第四章 東京
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カナコは首をすくめた。
「こうだもんなあ…。あんた、つくづく大久保さんの地位とか知名度とかには興味ないみたいだね」
「だって…毎日寝る間もないくらい、仕事してたんだもん。東京の地名の話なんて、人に任せておけばよかったのに」
「だからさ。人任せにしたくない理由があったんだよ」
カナコは思わせぶりな顔で、こっちを見た。
なんか、お琴さんを思い出させる目つきだった。
「まあ、これって…相当、頭のいい人の発想かもね。
自分の惚れた女が未来に生まれてくる街の名は、東京だってわかっている。
そして、その東京って名前を、これから自分が住む街につける。
日本の首都だから、この街に東京ってつけちゃえば、まず、他の場所には東京って名前はつけられない。
つまり、あんたは確実に、この東京、自分の住む街に生まれてくる」
「…どういうこと…?」
カナコは、肩をすくめた。
「うん…これも相当回りくどいよね。
大久保さんとしては、たぶん、こう思ったわけよ。
自分の住む街を東京って名前にしといたら…。
ものすごい年とってからになっちゃうのは確実だけど…。
自分が生きてるうちに、あんたがこの街に生まれて…また会えるかもしんないって」
「…!!」
カナコは私の顔を見た途端、体を伸ばしてティッシュの箱を取ると、こっちに突き出した。
そして、続けた。
「ま、それがかなわないにしたって…。
その街を東京って名前にしとけば…当然、あんたの先祖は、自分と同じ街に住んでるってことになるわけだ。
つまり、仕事の合間にちょいちょいっと探せば、あんたそっくりで、あんたと同じ姓の女がどっかを歩いてるかもしんない。
それに…、将来、あんたが生まれたらさ。
自分が歩いてたのと同じ道を、あんたが歩くことになるわけだよ。
そのころには、街の風景も変わってるかもしんないけど、川とか老舗とか、変わんないものもきっとあるよね。
そういう、大久保さん見たのと同じ景色を、あんたも見ることになる」
私は、ティッシュの箱をにぎったまま、体が震えるのを感じた。
この箱ってけっこう大きいはずなのに、なんかよく見えなかった。
何…それ…?
何なのよ…。
私は大丈夫とか言っちゃって…全然大丈夫じゃないじゃん。
私が生まれてくるのって…百年以上先なのにさ…。
そんないつどこで生まれるかわかんないような女の子、待っててどうすんのよ…。
「…ごめん…。また、泣かせちゃったか…」
カナコは言った。
「でも、これはキチッとあんたに解説しとかないとなって、思ったんだ。
これはさすがに、回りくどすぎて、私が言わなきゃ絶対伝わんないよなと思ってさ…」
そして、また、なんか考え込むような顔をした。
私は、何も言えなくなっちゃって、ティッシュで鼻を押さえてグズグズ言ってたんだけど…。
やっぱり、ちょっと、不思議に思った。
確かに私、大久保さんの名前を京都で出したし…。
カナコは私より頭いいけど…。
でも、それだけで、今日、私のタイムトリップした話を聞かされてすぐに…ここまで深い推理ができるのかな?
「とりあえずさ…」
と、カナコは言った。
「あんた、明日から、学校、来るんだよね?」
私は、声を出さずにうなずいた。
「そか…。なんかその前に、あんたのこと、これだけ好きな人がいたんだよって、も一回、確認しときたかったんだ。
いろいろ、めげないようにさ」
と、カナコは、よくわかんないことを言うと、立ちあがって、ぽんぽんって私の背中をたたくと、帰って行った。
いったい、何だったんだろう…?
「こうだもんなあ…。あんた、つくづく大久保さんの地位とか知名度とかには興味ないみたいだね」
「だって…毎日寝る間もないくらい、仕事してたんだもん。東京の地名の話なんて、人に任せておけばよかったのに」
「だからさ。人任せにしたくない理由があったんだよ」
カナコは思わせぶりな顔で、こっちを見た。
なんか、お琴さんを思い出させる目つきだった。
「まあ、これって…相当、頭のいい人の発想かもね。
自分の惚れた女が未来に生まれてくる街の名は、東京だってわかっている。
そして、その東京って名前を、これから自分が住む街につける。
日本の首都だから、この街に東京ってつけちゃえば、まず、他の場所には東京って名前はつけられない。
つまり、あんたは確実に、この東京、自分の住む街に生まれてくる」
「…どういうこと…?」
カナコは、肩をすくめた。
「うん…これも相当回りくどいよね。
大久保さんとしては、たぶん、こう思ったわけよ。
自分の住む街を東京って名前にしといたら…。
ものすごい年とってからになっちゃうのは確実だけど…。
自分が生きてるうちに、あんたがこの街に生まれて…また会えるかもしんないって」
「…!!」
カナコは私の顔を見た途端、体を伸ばしてティッシュの箱を取ると、こっちに突き出した。
そして、続けた。
「ま、それがかなわないにしたって…。
その街を東京って名前にしとけば…当然、あんたの先祖は、自分と同じ街に住んでるってことになるわけだ。
つまり、仕事の合間にちょいちょいっと探せば、あんたそっくりで、あんたと同じ姓の女がどっかを歩いてるかもしんない。
それに…、将来、あんたが生まれたらさ。
自分が歩いてたのと同じ道を、あんたが歩くことになるわけだよ。
そのころには、街の風景も変わってるかもしんないけど、川とか老舗とか、変わんないものもきっとあるよね。
そういう、大久保さん見たのと同じ景色を、あんたも見ることになる」
私は、ティッシュの箱をにぎったまま、体が震えるのを感じた。
この箱ってけっこう大きいはずなのに、なんかよく見えなかった。
何…それ…?
何なのよ…。
私は大丈夫とか言っちゃって…全然大丈夫じゃないじゃん。
私が生まれてくるのって…百年以上先なのにさ…。
そんないつどこで生まれるかわかんないような女の子、待っててどうすんのよ…。
「…ごめん…。また、泣かせちゃったか…」
カナコは言った。
「でも、これはキチッとあんたに解説しとかないとなって、思ったんだ。
これはさすがに、回りくどすぎて、私が言わなきゃ絶対伝わんないよなと思ってさ…」
そして、また、なんか考え込むような顔をした。
私は、何も言えなくなっちゃって、ティッシュで鼻を押さえてグズグズ言ってたんだけど…。
やっぱり、ちょっと、不思議に思った。
確かに私、大久保さんの名前を京都で出したし…。
カナコは私より頭いいけど…。
でも、それだけで、今日、私のタイムトリップした話を聞かされてすぐに…ここまで深い推理ができるのかな?
「とりあえずさ…」
と、カナコは言った。
「あんた、明日から、学校、来るんだよね?」
私は、声を出さずにうなずいた。
「そか…。なんかその前に、あんたのこと、これだけ好きな人がいたんだよって、も一回、確認しときたかったんだ。
いろいろ、めげないようにさ」
と、カナコは、よくわかんないことを言うと、立ちあがって、ぽんぽんって私の背中をたたくと、帰って行った。
いったい、何だったんだろう…?