その三 薩摩藩邸三日目
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だいたい、何なのよ、この人。
なんで、私、ここまで言われないといけないの?
「わ…わたしは、日本人を差別するような人たちとは違いますっ!」
「ほう」
「ただ…全然知らないところにいきなり来て、不安だっただけですっ」
「それはイギリス女も同じだろう」
「いちいち一緒くたにしないでくださいっ!私は私です。『おなごは』とかで、ひとまとめにするのもやめてくださいっ!」
私は一生懸命抗議しているのに、大久保さんはあきれた顔でため息をついた。
「まあ、いい」
「よくないですっ!」
「そのイギリス女だがな。…どうなったか、知っているか?」
「知るはずないでしょう?」
「日本の事情を知ろうとせんのにも事欠いて、薩摩の久光公の行列にとんでない無礼を働いて、伴の者に斬りつけられおった。
その女は助かったが、同行していたイギリス男どもの中には死んだやつもいる。
こっちは、それだけでも迷惑なのに、イギリス人どもは、わざわざ仕返しに薩摩まで艦隊を寄越して、城下を大砲で焼き払ってくれた。
ああいうのを、盗っ人猛々しいと言うのだな」
「…」
「初日に攘夷派の話を聞かされたから、わかっているだろうが、今の世の中はな、知らんというだけでは済まされぬことが多い。
お前にとっては何ということもない振る舞いでも、相手がいきなり怒り出して、殺されても文句を言えないようなことは、まあ、色々あるわけだ」
「…」
「藩邸内で奉公人に迷惑をかけている程度なら、まあ問題ないが…。
お前を見ていると、何につけ、軽く考えているようで、こっちがはらはらする。
放っておくと、ふらふらと考えなしに出歩いて、あっという間に無礼討ちにあって昇天しそうだ」
な…なんか、話がものすごくあちこち飛んで、ついていけないんですけど。
「あの、つまり…何が言いたいんでしょうか?」
ふん、と大久保さんは、それはもう、思い切り馬鹿にしたような顔で笑った。
「頭の弱い人間が、いちいち私に何ができるかなどと考えるな。周りの迷惑だ。
じたばた騒がず、まず基本的なことから学べ。ここが、どういう世の中か、骨身にしみてわかるまで勝手に動くな。
なに、心配せずともいい。私がそのあたりはみっちり仕込んでやる」
…えと。
いや、大久保さんに仕込まれるって、かえって何をされるか、心配な気がするんですけど。
なんで、私、ここまで言われないといけないの?
「わ…わたしは、日本人を差別するような人たちとは違いますっ!」
「ほう」
「ただ…全然知らないところにいきなり来て、不安だっただけですっ」
「それはイギリス女も同じだろう」
「いちいち一緒くたにしないでくださいっ!私は私です。『おなごは』とかで、ひとまとめにするのもやめてくださいっ!」
私は一生懸命抗議しているのに、大久保さんはあきれた顔でため息をついた。
「まあ、いい」
「よくないですっ!」
「そのイギリス女だがな。…どうなったか、知っているか?」
「知るはずないでしょう?」
「日本の事情を知ろうとせんのにも事欠いて、薩摩の久光公の行列にとんでない無礼を働いて、伴の者に斬りつけられおった。
その女は助かったが、同行していたイギリス男どもの中には死んだやつもいる。
こっちは、それだけでも迷惑なのに、イギリス人どもは、わざわざ仕返しに薩摩まで艦隊を寄越して、城下を大砲で焼き払ってくれた。
ああいうのを、盗っ人猛々しいと言うのだな」
「…」
「初日に攘夷派の話を聞かされたから、わかっているだろうが、今の世の中はな、知らんというだけでは済まされぬことが多い。
お前にとっては何ということもない振る舞いでも、相手がいきなり怒り出して、殺されても文句を言えないようなことは、まあ、色々あるわけだ」
「…」
「藩邸内で奉公人に迷惑をかけている程度なら、まあ問題ないが…。
お前を見ていると、何につけ、軽く考えているようで、こっちがはらはらする。
放っておくと、ふらふらと考えなしに出歩いて、あっという間に無礼討ちにあって昇天しそうだ」
な…なんか、話がものすごくあちこち飛んで、ついていけないんですけど。
「あの、つまり…何が言いたいんでしょうか?」
ふん、と大久保さんは、それはもう、思い切り馬鹿にしたような顔で笑った。
「頭の弱い人間が、いちいち私に何ができるかなどと考えるな。周りの迷惑だ。
じたばた騒がず、まず基本的なことから学べ。ここが、どういう世の中か、骨身にしみてわかるまで勝手に動くな。
なに、心配せずともいい。私がそのあたりはみっちり仕込んでやる」
…えと。
いや、大久保さんに仕込まれるって、かえって何をされるか、心配な気がするんですけど。