第七章 小娘、遁走する
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そんなある日、おじいちゃんがちょっといいかと聞いて、私の部屋にやって来た。
ついでにお茶とお団子も持ってきてくれたんだけど…。
それは前におじいちゃんに怒られたような、渋い玉露だった。
「…おじいちゃん、これ?」
おじいちゃんは自分でもお茶を飲んで、顔をしかめた。
「そのへんのカルトが、ここまで芸の細かい時代考証をするとは思わんからな。
それに、宗教で洗脳するような国から逃げてきた子どもたちの面倒も、何度も見てきた。
ああいうのに騙された人間には、共通の表情や考え方の癖がある。お前にはない」
「おじいちゃん…」
信じてくれたんだ…と思ったら、なんか胸の奥が熱くなってきた。
「例のハワイの剣道家から、これが自分の先祖だと言って、ハワイに移民した方の杉浦ゆうの写真を送って来た。
今のお前と同じ目をしていた。
そういう目なら、前にも見たことがある。内戦中の国に、夫を助けに帰国するんだと言っていた若い母親だったな」
そしておじいちゃんは、ちょっとショックなことを言った。
父さん母さんは、私に無理やりどっかの国に留学させる気らしい、と言う。
寄宿制で完全外出禁止みたいな学校は、日本じゃ無理だから、そういうのがOKな国に留学させてカルト(?)から引き離そうって思ってるんだって。
なんかどっかの修道院学校に、カルトに追われてる(?)子をかくまって、正しい(?)宗教教育をし直すってとこがあるらしい。
それ要するに、無理やりクリスチャンに洗脳するってことじゃん。どこ違うのよ。
そんなむちゃくちゃな…と思ったけど、おじいちゃんは、むちゃくちゃなのは、うちの家系全員だって、しらっとして言った。
おじいちゃんはため息をつきながら言った。
「大人が暴走した時に止めるのは、じいちゃんの仕事だからな。だが今回は、そう簡単に止まりそうにない。
お前の性格がわかっとるから言うが…お前は、どこかの国の山奥に生徒を閉じ込めて、規則規則で縛るような学校に数年もいたら、潰されちまう。
じいちゃんとしては、お前の婿になりたいという男のことは気に食わんが…そっちの方がよっぽどお前を大事にしてくれるだろう。
だいたい、杉浦家の女には、誰かの作ったレールに乗っかってちんまり小さくまとまるより、波瀾万丈で未来を開拓していくような人生の方が性にあっとる」
「じゃあ…あの…許してくれるの?」
「私はな」
と言いながら、おじいちゃんはまた、お茶をすすってみて渋い顔をした。
「まあ、今の状態では、家族全員で万歳三唱で送り出すわけにもいかんが…。
お前がこっそり家出したいと言うなら、私は止めんし、後の大人どもの面倒は任せておけ」
「おじいちゃん…」
「ただし、今まで育ててくれた両親だ。
感謝の手紙くらいは、きっちり書き残して出て行けよ」
「うん…」
私もお茶をすすってみた。
おじいちゃんが顔をしかめるほど、渋くないけどな…って思ったら、なんか私の進むべき道が、とってもはっきりしたような気になった。
私は顔を上げて、おじいちゃんを見た。
「何だ?」
「おじいちゃん…ありがとう」
「ふん」
と、おじいちゃんは強がるように鼻で笑った。
なんか昔の男の人だなあ…。
私が大久保さんとうまく会話できたのって、きっとおじいちゃんで慣れてたからだよね。
「ひ孫の顔が見れんのは残念だが、お前が幸せになれれば、それでいい」
ついでにお茶とお団子も持ってきてくれたんだけど…。
それは前におじいちゃんに怒られたような、渋い玉露だった。
「…おじいちゃん、これ?」
おじいちゃんは自分でもお茶を飲んで、顔をしかめた。
「そのへんのカルトが、ここまで芸の細かい時代考証をするとは思わんからな。
それに、宗教で洗脳するような国から逃げてきた子どもたちの面倒も、何度も見てきた。
ああいうのに騙された人間には、共通の表情や考え方の癖がある。お前にはない」
「おじいちゃん…」
信じてくれたんだ…と思ったら、なんか胸の奥が熱くなってきた。
「例のハワイの剣道家から、これが自分の先祖だと言って、ハワイに移民した方の杉浦ゆうの写真を送って来た。
今のお前と同じ目をしていた。
そういう目なら、前にも見たことがある。内戦中の国に、夫を助けに帰国するんだと言っていた若い母親だったな」
そしておじいちゃんは、ちょっとショックなことを言った。
父さん母さんは、私に無理やりどっかの国に留学させる気らしい、と言う。
寄宿制で完全外出禁止みたいな学校は、日本じゃ無理だから、そういうのがOKな国に留学させてカルト(?)から引き離そうって思ってるんだって。
なんかどっかの修道院学校に、カルトに追われてる(?)子をかくまって、正しい(?)宗教教育をし直すってとこがあるらしい。
それ要するに、無理やりクリスチャンに洗脳するってことじゃん。どこ違うのよ。
そんなむちゃくちゃな…と思ったけど、おじいちゃんは、むちゃくちゃなのは、うちの家系全員だって、しらっとして言った。
おじいちゃんはため息をつきながら言った。
「大人が暴走した時に止めるのは、じいちゃんの仕事だからな。だが今回は、そう簡単に止まりそうにない。
お前の性格がわかっとるから言うが…お前は、どこかの国の山奥に生徒を閉じ込めて、規則規則で縛るような学校に数年もいたら、潰されちまう。
じいちゃんとしては、お前の婿になりたいという男のことは気に食わんが…そっちの方がよっぽどお前を大事にしてくれるだろう。
だいたい、杉浦家の女には、誰かの作ったレールに乗っかってちんまり小さくまとまるより、波瀾万丈で未来を開拓していくような人生の方が性にあっとる」
「じゃあ…あの…許してくれるの?」
「私はな」
と言いながら、おじいちゃんはまた、お茶をすすってみて渋い顔をした。
「まあ、今の状態では、家族全員で万歳三唱で送り出すわけにもいかんが…。
お前がこっそり家出したいと言うなら、私は止めんし、後の大人どもの面倒は任せておけ」
「おじいちゃん…」
「ただし、今まで育ててくれた両親だ。
感謝の手紙くらいは、きっちり書き残して出て行けよ」
「うん…」
私もお茶をすすってみた。
おじいちゃんが顔をしかめるほど、渋くないけどな…って思ったら、なんか私の進むべき道が、とってもはっきりしたような気になった。
私は顔を上げて、おじいちゃんを見た。
「何だ?」
「おじいちゃん…ありがとう」
「ふん」
と、おじいちゃんは強がるように鼻で笑った。
なんか昔の男の人だなあ…。
私が大久保さんとうまく会話できたのって、きっとおじいちゃんで慣れてたからだよね。
「ひ孫の顔が見れんのは残念だが、お前が幸せになれれば、それでいい」