第六章 カナコ
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「ちょっと、カナコ!やばいじゃん!」
「大丈夫。大丈夫」
カナコは、自分のバッグから、何かリモコンのようなものを取り出した。
ボタンを押すと、草むらの中から、ピーピーとやかましい音がした。
「ゆう、ほら、探しに行って」
うう…。
なんか、カナコにあごで使われてる気がします。
私はあの日と同じように、草むらに入って行って、キーホルダーを探した。
音は、草むらの中でも、特に背の高い草が茂ったところから聞こえてきた。そこをかき分けてみると…。
どこかで、見たことのあるような、古ぼけた祠があった。
半分、腐りかけているようなそれは…。
あの日、高杉さんが蹴っ飛ばした祠と、そっくりだった。
祠には、すでに誰かが少し移動した形跡があって、その下の地面にあるふたが露わになってたんだけど…。
それは、昔見たような石のふたじゃなくて、金属の軽いメッシュでできていた。
カナコのお父さんのキーホルダーは、そのメッシュのふたの上に転がってた。
そして、ふたを透かして見ると、ふたの下にある暗い穴の途中に、私の持っていた猫のキーホルダーについていたストラップが、半分ちぎれてぶら下がってる。
猫のキーホルダーの方が少し細いから、メッシュの隙間から落ちて、あそこにひっかかったらしい。
カナコも私の後ろからついてきて、穴をのぞきこむと言った。
「やっぱりね」
「やっぱりって…」
「もう一人のあんたは、この穴を見つけたんじゃないかと思ったのよ。
そうじゃないと、理屈に合わないもの」
そう言うと、カナコはメッシュのふたの取っ手を持って、ぐいと持ち上げた。
ふたは、案外簡単に開いた。
二人で中をのぞきこむと、あの日に見たように、地下に続く空洞が、人ひとり通れる広さで開いていた。
そしてストラップは、ちょうどぎりぎり手の届くところから露出してる木の根っこにひっかかってたけど…。
「あの奥…前に見た時は、落石でふさがってた…」
今は、石がどけられて、ぽっかりと横穴が開いてる。もっと奥に行けそうだ。
「とりあえず、ゆう、あのストラップ、取ってみて」
「あれ、体伸ばしてもぎりぎりだよ。穴の回り、泥とか木の葉とか積もってて、滑りやすいし…」
「いいから」
カナコがせかすので、私は穴に半分体を突っ込んで、体を伸ばしたけど…。
「きゃっ!」
案の定、穴のふちについていた手が滑った。そのまま、体のバランスを崩して、ずるずると穴の中にはまりこんでしまう。
「えっ」
穴の中は、かなり急な坂になっていて、私はそのまま、積もった木の葉の上を滑って、穴の底まで落ちてしまった。
穴の底から上を眺めると、カナコが笑って見ている。
「…これで、あの日もう一人のあんたに何があったか、わかったね。
あんたは、猫のキーホルダーを取ろうとして、この穴に落っこちちゃったわけだ」
「大丈夫。大丈夫」
カナコは、自分のバッグから、何かリモコンのようなものを取り出した。
ボタンを押すと、草むらの中から、ピーピーとやかましい音がした。
「ゆう、ほら、探しに行って」
うう…。
なんか、カナコにあごで使われてる気がします。
私はあの日と同じように、草むらに入って行って、キーホルダーを探した。
音は、草むらの中でも、特に背の高い草が茂ったところから聞こえてきた。そこをかき分けてみると…。
どこかで、見たことのあるような、古ぼけた祠があった。
半分、腐りかけているようなそれは…。
あの日、高杉さんが蹴っ飛ばした祠と、そっくりだった。
祠には、すでに誰かが少し移動した形跡があって、その下の地面にあるふたが露わになってたんだけど…。
それは、昔見たような石のふたじゃなくて、金属の軽いメッシュでできていた。
カナコのお父さんのキーホルダーは、そのメッシュのふたの上に転がってた。
そして、ふたを透かして見ると、ふたの下にある暗い穴の途中に、私の持っていた猫のキーホルダーについていたストラップが、半分ちぎれてぶら下がってる。
猫のキーホルダーの方が少し細いから、メッシュの隙間から落ちて、あそこにひっかかったらしい。
カナコも私の後ろからついてきて、穴をのぞきこむと言った。
「やっぱりね」
「やっぱりって…」
「もう一人のあんたは、この穴を見つけたんじゃないかと思ったのよ。
そうじゃないと、理屈に合わないもの」
そう言うと、カナコはメッシュのふたの取っ手を持って、ぐいと持ち上げた。
ふたは、案外簡単に開いた。
二人で中をのぞきこむと、あの日に見たように、地下に続く空洞が、人ひとり通れる広さで開いていた。
そしてストラップは、ちょうどぎりぎり手の届くところから露出してる木の根っこにひっかかってたけど…。
「あの奥…前に見た時は、落石でふさがってた…」
今は、石がどけられて、ぽっかりと横穴が開いてる。もっと奥に行けそうだ。
「とりあえず、ゆう、あのストラップ、取ってみて」
「あれ、体伸ばしてもぎりぎりだよ。穴の回り、泥とか木の葉とか積もってて、滑りやすいし…」
「いいから」
カナコがせかすので、私は穴に半分体を突っ込んで、体を伸ばしたけど…。
「きゃっ!」
案の定、穴のふちについていた手が滑った。そのまま、体のバランスを崩して、ずるずると穴の中にはまりこんでしまう。
「えっ」
穴の中は、かなり急な坂になっていて、私はそのまま、積もった木の葉の上を滑って、穴の底まで落ちてしまった。
穴の底から上を眺めると、カナコが笑って見ている。
「…これで、あの日もう一人のあんたに何があったか、わかったね。
あんたは、猫のキーホルダーを取ろうとして、この穴に落っこちちゃったわけだ」