第十章 炎上
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私は、少し考えた。
「あのさ、大久保さん…」
「なんだ」
「私、自分で言うのもなんだけど、かなり運がいいほうだと思う。
んでもって、大久保さんのそばにいると、なんかさらに、運の良さがパワーアップする気がする」
なんか、むちゃくちゃ言ってるな…私…って、自分でも思ったけど…。
私は大久保さんを慰めたくて、つい、思いついたことを言っちゃってた。
「何だその、ぱわー何とかいうのは?」
「んと…つまり、大丈夫だよ。私は大久保さんのそばにいても、絶対死なないから。
死なないって、約束する」
うん、そういうことにしておこう、と思った。言ってから、決めた。
なんかいい加減だけど、けっこう本気だった。
「何だそれは?根拠もへったくれもないな」
「いいじゃん。大久保さんの、その不安だって根拠ないもん。
少なくとも、幕末飛んで来て初日に大久保さんに会えたって、むちゃくちゃ運がいいってことだよね。
だって自分でこんなに素晴らしい人間はいないって言ったじゃん。
これだけ運がいいんだから、そんなに簡単に不幸なめぐり合わせになんかやられませんって」
大久保さんは、黙って私の話を聞いてたけど…。
だんだん肩が震えだして…。
それから、おかしくてしかたがないというように、大声で笑い出した。
「まったく…とんでもない馬鹿娘だな」
いつの間にか、いつものよく響く声に戻ってた。
ちょっと、安心。
馬鹿馬鹿って、もう、ひどいなって文句を言おうと思って、私は顔を上げた。
大久保さんも私の顔をのぞき込んでた。
ふたりの顔は、とっても近くて…なんかドキドキしてしまう。
大久保さんはまだ少し笑ってて、なんだかとってもやさしい目をしてた。
そして、大久保さんがもう一度、私に唇を寄せてきたから…。
私は目を閉じて…。
…。
あれ?
突然、大久保さんは体を緊張させると、ばっ、と私から離れた。
いきなり、振り返って、誰もいない方向を睨んで怒鳴る。
「なぜお前がそこにいるっ!?」
へ?
…と思ったら、倒れずに残っていたヒノキの大木の陰から…。
半次郎さんが半分顔を出した。
「す…すいもはん…」
半次郎さんは赤い顔をして、なんか逃げ出したいような姿勢で言った。
「おいが居っこっは、気いせんで続ったもんせ…」
「ふざけるなっ!そんな真似ができるかっ」
は…半次郎さん…。今の見てたんですか?
…な…なんか、とっても恥ずかしいんですけどっ。
「だいたい、なんでお前がここにいるんだ!?」
「せ…西郷どんが…大久保さぁはあげん言うたどん、心配(せわ)じゃっで先回ぃせっ守っやい言うて…」
「何だとっ」
「じゃっで…西郷どんが…」
「いつから見ていたっ」
「いっかぁ…でもすか…?いっ…言えもはん…。そげなげんね(恥ずかしい)こっ…」
そう言って、半次郎さんは、またヒノキの陰に隠れてしまった。
あうう…それ…半次郎さん…。
つまり…最初っから全部、見てたってことですか…?
大久保さんは片手で額を押さえて、がっくりすると
「あ…の…野郎…。余計な真似を…」
と、言った。
だけど、なんか無理やり…って感じで、顔を上げて、「ふんっ」と言うと、いつものポーカーフェイスに戻ってた。
いつもながら…立ち直り、早っ…。
私は…まだ…思いっきり、恥ずかしいです…。
なんか顔熱いから…きっと真っ赤だと思うんですけど…。
「まあいい。
とりあえず…だ。
これだけ大砲をぶっ放された後だ。敵陣は、砲弾を避けて弾道上からどいているはずだ。
つまり、ここから薩摩の陣所までの直線上から、やつらはいなくなったということだな」
大久保さんは、なんか自慢げに言ったけど…。
あの、つまり…。
今の大砲って…味方が撃ったんですか?
