第六章 カナコ
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んでもって、次の週末。
私たち二人は、東京から京都へ向かった。
その日はとても晴れていて、新幹線の窓から、大きな富士山が見えた。
カナコはそれを見ながら、かぐや姫の話って、最後は富士山で終わるんだよねなんて話をした。
「原典だとさ…。かぐや姫は帝に、オレ様で強引で、私を無理やり朝廷に連れ帰ろうとしたり、月に帰すまいと軍隊まで派遣しちゃう、そんなあなたが好きでした…みたいな手紙を書いて、不老不死の薬を残して去るんだよね。
んで、帝は、姫がいないのに生き続けたくなんかないって、富士の山で薬燃やしちゃう。
でも、今の日本人で、この二人のラブストーリーだって解釈する人、ほとんどいないよねえ。
なんつか二人とも、すっごいわかりにくいんだもん」
富士山かあ…なんか洒落じゃないけど、その帝の性格、藤が三っつついてる家紋の人を思い出したぞ。
「ま、かぐや姫が月から来たか、未来から来たかは知んないけど、そういう男性にモテるタイプだったっつーことよね」
と、カナコは笑うそぶりを見せた。
なんかちょっと、無理してるっぽかったけど。
そして京都に着くと…。
宿に荷物を置いてからにしようって、私は言ったんだけど…。
なぜかカナコは、あの日私がキーホルダーを失くした場所に、そのまま直行しようって言い張った。
うっく…。
そりゃ、一泊分の荷物なんて、そんなにたいしたことないけどさ。
やっぱちょっと重いんだけどなあ…。
あの日…幕末に私が飛んだ日に、カナコと別れた林の前…。
そして、私が未来に帰って来たときに、最初に着いた場所は…前とぜんぜん違ってなかった。
なんか、見てたら…また、ちょっと悲しくなってしまった…。
私、本当に帰れるんだろうか。
そんな私の様子を無視して、カナコはとっても事務的に言った。
「えーと…ここにあんたは立ってたんだよね」
私の両肩をぐいっとつかんで、ちょうどあの時私がいた場所に立たせる。
「そだけど…」
「じゃ、はい」
と、私の両手の中に、小さな灰色のプラスチックを押し込んできた。
見てみると、なんだかずいぶんおじさん臭いキーホルダー。
「なにこれ…?」
「パパのキーホルダー。無断で借用してきちゃった。もちろん、カギは別のに付け替えておいてきたけど」
「そんなの勝手に持ってきちゃまずいんじゃ…って、わっ!」
カナコは、いきなり私の背中をどやしつけた。
キーホルダーは、あの日のように草むらの中に飛んで行った。
私たち二人は、東京から京都へ向かった。
その日はとても晴れていて、新幹線の窓から、大きな富士山が見えた。
カナコはそれを見ながら、かぐや姫の話って、最後は富士山で終わるんだよねなんて話をした。
「原典だとさ…。かぐや姫は帝に、オレ様で強引で、私を無理やり朝廷に連れ帰ろうとしたり、月に帰すまいと軍隊まで派遣しちゃう、そんなあなたが好きでした…みたいな手紙を書いて、不老不死の薬を残して去るんだよね。
んで、帝は、姫がいないのに生き続けたくなんかないって、富士の山で薬燃やしちゃう。
でも、今の日本人で、この二人のラブストーリーだって解釈する人、ほとんどいないよねえ。
なんつか二人とも、すっごいわかりにくいんだもん」
富士山かあ…なんか洒落じゃないけど、その帝の性格、藤が三っつついてる家紋の人を思い出したぞ。
「ま、かぐや姫が月から来たか、未来から来たかは知んないけど、そういう男性にモテるタイプだったっつーことよね」
と、カナコは笑うそぶりを見せた。
なんかちょっと、無理してるっぽかったけど。
そして京都に着くと…。
宿に荷物を置いてからにしようって、私は言ったんだけど…。
なぜかカナコは、あの日私がキーホルダーを失くした場所に、そのまま直行しようって言い張った。
うっく…。
そりゃ、一泊分の荷物なんて、そんなにたいしたことないけどさ。
やっぱちょっと重いんだけどなあ…。
あの日…幕末に私が飛んだ日に、カナコと別れた林の前…。
そして、私が未来に帰って来たときに、最初に着いた場所は…前とぜんぜん違ってなかった。
なんか、見てたら…また、ちょっと悲しくなってしまった…。
私、本当に帰れるんだろうか。
そんな私の様子を無視して、カナコはとっても事務的に言った。
「えーと…ここにあんたは立ってたんだよね」
私の両肩をぐいっとつかんで、ちょうどあの時私がいた場所に立たせる。
「そだけど…」
「じゃ、はい」
と、私の両手の中に、小さな灰色のプラスチックを押し込んできた。
見てみると、なんだかずいぶんおじさん臭いキーホルダー。
「なにこれ…?」
「パパのキーホルダー。無断で借用してきちゃった。もちろん、カギは別のに付け替えておいてきたけど」
「そんなの勝手に持ってきちゃまずいんじゃ…って、わっ!」
カナコは、いきなり私の背中をどやしつけた。
キーホルダーは、あの日のように草むらの中に飛んで行った。