第五章 ファントム
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
うちの学校の土蔵は…つか、元タバコ倉庫は、倉敷とかにあるやつより、ちょっぴり洋風の、レトロな白い建物だった。
倉庫なんだけど…きっとカフェとかに改造したらきれいなんだろうなって建物で…。
いかにも明治に作られたって感じのレトロな外見の白い建物に、ツタがからんで、とっても古めかしい雰囲気もあった。
蔵の扉はいくつかあったけど、私たちは、いちばん剣道部の部室に近いのを選んだ。
カギは大きくて、古めかしくて、なんか簡単に開きそうな構造だったけど、開けるのにはすごい力が要って、私たちは何回か交代でガシガシ回してみた。
そのうちに、バチンとネジの回る音がして、土蔵の戸は開いた。
ふわっと、なんだか昔っぽい匂いが漂ってくる。
手入れは悪くないみたいだけど、それでもホコリとカビの匂いは少しした。あと、何か防虫剤っぽい匂い。
私たちは、用意してた懐中電灯をつけてみたけど…。なんか、いろんな物が置いてあって、光は中までは射し込まなかった。
「思ったより広いけど…どこ探せばいいの?」
私は、間抜けな質問をした。
蔵の天井は思ったより高くて、ステンドグラスみたいのがはまった明り取りの窓から、月の光がさしていた。
「んー…」と、スズミは考え込んだ。「創立直後のものが置いてあるなら、まずはいちばん奥じゃない?」
「あんたにしちゃ、珍しく論理的」と、カナコ。
スズミはそれを無視して、ずんずんと奥に入って行った。
私は、奥に入りながら、置いてある品物をところどころ照らして、のぞいてみた。
「何、これ…『昭和二十五年 GHQ推薦 正しい男女交際の指導法 小冊子』?」
「ゆう、寄り道して遊ばない。私たちは昭和じゃなくて、明治の探してんの」
「だってこれ、面白いよ。
『男女二人で出かける場合は、必ず男子が女子の家まで迎えに行きましょう。
家人に礼儀正しく挨拶したのち、今日の予定について詳しく説明して、許可をいただきましょう。
カフェヱには、未成年の男女二人だけで入ってはなりません』
とか書いてある」
「…幕末より厳しいとか、言いたいわけ?」と、カナコは白けた声を出した。
「こっちこっち」
と、先を進んでいたスズミが、明り取りの窓のすぐ近くを指した。そこだけ、少し高くなってて、中二階みたいになっている場所があった。
「あの辺一帯が、いちばん箱とかに書いてある字体が古い。たぶん明治だと思う」
「さすが書道部」と、珍しくカナコがほめた。
スズミは無視して、木の梯子を上って行った。
「あれ?」
「今度は何よ」と、カナコ。
「部屋みたいになってるよ、ここの上」
私とカナコは、梯子を続いて上って行った。確かに、上り切ったところはまた、扉になってた。
スズミは、鍵束をジャラジャラ言わせて、合うカギを探していたけど、こっちは意外に簡単に開いた。
「うわ…なんかきれい」
倉庫なんだけど…きっとカフェとかに改造したらきれいなんだろうなって建物で…。
いかにも明治に作られたって感じのレトロな外見の白い建物に、ツタがからんで、とっても古めかしい雰囲気もあった。
蔵の扉はいくつかあったけど、私たちは、いちばん剣道部の部室に近いのを選んだ。
カギは大きくて、古めかしくて、なんか簡単に開きそうな構造だったけど、開けるのにはすごい力が要って、私たちは何回か交代でガシガシ回してみた。
そのうちに、バチンとネジの回る音がして、土蔵の戸は開いた。
ふわっと、なんだか昔っぽい匂いが漂ってくる。
手入れは悪くないみたいだけど、それでもホコリとカビの匂いは少しした。あと、何か防虫剤っぽい匂い。
私たちは、用意してた懐中電灯をつけてみたけど…。なんか、いろんな物が置いてあって、光は中までは射し込まなかった。
「思ったより広いけど…どこ探せばいいの?」
私は、間抜けな質問をした。
蔵の天井は思ったより高くて、ステンドグラスみたいのがはまった明り取りの窓から、月の光がさしていた。
「んー…」と、スズミは考え込んだ。「創立直後のものが置いてあるなら、まずはいちばん奥じゃない?」
「あんたにしちゃ、珍しく論理的」と、カナコ。
スズミはそれを無視して、ずんずんと奥に入って行った。
私は、奥に入りながら、置いてある品物をところどころ照らして、のぞいてみた。
「何、これ…『昭和二十五年 GHQ推薦 正しい男女交際の指導法 小冊子』?」
「ゆう、寄り道して遊ばない。私たちは昭和じゃなくて、明治の探してんの」
「だってこれ、面白いよ。
『男女二人で出かける場合は、必ず男子が女子の家まで迎えに行きましょう。
家人に礼儀正しく挨拶したのち、今日の予定について詳しく説明して、許可をいただきましょう。
カフェヱには、未成年の男女二人だけで入ってはなりません』
とか書いてある」
「…幕末より厳しいとか、言いたいわけ?」と、カナコは白けた声を出した。
「こっちこっち」
と、先を進んでいたスズミが、明り取りの窓のすぐ近くを指した。そこだけ、少し高くなってて、中二階みたいになっている場所があった。
「あの辺一帯が、いちばん箱とかに書いてある字体が古い。たぶん明治だと思う」
「さすが書道部」と、珍しくカナコがほめた。
スズミは無視して、木の梯子を上って行った。
「あれ?」
「今度は何よ」と、カナコ。
「部屋みたいになってるよ、ここの上」
私とカナコは、梯子を続いて上って行った。確かに、上り切ったところはまた、扉になってた。
スズミは、鍵束をジャラジャラ言わせて、合うカギを探していたけど、こっちは意外に簡単に開いた。
「うわ…なんかきれい」