第八章 小娘、逃げ回る
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私は、カナコが言ってたことを思い出してた。
---少なくとも、今のところ、あんたがその大久保さんのところに戻ったって記録はないわけよ。
---幕末に戻れなかったか…。戻っても、大久保さんに会う前に死んじゃったとか…。
---嫌な可能性は山ほどあるのよ。
カナコ…ごめん…。
やっぱ、私、また、軽く考えすぎてたね…。
幕末にさえ帰れれば。
薩摩藩邸にさえ帰れれば。
何とかなると思ってた。
そんな簡単なことじゃなかったんだ。
幕末に帰れても、大久保さんに会えなかった可能性だってあるって…カナコの言葉、真剣に考えてなかった。
私、危ない目って言っても、新選組につかまるくらいだと思ってた。
沖田さんや土方さんは、本当はいい人だから、話せば何とかなる…なんて甘いことを考えてた。
でも…炎は人じゃない。
話なんか聞いてくれない。
ただ、焼き尽くすだけだ。
みんなに、京都にいると危険だ…。そう繰り返し言われていたのは、こういうことだったんだ。
ある日、突然、藩邸が大砲で吹き飛ばされ、寺田屋が炎に包まれるような、そんな危険。
私は、守られる側にいて、それから目をつぶっていた。
そして…私を必死で守ろうとしてくれる人にだけ…危険を直視させて、苦しませてた。
私は、自分の甘さをつきつけられた。
ただ、戻りさえすれば、皆が優しく迎えてくれて、元のように暮らせる。
そう、思ってなかった?
あんなに必死に、私をここから遠ざけようとした意味を…気持ちを、ほんとにわかってた?
それでも…。
私は、この伏見で暮らしていたかったのに。
いっぱいの思い出。
色んな人の笑顔。
みんな、燃えてしまう…。
何も、なかったことになっちゃう…。
戦って…そういうものなんだ。
---少なくとも、今のところ、あんたがその大久保さんのところに戻ったって記録はないわけよ。
---幕末に戻れなかったか…。戻っても、大久保さんに会う前に死んじゃったとか…。
---嫌な可能性は山ほどあるのよ。
カナコ…ごめん…。
やっぱ、私、また、軽く考えすぎてたね…。
幕末にさえ帰れれば。
薩摩藩邸にさえ帰れれば。
何とかなると思ってた。
そんな簡単なことじゃなかったんだ。
幕末に帰れても、大久保さんに会えなかった可能性だってあるって…カナコの言葉、真剣に考えてなかった。
私、危ない目って言っても、新選組につかまるくらいだと思ってた。
沖田さんや土方さんは、本当はいい人だから、話せば何とかなる…なんて甘いことを考えてた。
でも…炎は人じゃない。
話なんか聞いてくれない。
ただ、焼き尽くすだけだ。
みんなに、京都にいると危険だ…。そう繰り返し言われていたのは、こういうことだったんだ。
ある日、突然、藩邸が大砲で吹き飛ばされ、寺田屋が炎に包まれるような、そんな危険。
私は、守られる側にいて、それから目をつぶっていた。
そして…私を必死で守ろうとしてくれる人にだけ…危険を直視させて、苦しませてた。
私は、自分の甘さをつきつけられた。
ただ、戻りさえすれば、皆が優しく迎えてくれて、元のように暮らせる。
そう、思ってなかった?
あんなに必死に、私をここから遠ざけようとした意味を…気持ちを、ほんとにわかってた?
それでも…。
私は、この伏見で暮らしていたかったのに。
いっぱいの思い出。
色んな人の笑顔。
みんな、燃えてしまう…。
何も、なかったことになっちゃう…。
戦って…そういうものなんだ。
