第七章 小娘、遁走する
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そして私は、父さんが付き合いの飲み会で遅くなった日の翌朝、夜明け前に家を出た。
スズミの縄ばしご、役に立っちゃいました。
カナコの計画通り、羽田へ向かう。
空港では、カナコが大阪への始発便の手続きを全部済ませて、荷物も持って待っていた。
飛行機に乗る前にゲート前でメールをチェックしたら、スズミからの連絡が入ってた。
「やっぱあんたのお父さん、空港じゃなく、東京駅の新幹線ホームの方にあんた探しに来たよ。カナコの作戦成功だね。駆落ちがんばってね~」
父さん母さん、ごめん…。
私は心の中で、二人に手を合わせた。
同時に、なんでスズミがうちの親の顔知ってんのよって思ったけど…まあ、あの子の行動は深く考えないようにしよ、とも思った。
大阪の空港から伏見までは、何も問題なかったけど、伏見から先は、父さんが先回りしてたらどうしようって、ドキドキした。
でも…考えてみたら、うちの親、地下の神社の場所までは知らないんだっけ。
もう一人の私が失踪した林の近くを大きく迂回して、アンティークショップの前まで来ると、和田さんが待ち構えてて、さっと店に入れてくれた。
ショーウィンドウから、あの写真は外されていた。
「杉浦さん、大丈夫でしたか?…カナコさんから話は聞いています」
って言われたけど…。
あれ?
なんで私の呼び名が姓で、カナコがファーストネームなのよってちょっと思ったけど、気にしないことにした。
私は、和田さんの顔をまっすぐ見つめて、言った。
「家族には話しました。両親には反対されましたが、祖父は許してくれました。
祖父は、自分が二人の説得はするから、幕末に行けと言いました。
私も…親の言うように留学なんかしたくありません。大久保さんのところに行かなきゃいけないんです。
ご迷惑がかかるかもしれないことは、わかっています。
それでもどうか、協力していただけないでしょうか」
私はその場に正座して、手をついて礼をした。
別に土下座とかする気じゃなかったんだけど…立ってする礼の仕方、大久保さんに教えてもらってなかったから。
あの人、襖の開け閉めでも何でも、いちいち女は座ってやれってばっかり、言ってたんだもん。
でもやっぱり、大げさだったかな。
和田さんはびっくりしてた。
ふと気づくと、私の横でカナコも
「お願いします」
と、土下座してた。
こっちは、私があわてちゃった。
「か…カナコ…あんたは土下座なんかしなくていいよっ。私の問題だしっ」
和田さんは、大きな大きなため息をついた。
自分も膝をついて、カナコの肩に手をかけ顔をのぞき込み、私の顔も見て、
「やれやれ…負けましたよ」
と言って、クスリと笑った。
「もう、止めません。あの祭壇を好きに使うといい。
何だか高杉と桂が、あなたに肩入れをした理由がわかる気がします」
スズミの縄ばしご、役に立っちゃいました。
カナコの計画通り、羽田へ向かう。
空港では、カナコが大阪への始発便の手続きを全部済ませて、荷物も持って待っていた。
飛行機に乗る前にゲート前でメールをチェックしたら、スズミからの連絡が入ってた。
「やっぱあんたのお父さん、空港じゃなく、東京駅の新幹線ホームの方にあんた探しに来たよ。カナコの作戦成功だね。駆落ちがんばってね~」
父さん母さん、ごめん…。
私は心の中で、二人に手を合わせた。
同時に、なんでスズミがうちの親の顔知ってんのよって思ったけど…まあ、あの子の行動は深く考えないようにしよ、とも思った。
大阪の空港から伏見までは、何も問題なかったけど、伏見から先は、父さんが先回りしてたらどうしようって、ドキドキした。
でも…考えてみたら、うちの親、地下の神社の場所までは知らないんだっけ。
もう一人の私が失踪した林の近くを大きく迂回して、アンティークショップの前まで来ると、和田さんが待ち構えてて、さっと店に入れてくれた。
ショーウィンドウから、あの写真は外されていた。
「杉浦さん、大丈夫でしたか?…カナコさんから話は聞いています」
って言われたけど…。
あれ?
なんで私の呼び名が姓で、カナコがファーストネームなのよってちょっと思ったけど、気にしないことにした。
私は、和田さんの顔をまっすぐ見つめて、言った。
「家族には話しました。両親には反対されましたが、祖父は許してくれました。
祖父は、自分が二人の説得はするから、幕末に行けと言いました。
私も…親の言うように留学なんかしたくありません。大久保さんのところに行かなきゃいけないんです。
ご迷惑がかかるかもしれないことは、わかっています。
それでもどうか、協力していただけないでしょうか」
私はその場に正座して、手をついて礼をした。
別に土下座とかする気じゃなかったんだけど…立ってする礼の仕方、大久保さんに教えてもらってなかったから。
あの人、襖の開け閉めでも何でも、いちいち女は座ってやれってばっかり、言ってたんだもん。
でもやっぱり、大げさだったかな。
和田さんはびっくりしてた。
ふと気づくと、私の横でカナコも
「お願いします」
と、土下座してた。
こっちは、私があわてちゃった。
「か…カナコ…あんたは土下座なんかしなくていいよっ。私の問題だしっ」
和田さんは、大きな大きなため息をついた。
自分も膝をついて、カナコの肩に手をかけ顔をのぞき込み、私の顔も見て、
「やれやれ…負けましたよ」
と言って、クスリと笑った。
「もう、止めません。あの祭壇を好きに使うといい。
何だか高杉と桂が、あなたに肩入れをした理由がわかる気がします」