死ぬかと思ったんですけど…。
大久保さんは、ふふん、と嬉しそうに笑った。
「よし、薩摩の本陣に戻るぞ。
お前の希望通り押し倒してやるのは、残念だが、戦に勝った後までお預けだ」
あの…そんなこと…希望してません…。
「突っ走るから、遅れずについて来い。半次郎はしんがりを守れ」
「は…はいっ」
「承知しもした」
「あのさ、大久保さん…」
「なんだ」
「私、自分で言うのもなんだけど、かなり運がいいほうだと思う。
んでもって、大久保さんのそばにいると、なんかさらに、運の良さがパワーアップする気がする」
なんか、むちゃくちゃ言ってるな…私…って、自分でも思ったけど…。
私は大久保さんを慰めたくて、つい、思いついたことを言っちゃってた。
「何だその、ぱわー何とかいうのは?」
「んと…つまり、大丈夫だよ。私は大久保さんのそばにいても、絶対死なないから。
死なないって、約束する」
うん、そういうことにしておこう、と思った。言ってから、決めた。
なんかいい加減だけど、けっこう本気だった。
「何だそれは?根拠もへったくれもないな」
「いいじゃん。大久保さんの、その不安だって根拠ないもん。
少なくとも、幕末飛んで来て初日に大久保さんに会えたって、むちゃくちゃ運がいいってことだよね。
だって自分でこんなに素晴らしい人間はいないって言ったじゃん。
これだけ運がいいんだから、そんなに簡単に不幸なめぐり合わせになんかやられませんって」
大久保さんは、黙って私の話を聞いてたけど…。
だんだん肩が震えだして…。
それから、おかしくてしかたがないというように、大声で笑い出した。
「まったく…とんでもない馬鹿娘だな」
いつの間にか、いつものよく響く声に戻ってた。
ちょっと、安心。
馬鹿馬鹿って、もう、ひどいなって文句を言おうと思って、私は顔を上げた。
大久保さんも私の顔をのぞき込んでた。
ふたりの顔は、とっても近くて…なんかドキドキしてしまう。
大久保さんはまだ少し笑ってて、なんだかとってもやさしい目をしてた。
そして、大久保さんがもう一度、私に唇を寄せてきたから…。
私は目を閉じて…。
…。
あれ?
突然、大久保さんは体を緊張させると、ばっ、と私から離れた。
いきなり、振り返って、誰もいない方向を睨んで怒鳴る。
「なぜお前がそこにいるっ!?」
へ?
…と思ったら、倒れずに残っていたヒノキの大木の陰から…。
半次郎さんが半分顔を出した。
「す…すいもはん…」
半次郎さんは赤い顔をして、なんか逃げ出したいような姿勢で言った。
「おいが居っこっは、気いせんで続ったもんせ…」
「ふざけるなっ!そんな真似ができるかっ」
は…半次郎さん…。今の見てたんですか?
…な…なんか、とっても恥ずかしいんですけどっ。
「だいたい、なんでお前がここにいるんだ!?」
「せ…西郷どんが…大久保さぁはあげん言うたどん、心配(せわ)じゃっで先回ぃせっ守っやい言うて…」
「何だとっ」
「じゃっで…西郷どんが…」
「いつから見ていたっ」
「いっかぁ…でもすか…?いっ…言えもはん…。そげなげんね(恥ずかしい)こっ…」
そう言って、半次郎さんは、またヒノキの陰に隠れてしまった。
あうう…それ…半次郎さん…。
つまり…最初っから全部、見てたってことですか…?
大久保さんは片手で額を押さえて、がっくりすると
「あ…の…野郎…。余計な真似を…」
と、言った。
だけど、なんか無理やり…って感じで、顔を上げて、「ふんっ」と言うと、いつものポーカーフェイスに戻ってた。
いつもながら…立ち直り、早っ…。
私は…まだ…思いっきり、恥ずかしいです…。
なんか顔熱いから…きっと真っ赤だと思うんですけど…。
「まあいい。
とりあえず…だ。
これだけ大砲をぶっ放された後だ。敵陣は、砲弾を避けて弾道上からどいているはずだ。
つまり、ここから薩摩の陣所までの直線上から、やつらはいなくなったということだな」
大久保さんは、なんか自慢げに言ったけど…。
あの、つまり…。
今の大砲って…味方が撃ったんですか?
死ぬかと思ったんですけど…。
大久保さんは、ふふん、と嬉しそうに笑った。
「よし、薩摩の本陣に戻るぞ。
お前の希望通り押し倒してやるのは、残念だが、戦に勝った後までお預けだ」
あの…そんなこと…希望してません…。
「突っ走るから、遅れずについて来い。半次郎はしんがりを守れ」
「は…はいっ」
「承知しもした」