第五章 ファントム
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学校から地下鉄に乗って、私の家に帰る間…。
私たちはずっと黙ってた。
私の頭の中はぐるぐるして、何も考えられなかったし、カナコも余計な慰めを言う気はないみたいだった。
それに、ふたりのどちらかが何かを言ったら、こんなに混んだ電車の中で、私、また大声でわあわあ泣いちゃうような気がしてた。
地下鉄の駅を降りて…夜の街路を歩きながら、私はいろいろと考えていた。
そりゃ、幕末じゃ考えられないくらい明るく照らされてはいたけれど…。
それでも、暗い道を歩いているうちに、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
「カナコ…あのさ」
と、私は言った。
「私が幕末に飛んで…帰って来たら…神社がなくなってたってことは…歴史が少し変わってたってことに…なるのかな?」
「うん…。まあ…厳密に言えば、そうなるんじゃないかな」
「だったらさ…。私、こういう難しいこと、よくわかんないけどさ…。
どうにかしてもう一回あの時代に戻れたら、今、歴史の教科書に載っちゃってるようなことでも、変わったりしないのかな?」
私はきっと、すごい顔でカナコをにらみつけてたんだと思う。
カナコはけっこうひよっていた。
「まあ…そういうことになるんじゃない。
私も…その辺の理屈はわかんないけどさ…。
つか、ここで『もし』って話をいくらしたって、理屈こねくりまわしたって、結論は出ない話だけどさ」
「やってみないと、わかんないって話?」
「まね…。つか、やれないっしょ?そんな簡単にもう一回、幕末に戻るなんてさ」
「…やる」
「え…?」
「大久保さんは、神社を移したって書いてた。無くしたんじゃなく。
お前には探せないだろって書いてたけど…。探す。
そりゃ明治時代だったら探せないかもしれないけど、インターネットの時代をなめるんじゃないわよ。
一生かけてでも、日本全国の神社を全部回って歩く。
んで…何があっても、あの時代に戻ってやる。
だって、私の意思も聞かずに、勝手に未来に戻してくれて、ふざけんじゃないわよって言ってやらないと、ぜんっぜん気が済まない。
あれだけしつこく注意してやったのに、相変わらずひとのことばっかり考えて…。
誤解されても違うんだよって説明もしないで…。
あげくの果てに故郷の人にも、国じゅうの人にも悪口言われて…。
大事な友人まで失くして…。
それでなぶり殺しにされちゃってたら、なんのための人生なのよ。
あれじゃ、町じゅうの人に嫌われて、ごはんも食べれずにもうちょっとで死にかけてた子どものころと変わんないじゃん。
どれだけ進歩のない人なのよ。
あんとき、さんざん説教してやったのに、ちゃんと聞いてなかったでしょって言ってやる。
すっごい自分勝手だって、わかってるけど…。
絶対、こんなの、変えてやるっ」
「絶対…やるって…そんなむちゃくちゃな…」
「むちゃくちゃでいいわよっ!
自慢じゃないですけどねっ、あの人が惚れたのは、単細胞で何も考えてなくて脳みその小さい馬鹿な小娘なんだからっ!
難しいことなんかどうでもいいのよっ!
戻ると決めたら、絶対戻る!!」
私たちはずっと黙ってた。
私の頭の中はぐるぐるして、何も考えられなかったし、カナコも余計な慰めを言う気はないみたいだった。
それに、ふたりのどちらかが何かを言ったら、こんなに混んだ電車の中で、私、また大声でわあわあ泣いちゃうような気がしてた。
地下鉄の駅を降りて…夜の街路を歩きながら、私はいろいろと考えていた。
そりゃ、幕末じゃ考えられないくらい明るく照らされてはいたけれど…。
それでも、暗い道を歩いているうちに、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
「カナコ…あのさ」
と、私は言った。
「私が幕末に飛んで…帰って来たら…神社がなくなってたってことは…歴史が少し変わってたってことに…なるのかな?」
「うん…。まあ…厳密に言えば、そうなるんじゃないかな」
「だったらさ…。私、こういう難しいこと、よくわかんないけどさ…。
どうにかしてもう一回あの時代に戻れたら、今、歴史の教科書に載っちゃってるようなことでも、変わったりしないのかな?」
私はきっと、すごい顔でカナコをにらみつけてたんだと思う。
カナコはけっこうひよっていた。
「まあ…そういうことになるんじゃない。
私も…その辺の理屈はわかんないけどさ…。
つか、ここで『もし』って話をいくらしたって、理屈こねくりまわしたって、結論は出ない話だけどさ」
「やってみないと、わかんないって話?」
「まね…。つか、やれないっしょ?そんな簡単にもう一回、幕末に戻るなんてさ」
「…やる」
「え…?」
「大久保さんは、神社を移したって書いてた。無くしたんじゃなく。
お前には探せないだろって書いてたけど…。探す。
そりゃ明治時代だったら探せないかもしれないけど、インターネットの時代をなめるんじゃないわよ。
一生かけてでも、日本全国の神社を全部回って歩く。
んで…何があっても、あの時代に戻ってやる。
だって、私の意思も聞かずに、勝手に未来に戻してくれて、ふざけんじゃないわよって言ってやらないと、ぜんっぜん気が済まない。
あれだけしつこく注意してやったのに、相変わらずひとのことばっかり考えて…。
誤解されても違うんだよって説明もしないで…。
あげくの果てに故郷の人にも、国じゅうの人にも悪口言われて…。
大事な友人まで失くして…。
それでなぶり殺しにされちゃってたら、なんのための人生なのよ。
あれじゃ、町じゅうの人に嫌われて、ごはんも食べれずにもうちょっとで死にかけてた子どものころと変わんないじゃん。
どれだけ進歩のない人なのよ。
あんとき、さんざん説教してやったのに、ちゃんと聞いてなかったでしょって言ってやる。
すっごい自分勝手だって、わかってるけど…。
絶対、こんなの、変えてやるっ」
「絶対…やるって…そんなむちゃくちゃな…」
「むちゃくちゃでいいわよっ!
自慢じゃないですけどねっ、あの人が惚れたのは、単細胞で何も考えてなくて脳みその小さい馬鹿な小娘なんだからっ!
難しいことなんかどうでもいいのよっ!
戻ると決めたら、絶対戻る!!」