第四章 東京
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それからカナコは、ひとつひとつ、絞り出すようにして、言った。
「あのさ。…こんなこと言うと…あんたなんかにわかんないって思われるかもしんないけど…。
つか…聞いて腹立ったら…怒鳴っていいけどさ」
「…え?」
「私は…大久保さんがあんたをこっちへ帰した判断は間違ってなかったと思う…。
んー…その言い方じゃ、ずるいか…。
ワガママかもしんないけど…大久保さんに、あんたを帰してもらって…感謝してる…。
あんたが、生きて帰って来てくれて…すっごい嬉しかったし…ほっとしたもの…。
あんたは…大久保さんと一緒にいられたなら、どんなに危険でもよかったって思ってるのはわかるけど…。
私は…嫌だもん。…あんたが死んじゃってたかもしれないなんて…考えたくない」
「カナコ…」
たぶん、他の子に言われてたら、私も怒ったと思う。
だけど…私は、何も言えなくなってしまった。
カナコは、私の顔を見ると、あわてて今のは無し!とでも言うように、ぶんぶんと両手をふった。
「ごめんっ。困らせるようなこと、言ってさ。
こういうことは、あたしがどう思うかじゃなくて、あんたの気持ちだよねっ」
私は首をふった。
「ううん…。カナコの気持ち、嬉しかったよ」
カナコは、なぜか知らないけど、ちょっとカチンと来たような顔をした。
「それ。そこなんだよね」
「え?」
カナコは肩を落とすと、大きく息を吐いた。
「私としてもさ、大久保さんとおんなじで、あんたには今までのことは忘れて…前を向いて進んでほしいとか…無茶なことも思っちゃってるわけよ。
だけど私は…あんたの彼氏と違って、ここ何日かのあんたを傍で見てるから…。
今までのことを忘れろとか、前を見ろとか…そんなの無理だなあ…っての、わかる。
男のひとって、言いたいこと女に伝えて、理屈っぽく説明すれば、はいそうですかって気持ちを切り替えられるように思ってるけど…。
ほんと、月に帰る時のかぐや姫のセリフじゃないけどさ、『物知らぬことなのたまひそ』だわ。
もう一生会えないって嘆いてる時に、女の気持ちがわかんないようなこと言ってんじゃないよって…そんな建前論を聞きたいんじゃないって…あんたの側にしてみりゃ、文句言いたくなるよね。
このままだと、あんたは…自分の気持ちを押し殺して…私らには大丈夫って笑って…心の底では、ずっと過去のことを引きずってく、そんな子になっちゃう…。
そういうのは…私らの望んでたことじゃないっつか…。
あんたがあの人の惚れた、単純バカで、なんでもストレートにぽんぽん言う小娘じゃなくなっちゃうような…そんなふうに追い込んじゃうのは、あんたの幸せを願ってることになんないよね」
そう言ってから、また、私の顔を見て、今のもなし!と言う感じで、首をふった。
「だめだわ、私。
なんか、しゃべればしゃべるほど、あんたが困るようなこと、言っちゃう。
さっきも言ったけど…ここは私の気持ちじゃなくて、あんたの気持ちが優先だよね…」
「…」
なんか…だんだん話についていけなくなってる感じがするけど…。
カナコが悩んでるのは、よくわかった。
そして、それが…私のためだってことも。
「ごめん、ゆう…あたし、やっぱ、もちょっと気持ち整理しないと…あんたを傷つけちゃうかも。
しばらく…一人で考えさせて」
カナコはそう言うと、立ちあがって、校舎に向かって歩き出した。
「カナコ…」
カナコは振り返ると、にっこり笑って舌を出して、ごめん、と言うように手を合わせた。
おどけた仕草なのに、なぜかとっても、悲しそうに見えた。
「あのさ。…こんなこと言うと…あんたなんかにわかんないって思われるかもしんないけど…。
つか…聞いて腹立ったら…怒鳴っていいけどさ」
「…え?」
「私は…大久保さんがあんたをこっちへ帰した判断は間違ってなかったと思う…。
んー…その言い方じゃ、ずるいか…。
ワガママかもしんないけど…大久保さんに、あんたを帰してもらって…感謝してる…。
あんたが、生きて帰って来てくれて…すっごい嬉しかったし…ほっとしたもの…。
あんたは…大久保さんと一緒にいられたなら、どんなに危険でもよかったって思ってるのはわかるけど…。
私は…嫌だもん。…あんたが死んじゃってたかもしれないなんて…考えたくない」
「カナコ…」
たぶん、他の子に言われてたら、私も怒ったと思う。
だけど…私は、何も言えなくなってしまった。
カナコは、私の顔を見ると、あわてて今のは無し!とでも言うように、ぶんぶんと両手をふった。
「ごめんっ。困らせるようなこと、言ってさ。
こういうことは、あたしがどう思うかじゃなくて、あんたの気持ちだよねっ」
私は首をふった。
「ううん…。カナコの気持ち、嬉しかったよ」
カナコは、なぜか知らないけど、ちょっとカチンと来たような顔をした。
「それ。そこなんだよね」
「え?」
カナコは肩を落とすと、大きく息を吐いた。
「私としてもさ、大久保さんとおんなじで、あんたには今までのことは忘れて…前を向いて進んでほしいとか…無茶なことも思っちゃってるわけよ。
だけど私は…あんたの彼氏と違って、ここ何日かのあんたを傍で見てるから…。
今までのことを忘れろとか、前を見ろとか…そんなの無理だなあ…っての、わかる。
男のひとって、言いたいこと女に伝えて、理屈っぽく説明すれば、はいそうですかって気持ちを切り替えられるように思ってるけど…。
ほんと、月に帰る時のかぐや姫のセリフじゃないけどさ、『物知らぬことなのたまひそ』だわ。
もう一生会えないって嘆いてる時に、女の気持ちがわかんないようなこと言ってんじゃないよって…そんな建前論を聞きたいんじゃないって…あんたの側にしてみりゃ、文句言いたくなるよね。
このままだと、あんたは…自分の気持ちを押し殺して…私らには大丈夫って笑って…心の底では、ずっと過去のことを引きずってく、そんな子になっちゃう…。
そういうのは…私らの望んでたことじゃないっつか…。
あんたがあの人の惚れた、単純バカで、なんでもストレートにぽんぽん言う小娘じゃなくなっちゃうような…そんなふうに追い込んじゃうのは、あんたの幸せを願ってることになんないよね」
そう言ってから、また、私の顔を見て、今のもなし!と言う感じで、首をふった。
「だめだわ、私。
なんか、しゃべればしゃべるほど、あんたが困るようなこと、言っちゃう。
さっきも言ったけど…ここは私の気持ちじゃなくて、あんたの気持ちが優先だよね…」
「…」
なんか…だんだん話についていけなくなってる感じがするけど…。
カナコが悩んでるのは、よくわかった。
そして、それが…私のためだってことも。
「ごめん、ゆう…あたし、やっぱ、もちょっと気持ち整理しないと…あんたを傷つけちゃうかも。
しばらく…一人で考えさせて」
カナコはそう言うと、立ちあがって、校舎に向かって歩き出した。
「カナコ…」
カナコは振り返ると、にっこり笑って舌を出して、ごめん、と言うように手を合わせた。
おどけた仕草なのに、なぜかとっても、悲しそうに見えた。