第三章 ストーリーテラー
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病気の方は、カナコが言ったように、薬が効いてきた後は、熱もだんだんおさまってきて、ふつうのひどい風邪くらいになった。
だけど、カナコには思いっきり怒られた。
「ほんとにさ、猩紅熱ってのは、今は抗生物質ですぐ治るけど…明治とかだったら、死んじゃったり、一生残る後遺症になったりする病気なんだからね。
医者にもかかんないで、ふらふらしてんじゃないわよ」
だから、カナコには言えなかった。
ほんとは、病気がもっと重くて、死んじゃってたらよかったのになんて、思ったこと。
両親やカナコにやっと再会できたのも、私のよく知ってる平和な二十一世紀の世界に戻って来れたのも、もちろん嬉しかった。
病院の食事に、小さなパック入りのプリンが出て来ただけで、なんか感激してしまった。
でも、胸のど真ん中に、大きい大きい穴が開いてるような、寒い風がすうすう抜けてるような、そんな気持ちは、それじゃ消せなかった。
ほんの少しでも、軽くなりそうな気配もなかった。
窓から空をながめて、空の色が違うだけで、涙がじわっと出てくるくらい、悲しかった。
街の景色を見ても、現実のものだとはわかっているのに、なぜか作りもののように見えて、自分がいちゃいけない場所にいるような気がしてしまう。
なまじっか、もう絶対帰れないと思っていたから…。
もうものすごい真剣に、あの時代で生きていくんだって、心に決めていたから…。
「突然、未来に帰れなんて、ひどいよ。
…心の準備、全然できてなかったじゃん」
私は、天に向かって、文句言ってみた。
大久保さんは悪ぶって、自分が死んだら絶対地獄行きだみたいなこと言ってたけど…。
今ごろ、なんで天国なんだ、こんなところは毎日暇でつまらん、とかぶつくさ言ってる気がする。
でも、天に向かって文句言ったって、答えは返って来ないよね。
心の準備ができてなかった理由のひとつは、あのキーホルダーが見つかんないって言われてたからだけど。
本当は大久保さんが持ってた。
なんで、隠してたんだろう。
お前で遊ぶのも飽きたって言われたけど…。
私を遊びでからかうために、見つかんないって言ってたとか…そんなことは…ないよね?
大久保さんは、私のこと、好きでいてくれると思ったのに。
どうして、急に…あんな冷たくなったの?
もう、私のこと、顔も見たくないぐらい、嫌いになっちゃったのかな。
いきなり、むりやり帰されちゃうなんて…私、いったい何をしたんだろう?
そうやって考え込んでしまうと…情けないけど…思い当ることは、山ほどある。
つか、私みたいにバカで考えなしで何もできない子、大久保さんみたいな人が好きになってくれたって考える方が、よっぽど図々しいような気がしてしまう。
こんなイジイジ悩んでちゃ、ダメなんだろうなとは思ったけど。
いつもと違って…ダメだから前を向いて頑張ろうなんて気には、全然なれなかった。
だけど、カナコには思いっきり怒られた。
「ほんとにさ、猩紅熱ってのは、今は抗生物質ですぐ治るけど…明治とかだったら、死んじゃったり、一生残る後遺症になったりする病気なんだからね。
医者にもかかんないで、ふらふらしてんじゃないわよ」
だから、カナコには言えなかった。
ほんとは、病気がもっと重くて、死んじゃってたらよかったのになんて、思ったこと。
両親やカナコにやっと再会できたのも、私のよく知ってる平和な二十一世紀の世界に戻って来れたのも、もちろん嬉しかった。
病院の食事に、小さなパック入りのプリンが出て来ただけで、なんか感激してしまった。
でも、胸のど真ん中に、大きい大きい穴が開いてるような、寒い風がすうすう抜けてるような、そんな気持ちは、それじゃ消せなかった。
ほんの少しでも、軽くなりそうな気配もなかった。
窓から空をながめて、空の色が違うだけで、涙がじわっと出てくるくらい、悲しかった。
街の景色を見ても、現実のものだとはわかっているのに、なぜか作りもののように見えて、自分がいちゃいけない場所にいるような気がしてしまう。
なまじっか、もう絶対帰れないと思っていたから…。
もうものすごい真剣に、あの時代で生きていくんだって、心に決めていたから…。
「突然、未来に帰れなんて、ひどいよ。
…心の準備、全然できてなかったじゃん」
私は、天に向かって、文句言ってみた。
大久保さんは悪ぶって、自分が死んだら絶対地獄行きだみたいなこと言ってたけど…。
今ごろ、なんで天国なんだ、こんなところは毎日暇でつまらん、とかぶつくさ言ってる気がする。
でも、天に向かって文句言ったって、答えは返って来ないよね。
心の準備ができてなかった理由のひとつは、あのキーホルダーが見つかんないって言われてたからだけど。
本当は大久保さんが持ってた。
なんで、隠してたんだろう。
お前で遊ぶのも飽きたって言われたけど…。
私を遊びでからかうために、見つかんないって言ってたとか…そんなことは…ないよね?
大久保さんは、私のこと、好きでいてくれると思ったのに。
どうして、急に…あんな冷たくなったの?
もう、私のこと、顔も見たくないぐらい、嫌いになっちゃったのかな。
いきなり、むりやり帰されちゃうなんて…私、いったい何をしたんだろう?
そうやって考え込んでしまうと…情けないけど…思い当ることは、山ほどある。
つか、私みたいにバカで考えなしで何もできない子、大久保さんみたいな人が好きになってくれたって考える方が、よっぽど図々しいような気がしてしまう。
こんなイジイジ悩んでちゃ、ダメなんだろうなとは思ったけど。
いつもと違って…ダメだから前を向いて頑張ろうなんて気には、全然なれなかった。