第十章 炎上
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大久保さんは、何だかもう、むちゃくちゃ機嫌が悪そうだった。
「まったく…お前にぼんやりするなと言っても、無駄のようだな」
と、嫌味ったらしくそっぽむいてため息をつく。
「あ…いえ…その…」
「また、人間の言葉を忘れたのか、お前は?」
あうう…。
なんか、会ったとたん、嫌味連続攻撃食らってるんですけど…。
炎の中の再会なんだから…。
お約束だったら、馬降りて、駆け寄って、「ゆう!会いたかったぞ!」って、がしっ、と抱きしめてくれて…。
キスくれて…。ああ、やっぱり私にはこの人しかいない…ってな展開を…。
…私、ちょっと妄想してました。なのに、罵倒されちゃうと悲しいです。
「ふん。まあいい」
大久保さんは馬上から、腕をぐいと伸ばして、私の襟の後ろをつかみ、引っ張り上げた。
「へ?」
襟がひっぱられて、上着がずり上がって…。
私は思わず両腕をじたばたした。
きっと、かなり間抜けな格好だったと思う。
そのまま、近くにあった高さ50センチくらいの大きな石の上に、無理やり引きずり上げられる。
「な、何するんですかっ」
「いくら小娘が軽いとはいえ、さすがに地べたからいきなりは無理だろうがっ」
「む…無理って…え?…何が無理なんですか…?」
大久保さんは私の質問に答えなかった。
また、ぐいっと持ち上げられる。
「…きゃっ!」
途中で、ふわっ、と体が宙に浮いて、抱え直されたと思ったら、私は馬の上に乗せられてた。
私は気づいたら、鞍の前で横向きに座ってて…。
大久保さんの首に両腕を回して…正面から抱きついてる格好にさせられてた。
私の顔の前、数センチのとこに大久保さんの顔。
それに、私の胸、思いっきり無防備に、大久保さんの体に押し付けられちゃってるんですけど…。
な、なんですか、いきなり、この恥ずかしい体勢はっ?
私は、思わず、じたばたと大久保さんから離れようとしたんだけど…。
強引に、ぎゅっと腕をつかまれて、元の格好に戻された。
「暴れるんじゃないっ。周りを見ろっ。
落ちると、死ぬぞ」
「えっ?」
はっと気が付くと、目の前に、また、別の壁が燃え落ちて、こちらに崩れて来ようとしているのが見えた。
大久保さんは、乱暴に、馬の向きを変えた。
「きゃっ!」
思わず、思い切り、大久保さんにしがみついてしまう。
「それでいい。そうやって大人しくしていろっ」
「えっ?」
大久保さんが馬の腹を蹴ると、馬は突然、大きくいなないて全速力で走りだした。
二人を乗せたまま、炎に包まれた町の中を駆け抜ける。
同時に、ものすごい熱い風と黒い煙が、私の顔に吹き付けてきて…。
髪の毛があおられて、舞い上がり、顔の横を細い何本もの鞭のように打った。
煙をたててくすぶる残骸を飛び越え、倒れてくる家屋を避けて…。
馬の上は、すさまじく揺れて、弾んで、ふり回されて…少しでも油断したら、ふり落とされる、と思った。
私は懸命に大久保さんにしがみついていることしかできなかった。
「まったく…お前にぼんやりするなと言っても、無駄のようだな」
と、嫌味ったらしくそっぽむいてため息をつく。
「あ…いえ…その…」
「また、人間の言葉を忘れたのか、お前は?」
あうう…。
なんか、会ったとたん、嫌味連続攻撃食らってるんですけど…。
炎の中の再会なんだから…。
お約束だったら、馬降りて、駆け寄って、「ゆう!会いたかったぞ!」って、がしっ、と抱きしめてくれて…。
キスくれて…。ああ、やっぱり私にはこの人しかいない…ってな展開を…。
…私、ちょっと妄想してました。なのに、罵倒されちゃうと悲しいです。
「ふん。まあいい」
大久保さんは馬上から、腕をぐいと伸ばして、私の襟の後ろをつかみ、引っ張り上げた。
「へ?」
襟がひっぱられて、上着がずり上がって…。
私は思わず両腕をじたばたした。
きっと、かなり間抜けな格好だったと思う。
そのまま、近くにあった高さ50センチくらいの大きな石の上に、無理やり引きずり上げられる。
「な、何するんですかっ」
「いくら小娘が軽いとはいえ、さすがに地べたからいきなりは無理だろうがっ」
「む…無理って…え?…何が無理なんですか…?」
大久保さんは私の質問に答えなかった。
また、ぐいっと持ち上げられる。
「…きゃっ!」
途中で、ふわっ、と体が宙に浮いて、抱え直されたと思ったら、私は馬の上に乗せられてた。
私は気づいたら、鞍の前で横向きに座ってて…。
大久保さんの首に両腕を回して…正面から抱きついてる格好にさせられてた。
私の顔の前、数センチのとこに大久保さんの顔。
それに、私の胸、思いっきり無防備に、大久保さんの体に押し付けられちゃってるんですけど…。
な、なんですか、いきなり、この恥ずかしい体勢はっ?
私は、思わず、じたばたと大久保さんから離れようとしたんだけど…。
強引に、ぎゅっと腕をつかまれて、元の格好に戻された。
「暴れるんじゃないっ。周りを見ろっ。
落ちると、死ぬぞ」
「えっ?」
はっと気が付くと、目の前に、また、別の壁が燃え落ちて、こちらに崩れて来ようとしているのが見えた。
大久保さんは、乱暴に、馬の向きを変えた。
「きゃっ!」
思わず、思い切り、大久保さんにしがみついてしまう。
「それでいい。そうやって大人しくしていろっ」
「えっ?」
大久保さんが馬の腹を蹴ると、馬は突然、大きくいなないて全速力で走りだした。
二人を乗せたまま、炎に包まれた町の中を駆け抜ける。
同時に、ものすごい熱い風と黒い煙が、私の顔に吹き付けてきて…。
髪の毛があおられて、舞い上がり、顔の横を細い何本もの鞭のように打った。
煙をたててくすぶる残骸を飛び越え、倒れてくる家屋を避けて…。
馬の上は、すさまじく揺れて、弾んで、ふり回されて…少しでも油断したら、ふり落とされる、と思った。
私は懸命に大久保さんにしがみついていることしかできなかった。