第六章 カナコ
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そうだよね…。
なんか、幕末に帰れるかもって思ったら…。
もう、すぐにも飛んで行きたいような気分になっちゃったけど…。
さすがに今ここで消えたら、母さん、本当に病気になっちゃうかも…。
「無理だよ。そんなこと…!
この子の両親、タイムスリップしたことだって、信じてくれてないもの!」
と、カナコが大声を出した。
「カナコ…?」
私は、カナコの袖をつかんで、そっと引っ張った。
「ねえ、今日は一旦帰ろう?わかんないけど…私もやっぱ、父さん母さんと話さないとダメかもしんないって思った」
「説得する自信あるの?」
「…ない」
「何よそれ?説得できなかったらあきらめるの?」
「そんなことないけど」
「じゃあ何よ?家族も友人も捨ててでも行きたいって言ったの、あんたじゃない!」
…。
私は、よくわかんなくなった。
「ねえ…カナコ?なんでそんなムキになってるの?」
カナコはそっぽを向いた。
それから…カナコは、しばらく黙っていた。
「…私なんだから」
ぽつりと、押し殺したような声で、カナコが言った。
きっ、と私をにらむ。
「え?」
「あんたが消えちゃったら、いちばん悲しいのは私なんだからっ!
その私がいいって言ってんのに…!
協力するって、やっと決心したのに…!
なんであんたがひよるのよっ!!」
カナコは一気に怒鳴ってから、はっと気づいたように固まった。
それから、袖でぐいと目をこすると、くるっと後ろを向いて、そのまま、もと来た道に戻って行こうとした。
「カナコ…!」
私はあわてて追いかけようとしたんだけど…。
それより早く、長い脚でなんか余裕でカナコに追いついた和田さんが、カナコの手をつかんで止めた。
「放してよっ」
「そちらから行っても、あなたに登れるような道ではありませんよ」
と、和田さんは落ち着いた声で言った。
「気持ちが高ぶっても、恥ずかしがって逃げる必要はない。
こんな照明の暗い場所で話せば、感情的になるものです。
店に寄って行きませんか。温かい飲み物でも取れば、きっと落ち着きますから」
カナコはなんかちょっと驚いたような顔で、和田さんのことを見た。
和田さんは少し微笑んで、小さな子どもにやるように、カナコの頭を軽くなでた。
カナコは、なんか少し硬くなってたけど…。
しばらくしたら、急に素直になって、和田さんからティッシュをもらって鼻をかんだ。
カナコ…。
なんか私は、すっごくカナコに悪いような気になってしまった。
ごめん…。
そんな気持ちでいたなんて知らないで、ずっと甘えちゃってた。
和田さんはあいかわらず何事もなかったような顔で、紳士っぽく、お店まで案内してくれた。
でもなんか、和田さんの後をついて、祭壇の裏近くにある隠しドアから、地下室に入って、空調とか発電機とかの横の階段昇って…って歩いて行ったら…。
なんか、ここの建物の中って、微妙に秘密基地っぽいなあ…とか思ってしまった。
お店は今日は休みにしたとかで、お客もいなくて、和田さんは気合を入れて特製カフェオレ作るとか言ってくれたんだけど…。
あんまり、ゆっくりはできなかった。
上の階についた途端、カナコにメールの着信があって…。
「げ」
と、カナコが言った。
「どしたの?」
「いとこからメール来た。
大叔母様が山口から上京して…今、あんたの両親と話してる。
なんかあんたを養女に寄こせみたいなノリになってるらしい」
「ええええっ!」
カナコが頭を抱えた。
「大叔母様…気持ちはわかるけど、浮世離れしてる人だから、もうしっちゃかめっちゃかになっちゃうよ…。
急いで東京に戻んなきゃ」
なんか、幕末に帰れるかもって思ったら…。
もう、すぐにも飛んで行きたいような気分になっちゃったけど…。
さすがに今ここで消えたら、母さん、本当に病気になっちゃうかも…。
「無理だよ。そんなこと…!
この子の両親、タイムスリップしたことだって、信じてくれてないもの!」
と、カナコが大声を出した。
「カナコ…?」
私は、カナコの袖をつかんで、そっと引っ張った。
「ねえ、今日は一旦帰ろう?わかんないけど…私もやっぱ、父さん母さんと話さないとダメかもしんないって思った」
「説得する自信あるの?」
「…ない」
「何よそれ?説得できなかったらあきらめるの?」
「そんなことないけど」
「じゃあ何よ?家族も友人も捨ててでも行きたいって言ったの、あんたじゃない!」
…。
私は、よくわかんなくなった。
「ねえ…カナコ?なんでそんなムキになってるの?」
カナコはそっぽを向いた。
それから…カナコは、しばらく黙っていた。
「…私なんだから」
ぽつりと、押し殺したような声で、カナコが言った。
きっ、と私をにらむ。
「え?」
「あんたが消えちゃったら、いちばん悲しいのは私なんだからっ!
その私がいいって言ってんのに…!
協力するって、やっと決心したのに…!
なんであんたがひよるのよっ!!」
カナコは一気に怒鳴ってから、はっと気づいたように固まった。
それから、袖でぐいと目をこすると、くるっと後ろを向いて、そのまま、もと来た道に戻って行こうとした。
「カナコ…!」
私はあわてて追いかけようとしたんだけど…。
それより早く、長い脚でなんか余裕でカナコに追いついた和田さんが、カナコの手をつかんで止めた。
「放してよっ」
「そちらから行っても、あなたに登れるような道ではありませんよ」
と、和田さんは落ち着いた声で言った。
「気持ちが高ぶっても、恥ずかしがって逃げる必要はない。
こんな照明の暗い場所で話せば、感情的になるものです。
店に寄って行きませんか。温かい飲み物でも取れば、きっと落ち着きますから」
カナコはなんかちょっと驚いたような顔で、和田さんのことを見た。
和田さんは少し微笑んで、小さな子どもにやるように、カナコの頭を軽くなでた。
カナコは、なんか少し硬くなってたけど…。
しばらくしたら、急に素直になって、和田さんからティッシュをもらって鼻をかんだ。
カナコ…。
なんか私は、すっごくカナコに悪いような気になってしまった。
ごめん…。
そんな気持ちでいたなんて知らないで、ずっと甘えちゃってた。
和田さんはあいかわらず何事もなかったような顔で、紳士っぽく、お店まで案内してくれた。
でもなんか、和田さんの後をついて、祭壇の裏近くにある隠しドアから、地下室に入って、空調とか発電機とかの横の階段昇って…って歩いて行ったら…。
なんか、ここの建物の中って、微妙に秘密基地っぽいなあ…とか思ってしまった。
お店は今日は休みにしたとかで、お客もいなくて、和田さんは気合を入れて特製カフェオレ作るとか言ってくれたんだけど…。
あんまり、ゆっくりはできなかった。
上の階についた途端、カナコにメールの着信があって…。
「げ」
と、カナコが言った。
「どしたの?」
「いとこからメール来た。
大叔母様が山口から上京して…今、あんたの両親と話してる。
なんかあんたを養女に寄こせみたいなノリになってるらしい」
「ええええっ!」
カナコが頭を抱えた。
「大叔母様…気持ちはわかるけど、浮世離れしてる人だから、もうしっちゃかめっちゃかになっちゃうよ…。
急いで東京に戻んなきゃ」