にこにこと笑った。
い…いい人だ、やっぱり、この人。
なんだか、沖田さんの笑顔を見ていたら、私も、心が晴れるような気がしてきた。
その後、もう少し世間話をしてから、沖田さんとは別れた。
帰る途中で、ちょうど、奉公人の女の子とも行き会って。
今日発売の新作の練り切りを買いましたと自慢げに言うので。
女中さんたちと皆で食べるのが楽しみになって、私は機嫌よく藩邸に帰った。
「あの…こんな話しても、絶対信じてもらえないと思うんですけど」
と言いながら、突然ここに来てしまったこと、なんか未来から来たんじゃないかって言われてるって話をした。
さすがに、皆の名前を出すのはまずい感じがしたので、そこは言わなかったけど。
「…ずいぶんとたいへんな目にあったんですね」
と、沖田さんはしみじみと言った。
えと…いきなり信じてくれてる?
「あの…変な嘘を言う子…とか、思わないんですか?」
「別に」
沖田さんは、なぜそんなことを言うのかと言いたげな様子で答えた。
「京都には昔から、天狗や大鷲にさらわれて来たとか、竹から生まれたかぐや姫とか、妙な話はいっぱいありますから」
…いや、なんかそれも違う気がするんですけど。
「それより…」
沖田さんはいたずらっぽく笑った。
「ゆうさんが家に帰りたいのはわかったけど。
それって、故郷がなつかしかったり、あちらの世界の皆が心配しているから、だけなんですか?」
「え?」
「何だか君は、さっきから…お世話になっているって人の話ばかりしている。
その人とうまくいかないから、ここにいたくないみたいに、僕には聞こえたんですけど」
「えっ…ええっ?」
いや…そんなことはないです。絶対…たぶん…ない。
沖田さんは、私の様子を見ながら、なんだかとても面白がっているような顔をした。
「ゆうさんは、ここに来たばかりで、何も仕事ができないとか、役に立たないって悩んでるみたいだけど…。
そんなの、できなくても大した問題じゃないですよ。
だって、突然ここに来たばかりなのに、それだけいろんな人と親しくなって、心配してもらえているんでしょう?
それって、すごい才能だと思う」
「さ…才能ですか?」
「そう。
大丈夫、何もできなくとも、仲間がいればなんとかなるものだから。
僕だって、京都に来て、色々戸惑うことばっかりだったけど、いい仲間がいたから、これまでやって来れたんです。
だから、ゆうさんも、きっとうまくやって行けますよ」
そう、自信たっぷりに沖田さんは言い切ると、にこにこと笑った。
い…いい人だ、やっぱり、この人。
なんだか、沖田さんの笑顔を見ていたら、私も、心が晴れるような気がしてきた。
その後、もう少し世間話をしてから、沖田さんとは別れた。
帰る途中で、ちょうど、奉公人の女の子とも行き会って。
今日発売の新作の練り切りを買いましたと自慢げに言うので。
女中さんたちと皆で食べるのが楽しみになって、私は機嫌よく藩邸に帰った。