第一章 それぞれの思惑
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「えと…竹取物語って…かぐや姫ですよね。月からきたお姫様が、帰って行くって言う…」
「確かにかぐや姫だが…、問題はそこじゃない。出だしの方だ。
あれは、京都の南の外れあたりの竹林で、美しい女が見つかる話だよな。
そして、お前が突然現れた例の鳥居は、京都の南の外れにあって、竹林もある。
お前は、美しいというより、愛らしいと言った方がいいけどな」
と、高杉さんは言った。
えと…。
なんか、話の飛び具合について行けないんですけど。
「かぐや姫は、ただのおとぎ話だろう?」
と、桂さんが呆れたように言う。
私も、うんうんとうなずいた。
すると、なぜか高杉さんは、にやりと得意そうに笑った。
「だからシロウトは甘いってのさ。古典文学をバカにするなと言ったろう?
おとぎ話ってのは、元になった話をたどるとだな。けっこう元ネタがあるもんなんだぜ?
数十年前から百年前くらいの古文書に、話の元になった説話が必ずいくつかあって…。
なんとそいつが、実際の事件だったり…なんてことも、時々ある」
「いくらなんでも、かぐや姫が実話なわけがないだろう?」
「まあ、月から来たなんて話は、ありえんけどな。
突然、妙な格好をした女が、竹林の中から現れたって話なら…記録にあった。
さすが京都だ。そんな昔の記録も、ちゃんと古書屋で売ってたぜ。写しだがな」
と、高杉さんは、懐から、ものすごく古そうな本を引っ張り出して、桂さんに渡した。
桂さんは、少し迷惑そうな顔をした。
それでも、素直に本を開いて、ざっと目を走らせる。
「何だ、これは?」
「気になるだろう?」と高杉さんがにやにやした。
「何なんですか?」
そんな漢文ばっかりの本が読めない私は、置いてきぼりをくって、ひとりぽかんとしていた。
桂さんが、少しずつ、拾い読みしてくれる。
「これは…何というか…記録文書だな。
延暦の初めに竹林の中で、妙な服を着た娘が…石の室から現れた…。かぐや姫と違って、普通の身長だ…。
そして話す内容はと言えば、妙にからくりの発達した世界から来たと言う…。
そして、いろいろと不思議な話をしていたが、ある日、元の世界に帰って行った、と…。
まるでゆうさんの話とそっくりじゃないか…」
「だろ?
ついでに、その女が帰って行ったというのは、どうやらこの神社の境内のどこかからしい」
「えっ…」
「つまり、その文書が実際の出来事の記録なら、この神社のせいで『たいむすりっぷ』をした女は、ゆうが最初じゃないという話になる」
「そんな無茶な…。こんな大昔の話を、まともに信じるなんてどうかしているよ」と、桂さん。
「だが、実際にゆうはここにいる。その奈良時代の女もいなかったとは言い切れんだろ?
頭で考えていても仕方ない。実地で検証してみるのが先だ。
で、今日ここへ来てみたわけだ。」
え…えと…。
よくわかんないんですけど…。
高杉さんの言いたいのって…。
かぐや姫のモデルになったのは…未来から奈良時代にタイムスリップしちゃった女の子ってこと?
「確かにかぐや姫だが…、問題はそこじゃない。出だしの方だ。
あれは、京都の南の外れあたりの竹林で、美しい女が見つかる話だよな。
そして、お前が突然現れた例の鳥居は、京都の南の外れにあって、竹林もある。
お前は、美しいというより、愛らしいと言った方がいいけどな」
と、高杉さんは言った。
えと…。
なんか、話の飛び具合について行けないんですけど。
「かぐや姫は、ただのおとぎ話だろう?」
と、桂さんが呆れたように言う。
私も、うんうんとうなずいた。
すると、なぜか高杉さんは、にやりと得意そうに笑った。
「だからシロウトは甘いってのさ。古典文学をバカにするなと言ったろう?
おとぎ話ってのは、元になった話をたどるとだな。けっこう元ネタがあるもんなんだぜ?
数十年前から百年前くらいの古文書に、話の元になった説話が必ずいくつかあって…。
なんとそいつが、実際の事件だったり…なんてことも、時々ある」
「いくらなんでも、かぐや姫が実話なわけがないだろう?」
「まあ、月から来たなんて話は、ありえんけどな。
突然、妙な格好をした女が、竹林の中から現れたって話なら…記録にあった。
さすが京都だ。そんな昔の記録も、ちゃんと古書屋で売ってたぜ。写しだがな」
と、高杉さんは、懐から、ものすごく古そうな本を引っ張り出して、桂さんに渡した。
桂さんは、少し迷惑そうな顔をした。
それでも、素直に本を開いて、ざっと目を走らせる。
「何だ、これは?」
「気になるだろう?」と高杉さんがにやにやした。
「何なんですか?」
そんな漢文ばっかりの本が読めない私は、置いてきぼりをくって、ひとりぽかんとしていた。
桂さんが、少しずつ、拾い読みしてくれる。
「これは…何というか…記録文書だな。
延暦の初めに竹林の中で、妙な服を着た娘が…石の室から現れた…。かぐや姫と違って、普通の身長だ…。
そして話す内容はと言えば、妙にからくりの発達した世界から来たと言う…。
そして、いろいろと不思議な話をしていたが、ある日、元の世界に帰って行った、と…。
まるでゆうさんの話とそっくりじゃないか…」
「だろ?
ついでに、その女が帰って行ったというのは、どうやらこの神社の境内のどこかからしい」
「えっ…」
「つまり、その文書が実際の出来事の記録なら、この神社のせいで『たいむすりっぷ』をした女は、ゆうが最初じゃないという話になる」
「そんな無茶な…。こんな大昔の話を、まともに信じるなんてどうかしているよ」と、桂さん。
「だが、実際にゆうはここにいる。その奈良時代の女もいなかったとは言い切れんだろ?
頭で考えていても仕方ない。実地で検証してみるのが先だ。
で、今日ここへ来てみたわけだ。」
え…えと…。
よくわかんないんですけど…。
高杉さんの言いたいのって…。
かぐや姫のモデルになったのは…未来から奈良時代にタイムスリップしちゃった女の子ってこと?