第五章 ファントム
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その晩。
私とカナコはこっそり学校に忍び込んだ。
当たり前だけど、学校の建物はすべて真っ暗で、はっきり言って、かなり気持ち悪かった。
あー…もう。なんでOKしちゃったのかなあ…。
だけど、少し先に来て待っていたスズミは、もうとにかく元気いっぱいで、盛り上がっていた。
「あれから、また少し調べてみたのよ」と、スズミは嬉しそうに言った。
この子…書道部じゃなくて、オカルト研究会に入った方がいいんじゃないのって気がしてきましたね。
なんなんですか、この情熱。
私がそんなことを考えてるとも知らず、スズミは続けた。
「うちの学校に切らずの銀杏ってあるじゃん。もともと、すぐ裏の神社の御神木でさ、傷つけると変事が起きるって言われてる木。
例の陰の創立者って人、そういう神社の言い伝えみたいな話がすっごい嫌いだったんだって。
で、うちの学校を建てるとき、そんな銀杏、切り倒せって言ったらしいよ。周りが止めたから、未遂に終わったけど」
「…それは、聞いたことある」と、カナコが言った。
「あとね、こっから歩いて10分くらいのとこ…国会議事堂のちょっと先にさ、三年坂って坂があるんだけど…。
あそこで転ぶと3年以内に死ぬって言い伝えがあるらしいんだよね」
「ふーん。だから国会議員ってのは、歩かないで車で移動すんだ」と、カナコが茶々を入れた。
「でさ、その例の陰の創立者がさ、ある日、言い伝えのせいで屋敷が売れずに困ってるって人の話聞いて、じゃあ私が買うって言ったんだって。
で、そんなバカげた話があるかって、三年坂でわざと転んで見せたんだって」
「…その続き、予想できるよ」
スズミは、カナコのツッコミを無視して、続けた。
「…で、その人、やっぱり3年以内に、すっごい悲惨な死に方したらしいよ」
「…と、言うことは、何?土蔵に出る幽霊って…その、陰の創立者さんってこと?」と、私は聞いた。
「…そういうこと」と、なぜかカナコが、すごいムスッとした顔で答えた。
「…てことは、えーと…女子剣道部のエースを見守ってるっつーのは…その、陰の創立者さんなわけ?」
「それだけじゃないわよ」
と、スズミが得意そうに答えた。
「女子剣道部の京都合宿って、創立当時かららしいから、たぶんそれも、この人が噛んでる。
…あと、入試の時の、剣道特待生制度も」
カナコが、ちらりとスズミを見た。
なんでカナコ、どんどん機嫌悪くなっていくんだろう。
「ごたくはそのへんでいいから、さっさと土蔵開けて中のぞいて、終わりにしよ」
と、カナコは言った。
それから、ふーっ、と肩を落として、大きな息をついた。
「ゆう…やっぱ、あんた嫌なら、来なくてもいいよ」
「ダメよ!」とスズミが言った。「杉浦さんが来なけりゃ意味ないじゃない」
「…あんたには、わかんないよ」
「何、それ?」と、スズミが声を高くして抗議した。
え…えと…。
何か、私のために、二人がケンカしてる?
「あの…いいよ…行くから。それより大声あげると、誰かまだ先生とかいたら、見つかるよ」
はあ、とカナコはまた、ため息をついた。
「わかった。行くよ」
私とカナコはこっそり学校に忍び込んだ。
当たり前だけど、学校の建物はすべて真っ暗で、はっきり言って、かなり気持ち悪かった。
あー…もう。なんでOKしちゃったのかなあ…。
だけど、少し先に来て待っていたスズミは、もうとにかく元気いっぱいで、盛り上がっていた。
「あれから、また少し調べてみたのよ」と、スズミは嬉しそうに言った。
この子…書道部じゃなくて、オカルト研究会に入った方がいいんじゃないのって気がしてきましたね。
なんなんですか、この情熱。
私がそんなことを考えてるとも知らず、スズミは続けた。
「うちの学校に切らずの銀杏ってあるじゃん。もともと、すぐ裏の神社の御神木でさ、傷つけると変事が起きるって言われてる木。
例の陰の創立者って人、そういう神社の言い伝えみたいな話がすっごい嫌いだったんだって。
で、うちの学校を建てるとき、そんな銀杏、切り倒せって言ったらしいよ。周りが止めたから、未遂に終わったけど」
「…それは、聞いたことある」と、カナコが言った。
「あとね、こっから歩いて10分くらいのとこ…国会議事堂のちょっと先にさ、三年坂って坂があるんだけど…。
あそこで転ぶと3年以内に死ぬって言い伝えがあるらしいんだよね」
「ふーん。だから国会議員ってのは、歩かないで車で移動すんだ」と、カナコが茶々を入れた。
「でさ、その例の陰の創立者がさ、ある日、言い伝えのせいで屋敷が売れずに困ってるって人の話聞いて、じゃあ私が買うって言ったんだって。
で、そんなバカげた話があるかって、三年坂でわざと転んで見せたんだって」
「…その続き、予想できるよ」
スズミは、カナコのツッコミを無視して、続けた。
「…で、その人、やっぱり3年以内に、すっごい悲惨な死に方したらしいよ」
「…と、言うことは、何?土蔵に出る幽霊って…その、陰の創立者さんってこと?」と、私は聞いた。
「…そういうこと」と、なぜかカナコが、すごいムスッとした顔で答えた。
「…てことは、えーと…女子剣道部のエースを見守ってるっつーのは…その、陰の創立者さんなわけ?」
「それだけじゃないわよ」
と、スズミが得意そうに答えた。
「女子剣道部の京都合宿って、創立当時かららしいから、たぶんそれも、この人が噛んでる。
…あと、入試の時の、剣道特待生制度も」
カナコが、ちらりとスズミを見た。
なんでカナコ、どんどん機嫌悪くなっていくんだろう。
「ごたくはそのへんでいいから、さっさと土蔵開けて中のぞいて、終わりにしよ」
と、カナコは言った。
それから、ふーっ、と肩を落として、大きな息をついた。
「ゆう…やっぱ、あんた嫌なら、来なくてもいいよ」
「ダメよ!」とスズミが言った。「杉浦さんが来なけりゃ意味ないじゃない」
「…あんたには、わかんないよ」
「何、それ?」と、スズミが声を高くして抗議した。
え…えと…。
何か、私のために、二人がケンカしてる?
「あの…いいよ…行くから。それより大声あげると、誰かまだ先生とかいたら、見つかるよ」
はあ、とカナコはまた、ため息をついた。
「わかった。行くよ」