その四 薩摩藩邸四日目
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そのまままっすぐ藩邸に戻ろうと思ったんだけど…、つい、また例の神社に来てしまった。
あれからも、大久保さんは部下の人を使って、色々探してくれてるみたいだけど…。
やっぱり手がかりは見つからないらしくて。
だから、この神社に来ても、何かできるってことはないんだけれど…。
自然に足が向いてしまった。
カナちゃんとか、心配してるだろうなあ…。
ま、とりあえず、お参りしとこ。
お賽銭…しまった…どれが一番安い小銭か、わかんないよ。
私が賽銭箱の前で悩んでいたら、
「どうしたんですか?」
と、声をかけてくれた人がいた。
顔を上げると、私とそんなに年は違わないかなあ…という感じの人。腰に刀さしてるから、お侍さんだね。
「あれ?君は…」
「え?」
その人はにこにこしながら、三日前、珍妙な格好で歩いていましたよねと言った。
うっく…。
何か私、きっとご近所中に、珍妙な格好で歩いていた子って、噂されているんだろうな。
この時代って、テレビとかなくて町の話題とか少なそうだし、きっと何か月も珍妙な子って言われ続ける気がする。
その人はやさしく、小銭の種類をひとつひとつ教えてくれてから、
「この年頃の娘さんにしては、ずいぶんたくさんのお小遣いを持っているんですね。
僕にはいいですけど、他の人に紙入れの中身をそのまま見せない方がいいですよ。
物盗りや強請に狙われるかもしれない」
と、言った。
また、やってしまった…。
大久保さんに、私が外を歩いたら、不注意で殺されかねないって昨日怒られたばかりなのに…。
私が落ち込んでいたら、その人は、あわてて謝った。
「あ、すみません…。
つい、そっちの方に頭が働いてしまうな…。
いつも京都の治安維持の仕事ばかりやっているから、非番の日も何だか殺伐とした話題になってしまって。
娘さんを脅かすつもりじゃなかったんです」
「え…いえ、そんな…私こそ、せっかく教えてくれたのに…失礼な態度とってごめんなさい!」
私も急いで謝った。
「その…治安維持の仕事って…」
おまわりさん?あ、江戸時代にはそういうのないか。
「あ、すみません。僕は新選組の沖田と言います」
しんせんぐみ?おきた?
…なんか大久保さんが悪口言ってた気がするけど…そんな悪い人には見えないな、この人。
というか、すごいいい人っぽいんですけど。
「君の名前は?」
「あ…ゆうと言います」
って、教えちゃってよかったのかな?
「君は、僕の名前を聞いてもおびえないんだね」
「えっ…だって沖田さん、いい人そうですもん」
沖田さんの顔がぱっと輝いた。ほんとにうれしそうだ。
「京都に来てから、町の人にそんなことを言われたのは初めてです」
京都に来てから…?
あ…なんでこの人の話し方が、すごく親しみやすく感じるかわかった!
「沖田さん、東京…じゃないや…えーと…江戸の人でしょう?」
「え、ええ。それが何か?」
「なんか、微妙な発音がこっちの人と違うというか。すっごい懐かしい感じします」
数日前にはカナコとかと話してたのに、東京弁が懐かしいってのも変だけど。なんか、もう、あっちには戻れないって思ってたから。
「懐かしい…ですか?」
「はい!私、あっちの育ちで。親も祖父母もずーっと江戸なんです!なのに、なんか突然ぽーんとこっちに飛ばされてきちゃって。
すごい不安だったから、沖田さんの話し方聞いたらなんか安心したって言うか…」
「それは光栄ですけど…代々江戸っ子でも、一朱銀くらいのお金はわかりますよね?
それにぽーんと飛ばされて来たって…?」
うっ…。墓穴掘った。
「何か深い事情があるみたいですけど…よければ相談にのりますよ」
あれからも、大久保さんは部下の人を使って、色々探してくれてるみたいだけど…。
やっぱり手がかりは見つからないらしくて。
だから、この神社に来ても、何かできるってことはないんだけれど…。
自然に足が向いてしまった。
カナちゃんとか、心配してるだろうなあ…。
ま、とりあえず、お参りしとこ。
お賽銭…しまった…どれが一番安い小銭か、わかんないよ。
私が賽銭箱の前で悩んでいたら、
「どうしたんですか?」
と、声をかけてくれた人がいた。
顔を上げると、私とそんなに年は違わないかなあ…という感じの人。腰に刀さしてるから、お侍さんだね。
「あれ?君は…」
「え?」
その人はにこにこしながら、三日前、珍妙な格好で歩いていましたよねと言った。
うっく…。
何か私、きっとご近所中に、珍妙な格好で歩いていた子って、噂されているんだろうな。
この時代って、テレビとかなくて町の話題とか少なそうだし、きっと何か月も珍妙な子って言われ続ける気がする。
その人はやさしく、小銭の種類をひとつひとつ教えてくれてから、
「この年頃の娘さんにしては、ずいぶんたくさんのお小遣いを持っているんですね。
僕にはいいですけど、他の人に紙入れの中身をそのまま見せない方がいいですよ。
物盗りや強請に狙われるかもしれない」
と、言った。
また、やってしまった…。
大久保さんに、私が外を歩いたら、不注意で殺されかねないって昨日怒られたばかりなのに…。
私が落ち込んでいたら、その人は、あわてて謝った。
「あ、すみません…。
つい、そっちの方に頭が働いてしまうな…。
いつも京都の治安維持の仕事ばかりやっているから、非番の日も何だか殺伐とした話題になってしまって。
娘さんを脅かすつもりじゃなかったんです」
「え…いえ、そんな…私こそ、せっかく教えてくれたのに…失礼な態度とってごめんなさい!」
私も急いで謝った。
「その…治安維持の仕事って…」
おまわりさん?あ、江戸時代にはそういうのないか。
「あ、すみません。僕は新選組の沖田と言います」
しんせんぐみ?おきた?
…なんか大久保さんが悪口言ってた気がするけど…そんな悪い人には見えないな、この人。
というか、すごいいい人っぽいんですけど。
「君の名前は?」
「あ…ゆうと言います」
って、教えちゃってよかったのかな?
「君は、僕の名前を聞いてもおびえないんだね」
「えっ…だって沖田さん、いい人そうですもん」
沖田さんの顔がぱっと輝いた。ほんとにうれしそうだ。
「京都に来てから、町の人にそんなことを言われたのは初めてです」
京都に来てから…?
あ…なんでこの人の話し方が、すごく親しみやすく感じるかわかった!
「沖田さん、東京…じゃないや…えーと…江戸の人でしょう?」
「え、ええ。それが何か?」
「なんか、微妙な発音がこっちの人と違うというか。すっごい懐かしい感じします」
数日前にはカナコとかと話してたのに、東京弁が懐かしいってのも変だけど。なんか、もう、あっちには戻れないって思ってたから。
「懐かしい…ですか?」
「はい!私、あっちの育ちで。親も祖父母もずーっと江戸なんです!なのに、なんか突然ぽーんとこっちに飛ばされてきちゃって。
すごい不安だったから、沖田さんの話し方聞いたらなんか安心したって言うか…」
「それは光栄ですけど…代々江戸っ子でも、一朱銀くらいのお金はわかりますよね?
それにぽーんと飛ばされて来たって…?」
うっ…。墓穴掘った。
「何か深い事情があるみたいですけど…よければ相談にのりますよ」