その一 幕末初日
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【主劇】ゆう
私が初めて幕末に飛んで来ちゃった日。
あの日、私は、本当は薩摩藩邸に泊まるはずじゃなかった。
高杉さんとか慎ちゃんとかに、長州藩邸と寺田屋と、どちらにお世話になるか選べって言われて、なんかわざわざ大きな部屋にひとりにしてもらっちゃって、うーん…と悩んでた。
考えてみれば、無茶な話だよね。
私、藩邸って何だかもわかんないし。龍馬さんとかがどういう人かもわかんなかったし。ひとりにされても、決められないよ。
いや…坂本龍馬って…聞いたことくらいはあったけど…その時は、未来から来たって実感なかったから、あの歴史上の本人とは思ってなくて…なんか役者さんかコスプレお兄さんなのだろうかとか、思ってたし。
とにかく、いきなり選べって言われても、わかんないことだらけで、はあ?って感じだったし。
ほんとに、いきなりわけのわかんないことが続いちゃってたから、混乱してて、頭が回んなかった。
で、私ってば、すっごく馬鹿みたいなんだけど…こういう時って、どっちにお世話になるのがマナーとして正しいんだろ…と、そればっか考えてました。
だってさ、ほら。やっぱ見た目、高杉さんと桂さんの方がお金持ちっぽいっつか、仕事とかの立場も上っぽい雰囲気だし…。
皆は自由に選んでいいって言ってたけど、ここは空気読んで長州の人の顔を立てればいいのか、それとも私の面倒を見るなんて雑用は、さらっといちばん下の立場っぽい以蔵とか(以蔵、ごめん!)幹事役っぽい慎ちゃんとかに頼むのがスマートなのかなあとか…。
すっごいトンチンカンな気の使い方をしちゃってました。
それでやっぱり考えた。
ここは素直に、私は世間知らずだから教えてくださいって、高杉さん達のいるところに戻って聞こうって。
で、そおっと高杉さんの部屋に戻ったんだけど。
びっくりしました。
さっきまで、高杉さんの部屋って、ちょっと底抜けなくらい明るい感じだったのに…。
なんですか…この…。
部屋の前の廊下で、すでに感じるなんとなく黒~い感じの張りつめた雰囲気。
おそるおそる、そおっと覗いてみると。
高杉さん、桂さんと土佐の4人が全員が勢ぞろいしているところに、あの嫌味なお兄さんも混じって、悠然とお茶を飲んでいた。
えーと…大久保さんって言ったっけ?
この人がいるだけで、なんかものすごい緊張感がただよっていました。
おまけに…けっこう広い部屋だったと思ったのに…。
大久保さんが座ってると、威圧感っつか…部屋が半分くらいにせまくなったような気がする。
大久保さんは、私の方を見もしないで、いきなり、あのよく通る声で
「小娘」
と言った。
叱られたわけでもなく、ふつうの口調なのに、びくっとしてしまう。
それに、なぜか、その一言だけで感じた。このひと、さっき私が怒鳴りつけたこと、きっと絶対根に持ってる…。
「高杉君と坂本君から大体の経緯は聞いた。
何やらうっかり時代を間違えて、知らん場所に来て迷子になっているわけか。
粗忽者なのは承知していたが…そこまで愚かとは思わなかったぞ」
えと…。
なんか嫌味言われたっぽいんですけど、回りくどすぎてわかりません。
「時代を間違えてって…」
「賽銭箱から足を踏み外した拍子に、いるべき時代からも足を踏み外して過去に落ちてきた、ということだろうが。
つくづく間抜けなやつだ」
わ。私が未来から来たって考える人が、また一人増えた。
「まだ未来から来たと決まったわけでは…」
「ではお前が来た東京という町は何藩にあるんだ?それとも天領か?」
「は、藩って…」
私が答えられないでいると、大久保さんは
「ふん、まあいい」
と言って、話をぶった切った。
「取りあえず近々の課題は、こいつの今夜のねぐらだが…。
なぜ長州藩邸と寺田屋の二択なんだ?
