第三章 ストーリーテラー
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そうか…。
私は気がついた。
百何十年も前の写真が、ここに残っているのって、奇跡に近いんだ。
もしここが、京都じゃなくて大阪や東京だったら…戦争で空襲にあって、店ごと燃えてたってことなんだ。
そうじゃなくても、店がつぶれたり、昔のことに興味のない店主さんになったりしてたら…この写真はきっとどこかにやられていたろう。
あの時、私は本当に何枚も写真を撮られて、皆に配ったけど…。
きっと、百何十年もの間に、それぞれの写真はそれぞれの場所で焼けちゃったり、捨てられちゃったりして、この一枚だけが残ったんだ。
だけど…どういうこと?
ちゃんと百何十年先まで残るかどうかわからないような写真に頼ってまで…。
そんな、細い細いわずかなつながりの可能性に賭けてまで、私をこの店に呼び入れたかったのって…なぜ?
「その出資者って…お…大久保さんって人ですか?」
そう、私が言うと、店主さんは目を見開いた。
「ええ。そのとおりですが…。驚いたな…。なぜわかったのですか?」
と、店主さんは素直な気持ちをもらした後で、ぽろっと、冗談めかせて言った。
「まさか…君は…ゆうさんという名前では…ないですよね?」
「いえ…その、ゆうです。杉浦ゆうといいます」
店主さんは、とても真剣な顔になった。白い細長い指で眼鏡を押し上げながら、何事かを考え込む。
「あなたは…その…大久保さんという人にとって、この写真にどういう意味があったのかをご存じなのですか?」
「はい…それはよく…。でも…。
なぜあの人が、この写真を百何十年も店の前に飾り続けさせて、私を呼び入れようとしたかは…わかりません」
店主さんはにっこり笑った。
「それについては、私の方が熟知しているらしいですね」
「え…」
店主さんは、店のカウンターテーブルを拭いて、白い布を敷き、その上に大事そうに写真を置いた。
「…ちょっと緊張しますね。何しろ、百何十年目かに、やっと頼まれた仕事を果たせるわけだ。
実は…君に見せなければいけないものがあります」
そう言って、写真の額を裏返した。
「え…?」
店主さんは、額の裏のふたをはずして、中から折りたたんだ紙を取り出した。
「君宛ての、手紙です」
私は気がついた。
百何十年も前の写真が、ここに残っているのって、奇跡に近いんだ。
もしここが、京都じゃなくて大阪や東京だったら…戦争で空襲にあって、店ごと燃えてたってことなんだ。
そうじゃなくても、店がつぶれたり、昔のことに興味のない店主さんになったりしてたら…この写真はきっとどこかにやられていたろう。
あの時、私は本当に何枚も写真を撮られて、皆に配ったけど…。
きっと、百何十年もの間に、それぞれの写真はそれぞれの場所で焼けちゃったり、捨てられちゃったりして、この一枚だけが残ったんだ。
だけど…どういうこと?
ちゃんと百何十年先まで残るかどうかわからないような写真に頼ってまで…。
そんな、細い細いわずかなつながりの可能性に賭けてまで、私をこの店に呼び入れたかったのって…なぜ?
「その出資者って…お…大久保さんって人ですか?」
そう、私が言うと、店主さんは目を見開いた。
「ええ。そのとおりですが…。驚いたな…。なぜわかったのですか?」
と、店主さんは素直な気持ちをもらした後で、ぽろっと、冗談めかせて言った。
「まさか…君は…ゆうさんという名前では…ないですよね?」
「いえ…その、ゆうです。杉浦ゆうといいます」
店主さんは、とても真剣な顔になった。白い細長い指で眼鏡を押し上げながら、何事かを考え込む。
「あなたは…その…大久保さんという人にとって、この写真にどういう意味があったのかをご存じなのですか?」
「はい…それはよく…。でも…。
なぜあの人が、この写真を百何十年も店の前に飾り続けさせて、私を呼び入れようとしたかは…わかりません」
店主さんはにっこり笑った。
「それについては、私の方が熟知しているらしいですね」
「え…」
店主さんは、店のカウンターテーブルを拭いて、白い布を敷き、その上に大事そうに写真を置いた。
「…ちょっと緊張しますね。何しろ、百何十年目かに、やっと頼まれた仕事を果たせるわけだ。
実は…君に見せなければいけないものがあります」
そう言って、写真の額を裏返した。
「え…?」
店主さんは、額の裏のふたをはずして、中から折りたたんだ紙を取り出した。
「君宛ての、手紙です」