その二 薩摩藩邸二日目
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
んー…。まあ、考えようによっては。
大久保さんってなんか低血圧っぽい顔してるから、なんか朝はむちゃくちゃ機嫌悪い気がする。
だとすると、朝ごはんとか一緒に食べたら、そりゃあ難癖つけられまくると思う。
なんで、うまく逃げられたなあ…って考え方もあるんだけど。
…なんて考えてたら、朝ごはんがあらかた終わったところで、大久保さんが、何やら紙の束をたくさん抱えて入って来た。
「何だ?まだ飯も食い終わってないのか?またずいぶんといぎたない小娘だ」
と言われた。
いぎたないって何だろう?
でも聞くと、何か嫌味を言われそうだから、聞かないでおこう。
大久保さんは、私の前にどかっと胡坐をかくと、いきなり京都の地図を広げた。
何の話かわからないけど、これは朝ごはんを食べてる場合じゃないのかなと思って、女中さんに合図して片づけてもらおうとしていたら、大久保さんは膳から、私の半分かじった漬物をちょいと失敬して食べてしまった。
私はいぎたないかもしれないけど、大久保さんだって意地汚いじゃない…なんてことも、言わないことにした。
だまって、大久保さんの広げた地図を素直に覗き込む。
「昨日、武市君にお前を拾ったところと、歩いた場所の地図を描いてもらった。で、手の者に命じて、聞き込みをさせた結果がこれなんだが…」
と大久保さんが言った。
何やら、事細かにいろいろ書き込んである。
「やはり、昨日、お前の姿を新撰組に見られたようだな。
それも、沖田と土方らしい」
「沖田と土方?」
「簡単に言うと、新撰組の要だな。いちばんしつこくて厄介なやつらだ」
「…だから、お前に京の街をふらふら歩かせて、その寺とやらを探すのは、あまり得策ではないようだ。
まあ、それでなくても、そのぼーっとした頭でそぞろ歩くだけでは、見つかるものも見つかるまいが。
で、紙を持ってきた」
「…え?」
「お前が見た寺とやらの絵を描いてくれ。手の者に探させる。
落としたものがあれば、その絵も頼む」
そう言って、大久保さんは、手をたたいて、女中さんに文机を準備させた。
…。
そういう発想はなかったかも。
ちょっと、大久保さんって、刑事さんにも向いてる?
つか、やっぱ、考え方が官僚っぽいかも…なんてつまらないことを思った。
女中さんは硯箱も出してきたけど、筆を使う自信がなかったので、私はスクバからシャーペンを出してみた。
「ほう?」
大久保さんは興味津々な様子で、私が文机に向かって絵を描くところを後ろから覗き込んだ。
あの…体が近いんですけど…。
私の耳元に、息がかかる。
何か気づいてしまったけど…。
この人も、高杉さんと同じように、新し物好きだ。
というより、たぶん、高杉さん以上かも。
で、私は例の寺とキーホルダーの絵を描いたんだけど。
寺の絵を見た大久保さんは、笑い出した。
「…で、これが、小娘にとっては寺なのか…?」
「え?」
「これは、どこからどう見ても神社ではないか」
そ…そうなの?
なんか、また、情けないドジを踏んだみたい。
大久保さんは私の様子を何やら期待したように見ていたが、なんだかつまらなそうな顔になった。
「どうした、小娘。今朝はまったく食ってかかって来んが…。まだ寝ぼけているのか?」
「…別に。何だか色んなことがありすぎて、頭がついて行ってないだけです」
「そうか。知恵熱を出すなよ。周りが迷惑だ」
「知恵熱って何ですか?」
「頭の悪い人間がかかる病気だ」
「し、失礼なっ!だいたい、いちいち頭が悪いって言わないでくださいっ!」
大久保さんは、にやりと笑った。
「…それでいい。小娘はギャンギャン騒いでいた方が面白い」
そう言うと、私の描いた絵や、地図などをまとめて、出て行った。
大久保さんってなんか低血圧っぽい顔してるから、なんか朝はむちゃくちゃ機嫌悪い気がする。
だとすると、朝ごはんとか一緒に食べたら、そりゃあ難癖つけられまくると思う。
なんで、うまく逃げられたなあ…って考え方もあるんだけど。
…なんて考えてたら、朝ごはんがあらかた終わったところで、大久保さんが、何やら紙の束をたくさん抱えて入って来た。
「何だ?まだ飯も食い終わってないのか?またずいぶんといぎたない小娘だ」
と言われた。
いぎたないって何だろう?
