第十章 炎上
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大久保さんは、なんだかもう、完全にお叱り口調で、私に言った。
「言った通り、今日ばかりは、お前を守り切る自信はない。
だが、未来に帰すことなど、考えるだけで耐えられん。
誰が帰すか。
これだけ危機的状況だというのに…。
怜悧に頭を使って判断することができなくなるまで、私を翻弄し尽くしたのは…。
小娘、お前だ。
それだけのことをしでかしたんだ。
命を賭ける覚悟は、もちろんあるんだろうな」
「はいっ!」
私は、思わず、ものすごくいい返事をしてしまった。
「…馬鹿が」
「馬鹿だもん」
私は、大久保さんの肩に、もう一回顔をうずめた。
「…馬鹿じゃなきゃ、大久保さんみたいにむちゃくちゃな人に、付き合えないよ」
「むちゃくちゃなのはお前だろうが」
「うん。だから似た者同士だね。
…大好き」
「馬鹿もんっ!」
ふふ。
今だったら、もう、確信をもって言えちゃう。
大久保さんの馬鹿って言うのは、私が好きだって意味なんだって。
はあ…と、大久保さんは、あきれたように肩を落とした。
「もう、どうでもいいから、いい加減に降りろ」
「へ?」
「言ったろうが。ここから先は敵陣を突っ切るんだぞ。
馬なんぞに乗っていたら、目立ちすぎて、さあ集中攻撃してくれと言うようなものだ。
徒歩(かち)で物陰伝いに移動するから、馬を降りろ」
あ…。
そういう意味だったんですか…。
私って…やっぱ、馬鹿かもしんない…。
でも…馬って、けっこう高いな…。
降りるの、怖いかも…。
…私が、地面を眺めて、そう思ったとき。
ひゅるひゅるひゅるんと、すぐ上空をするどい音がつんざいた。
雷が落ちるより、何倍も大きな音を立てて、すぐ近くの、参道横に生えていた杉の木の根元が、火を噴いてはじけた。
馬を降りようと、体重をずらしていた私達は、その衝撃で馬上から地面に放り出された。
「小娘っ!」
あたりの土や砂利も、爆発でえぐり取られて、空高く舞い上がり、ばらばらと降って来る。
杉の大木が何本も倒れて来るのを、地を這うようにしてよけながら、大久保さんは私の手を取って立ち上がり、逃げようとしたけれど…。
逃げた先、目の前の拝殿に別の弾が落ち、さらに何倍も大きな爆発が襲った。
私たちの体は、爆風で持ち上げられるようにして飛ばされ、また地面に叩きつけられた。
一旦空に舞い上がった木材の破片や、土砂や、木の枝なんかが、落ちて来るのと一緒に、私たちは、今、爆発でできたばかりの穴に転がり落ちてしまう。
「頭を抱えて、目を閉じろっ!」
大久保さんは、私の上に覆いかぶさり、ぎゅっと私を抱きしめた。
あたりは舞い上がった土で真っ暗になって、私は、自分が目をつぶっているのかいないのか、わからなくなった。
ざーっ、と激しい夕立のような音がして、私たちの上に大量の土が降りそそいだ。
このまま、穴の中に、生き埋めになってしまう…。
私は怖くなった。
私は大久保さんにしがみついた。
土の落ちてくる音は、なかなか止まらなくて…。
体にかかる土の重みが、どんどん増してきて…。
だんだん息苦しくなってきた。
なんか…土が重くて…空気が無くて…。
息、できないよ…。
助けて…。
「言った通り、今日ばかりは、お前を守り切る自信はない。
だが、未来に帰すことなど、考えるだけで耐えられん。
誰が帰すか。
これだけ危機的状況だというのに…。
怜悧に頭を使って判断することができなくなるまで、私を翻弄し尽くしたのは…。
小娘、お前だ。
それだけのことをしでかしたんだ。
命を賭ける覚悟は、もちろんあるんだろうな」
「はいっ!」
私は、思わず、ものすごくいい返事をしてしまった。
「…馬鹿が」
「馬鹿だもん」
私は、大久保さんの肩に、もう一回顔をうずめた。
「…馬鹿じゃなきゃ、大久保さんみたいにむちゃくちゃな人に、付き合えないよ」
「むちゃくちゃなのはお前だろうが」
「うん。だから似た者同士だね。
…大好き」
「馬鹿もんっ!」
ふふ。
今だったら、もう、確信をもって言えちゃう。
大久保さんの馬鹿って言うのは、私が好きだって意味なんだって。
はあ…と、大久保さんは、あきれたように肩を落とした。
「もう、どうでもいいから、いい加減に降りろ」
「へ?」
「言ったろうが。ここから先は敵陣を突っ切るんだぞ。
馬なんぞに乗っていたら、目立ちすぎて、さあ集中攻撃してくれと言うようなものだ。
徒歩(かち)で物陰伝いに移動するから、馬を降りろ」
あ…。
そういう意味だったんですか…。
私って…やっぱ、馬鹿かもしんない…。
でも…馬って、けっこう高いな…。
降りるの、怖いかも…。
…私が、地面を眺めて、そう思ったとき。
ひゅるひゅるひゅるんと、すぐ上空をするどい音がつんざいた。
雷が落ちるより、何倍も大きな音を立てて、すぐ近くの、参道横に生えていた杉の木の根元が、火を噴いてはじけた。
馬を降りようと、体重をずらしていた私達は、その衝撃で馬上から地面に放り出された。
「小娘っ!」
あたりの土や砂利も、爆発でえぐり取られて、空高く舞い上がり、ばらばらと降って来る。
杉の大木が何本も倒れて来るのを、地を這うようにしてよけながら、大久保さんは私の手を取って立ち上がり、逃げようとしたけれど…。
逃げた先、目の前の拝殿に別の弾が落ち、さらに何倍も大きな爆発が襲った。
私たちの体は、爆風で持ち上げられるようにして飛ばされ、また地面に叩きつけられた。
一旦空に舞い上がった木材の破片や、土砂や、木の枝なんかが、落ちて来るのと一緒に、私たちは、今、爆発でできたばかりの穴に転がり落ちてしまう。
「頭を抱えて、目を閉じろっ!」
大久保さんは、私の上に覆いかぶさり、ぎゅっと私を抱きしめた。
あたりは舞い上がった土で真っ暗になって、私は、自分が目をつぶっているのかいないのか、わからなくなった。
ざーっ、と激しい夕立のような音がして、私たちの上に大量の土が降りそそいだ。
このまま、穴の中に、生き埋めになってしまう…。
私は怖くなった。
私は大久保さんにしがみついた。
土の落ちてくる音は、なかなか止まらなくて…。
体にかかる土の重みが、どんどん増してきて…。
だんだん息苦しくなってきた。
なんか…土が重くて…空気が無くて…。
息、できないよ…。
助けて…。