どう考えても、薩摩藩邸の一択だろう」
「何でそうなるんですかっ?」
私は思わず言ってしまった。
大久保さんのところだけは…やめた方がいい気がする。いや、絶対やめた方がいい。
私が初めて幕末に飛んで来ちゃった日。
あの日、私は、本当は薩摩藩邸に泊まるはずじゃなかった。
高杉さんとか慎ちゃんとかに、長州藩邸と寺田屋と、どちらにお世話になるか選べって言われて、なんかわざわざ大きな部屋にひとりにしてもらっちゃって、うーん…と悩んでた。
考えてみれば、無茶な話だよね。
私、藩邸って何だかもわかんないし。龍馬さんとかがどういう人かもわかんなかったし。ひとりにされても、決められないよ。
いや…坂本龍馬って…聞いたことくらいはあったけど…その時は、未来から来たって実感なかったから、あの歴史上の本人とは思ってなくて…なんか役者さんかコスプレお兄さんなのだろうかとか、思ってたし。
とにかく、いきなり選べって言われても、わかんないことだらけで、はあ?って感じだったし。
ほんとに、いきなりわけのわかんないことが続いちゃってたから、混乱してて、頭が回んなかった。
で、私ってば、すっごく馬鹿みたいなんだけど…こういう時って、どっちにお世話になるのがマナーとして正しいんだろ…と、そればっか考えてました。
だってさ、ほら。やっぱ見た目、高杉さんと桂さんの方がお金持ちっぽいっつか、仕事とかの立場も上っぽい雰囲気だし…。
皆は自由に選んでいいって言ってたけど、ここは空気読んで長州の人の顔を立てればいいのか、それとも私の面倒を見るなんて雑用は、さらっといちばん下の立場っぽい以蔵とか(以蔵、ごめん!)幹事役っぽい慎ちゃんとかに頼むのがスマートなのかなあとか…。
すっごいトンチンカンな気の使い方をしちゃってました。
それでやっぱり考えた。
ここは素直に、私は世間知らずだから教えてくださいって、高杉さん達のいるところに戻って聞こうって。
で、そおっと高杉さんの部屋に戻ったんだけど。
びっくりしました。
さっきまで、高杉さんの部屋って、ちょっと底抜けなくらい明るい感じだったのに…。
なんですか…この…。
部屋の前の廊下で、すでに感じるなんとなく黒~い感じの張りつめた雰囲気。
おそるおそる、そおっと覗いてみると。
高杉さん、桂さんと土佐の4人が全員が勢ぞろいしているところに、あの嫌味なお兄さんも混じって、悠然とお茶を飲んでいた。
えーと…大久保さんって言ったっけ?
この人がいるだけで、なんかものすごい緊張感がただよっていました。
おまけに…けっこう広い部屋だったと思ったのに…。
大久保さんが座ってると、威圧感っつか…部屋が半分くらいにせまくなったような気がする。
大久保さんは、私の方を見もしないで、いきなり、あのよく通る声で
「小娘」
と言った。
叱られたわけでもなく、ふつうの口調なのに、びくっとしてしまう。
それに、なぜか、その一言だけで感じた。このひと、さっき私が怒鳴りつけたこと、きっと絶対根に持ってる…。
「高杉君と坂本君から大体の経緯は聞いた。
何やらうっかり時代を間違えて、知らん場所に来て迷子になっているわけか。
粗忽者なのは承知していたが…そこまで愚かとは思わなかったぞ」
えと…。
なんか嫌味言われたっぽいんですけど、回りくどすぎてわかりません。
「時代を間違えてって…」
「賽銭箱から足を踏み外した拍子に、いるべき時代からも足を踏み外して過去に落ちてきた、ということだろうが。
つくづく間抜けなやつだ」
わ。私が未来から来たって考える人が、また一人増えた。
「まだ未来から来たと決まったわけでは…」
「ではお前が来た東京という町は何藩にあるんだ?それとも天領か?」
「は、藩って…」
私が答えられないでいると、大久保さんは
「ふん、まあいい」
と言って、話をぶった切った。
「取りあえず近々の課題は、こいつの今夜のねぐらだが…。
なぜ長州藩邸と寺田屋の二択なんだ?
どう考えても、薩摩藩邸の一択だろう」
「何でそうなるんですかっ?」
私は思わず言ってしまった。
大久保さんのところだけは…やめた方がいい気がする。いや、絶対やめた方がいい。
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