でも聞くと、何か嫌味を言われそうだから、聞かないでおこう。
大久保さんは、私の前にどかっと胡坐をかくと、いきなり京都の地図を広げた。
何の話かわからないけど、これは朝ごはんを食べてる場合じゃないのかなと思って、女中さんに合図して片づけてもらおうとしていたら、大久保さんは膳から、私の半分かじった漬物をちょいと失敬して食べてしまった。
私はいぎたないかもしれないけど、大久保さんだって意地汚いじゃない…なんてことも、言わないことにした。
だまって、大久保さんの広げた地図を素直に覗き込む。
「昨日、武市君にお前を拾ったところと、歩いた場所の地図を描いてもらった。で、手の者に命じて、聞き込みをさせた結果がこれなんだが…」
と大久保さんが言った。
何やら、事細かにいろいろ書き込んである。
「やはり、昨日、お前の姿を新撰組に見られたようだな。
それも、沖田と土方らしい」
「沖田と土方?」
「簡単に言うと、新撰組の要だな。いちばんしつこくて厄介なやつらだ」
「…だから、お前に京の街をふらふら歩かせて、その寺とやらを探すのは、あまり得策ではないようだ。
まあ、それでなくても、そのぼーっとした頭でそぞろ歩くだけでは、見つかるものも見つかるまいが。
で、紙を持ってきた」
「…え?」
「お前が見た寺とやらの絵を描いてくれ。手の者に探させる。
落としたものがあれば、その絵も頼む」
そう言って、大久保さんは、手をたたいて、女中さんに文机を準備させた。
…。
そういう発想はなかったかも。
ちょっと、大久保さんって、刑事さんにも向いてる?
つか、やっぱ、考え方が官僚っぽいかも…なんてつまらないことを思った。
女中さんは硯箱も出してきたけど、筆を使う自信がなかったので、私はスクバからシャーペンを出してみた。
「ほう?」
大久保さんは興味津々な様子で、私が文机に向かって絵を描くところを後ろから覗き込んだ。
あの…体が近いんですけど…。
私の耳元に、息がかかる。
何か気づいてしまったけど…。
この人も、高杉さんと同じように、新し物好きだ。
というより、たぶん、高杉さん以上かも。
で、私は例の寺とキーホルダーの絵を描いたんだけど。
寺の絵を見た大久保さんは、笑い出した。
「…で、これが、小娘にとっては寺なのか…?」
「え?」
「これは、どこからどう見ても神社ではないか」
そ…そうなの?
なんか、また、情けないドジを踏んだみたい。
大久保さんは私の様子を何やら期待したように見ていたが、なんだかつまらなそうな顔になった。
「どうした、小娘。今朝はまったく食ってかかって来んが…。まだ寝ぼけているのか?」
「…別に。何だか色んなことがありすぎて、頭がついて行ってないだけです」
「そうか。知恵熱を出すなよ。周りが迷惑だ」
「知恵熱って何ですか?」
「頭の悪い人間がかかる病気だ」
「し、失礼なっ!だいたい、いちいち頭が悪いって言わないでくださいっ!」
大久保さんは、にやりと笑った。
「…それでいい。小娘はギャンギャン騒いでいた方が面白い」
そう言うと、私の描いた絵や、地図などをまとめて、出て行った。