第七章 小娘、遁走する
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「あ…そうか…」
私は少し考えた。
「それって…かなり嫌かも。でも、やってみるっきゃないでしょ」
あ…カナコ…なんか目がテンになってる…。
それから、けらけら笑い出した。
「そこまで軽いと…ある意味、あっぱれだよ。まったく」
「だってさ。記録によると、オリジナルのかぐや姫、ちゃんとどっかにまた飛んでったみたいじゃん。
だから大丈夫だよ。
奈良時代だって、きっといい人いるはずだしさ」
カナコは、まだ笑ってた。
「…恋は女を強くするっていうけど…あんた、最強かも…。
何と言っていいか、わかんないけど…大久保さん、女を見る目あるわ」
それから、カナコは、すごい真剣な目になって、しばらく黙っていたけど…。
「わかった…もう止めない」
と、ため息をついた。
「言っとくけど、私は本当は反対なんだからね。
親友を、十年後には暗殺されるかもしれない上に、歴史の本に『冷血』とか書かれちゃってる男のところへやるなんてさ」
カナコは自分のスクバから一冊の本を取り出して、私の手に押し込んだ。
「これは餞別。ちょっと荷物重くなっちゃうけど、これは絶対必要って思ったから」
「英語の辞典?」
「うん。がんばって、世界一周、行って来なよ。あっちの世界で。
大久保さん、あんたががんばってお仕事手伝ったら、連れてってくれるって言ったんでしょ?」
…そう言えば、そうだった。
あのころは、まだ大久保さんを、ずいぶん嫌味な人だなくらいにしか、考えてなかったっけ。
だから、また大ぼらを吹く人だなって思ったけど…。
今、思い返してみると…あの人の場合、言った約束は守るから…かなり本気で言ってたのかもしんない。
なんか、あっちに戻れたら、聞きたいことが増えちゃったな。
「カナコ…ごめんね。それから、ありがとう…」
と、私は言った。
「ごめんと思うなら、絶対幸せになんな」
と、カナコはまるで、男の子みたいな口調でかっこつけて言った。
強がっちゃってさ。泣きたかったのかなって…そう思った。
それから私は、和田さんの方にも向いて、お礼を言った。
「あの…ありがとうございます。
その…こんなこと頼むの変かもしれないんですけど…。
もし、今度のことでカナコが困ったことになったら…その…助けてあげてくれますか?」
「なに余計な心配してんのよ」と、カナコが言った。
「こちらのことは、大丈夫ですよ。何とかしますから。
安心して、行ってらっしゃい」
と、和田さんは微笑んだ。
私は、卵型の岩に飾られたしめ縄に手を伸ばした。
「さよなら…。ほんと、元気でいてね。
カナコ…大好きだよ」
私は、そう言いながら、しめ縄を両手に持って結びつけた。
すると…。
世界がギュンっという大きな音をたてて、ゆがんだ。
私の周りで、いろんな風景が、走馬灯のように走り抜けた。
お願い…。
あの時代、あの人の元に戻らせてっ…。
私は目をつぶった。
私は少し考えた。
「それって…かなり嫌かも。でも、やってみるっきゃないでしょ」
あ…カナコ…なんか目がテンになってる…。
それから、けらけら笑い出した。
「そこまで軽いと…ある意味、あっぱれだよ。まったく」
「だってさ。記録によると、オリジナルのかぐや姫、ちゃんとどっかにまた飛んでったみたいじゃん。
だから大丈夫だよ。
奈良時代だって、きっといい人いるはずだしさ」
カナコは、まだ笑ってた。
「…恋は女を強くするっていうけど…あんた、最強かも…。
何と言っていいか、わかんないけど…大久保さん、女を見る目あるわ」
それから、カナコは、すごい真剣な目になって、しばらく黙っていたけど…。
「わかった…もう止めない」
と、ため息をついた。
「言っとくけど、私は本当は反対なんだからね。
親友を、十年後には暗殺されるかもしれない上に、歴史の本に『冷血』とか書かれちゃってる男のところへやるなんてさ」
カナコは自分のスクバから一冊の本を取り出して、私の手に押し込んだ。
「これは餞別。ちょっと荷物重くなっちゃうけど、これは絶対必要って思ったから」
「英語の辞典?」
「うん。がんばって、世界一周、行って来なよ。あっちの世界で。
大久保さん、あんたががんばってお仕事手伝ったら、連れてってくれるって言ったんでしょ?」
…そう言えば、そうだった。
あのころは、まだ大久保さんを、ずいぶん嫌味な人だなくらいにしか、考えてなかったっけ。
だから、また大ぼらを吹く人だなって思ったけど…。
今、思い返してみると…あの人の場合、言った約束は守るから…かなり本気で言ってたのかもしんない。
なんか、あっちに戻れたら、聞きたいことが増えちゃったな。
「カナコ…ごめんね。それから、ありがとう…」
と、私は言った。
「ごめんと思うなら、絶対幸せになんな」
と、カナコはまるで、男の子みたいな口調でかっこつけて言った。
強がっちゃってさ。泣きたかったのかなって…そう思った。
それから私は、和田さんの方にも向いて、お礼を言った。
「あの…ありがとうございます。
その…こんなこと頼むの変かもしれないんですけど…。
もし、今度のことでカナコが困ったことになったら…その…助けてあげてくれますか?」
「なに余計な心配してんのよ」と、カナコが言った。
「こちらのことは、大丈夫ですよ。何とかしますから。
安心して、行ってらっしゃい」
と、和田さんは微笑んだ。
私は、卵型の岩に飾られたしめ縄に手を伸ばした。
「さよなら…。ほんと、元気でいてね。
カナコ…大好きだよ」
私は、そう言いながら、しめ縄を両手に持って結びつけた。
すると…。
世界がギュンっという大きな音をたてて、ゆがんだ。
私の周りで、いろんな風景が、走馬灯のように走り抜けた。
お願い…。
あの時代、あの人の元に戻らせてっ…。
私は目をつぶった。