第二章 物知らぬことなのたまひそ
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その晩は、もう遅かったから、とにかく寝ろと言われて、私は布団に押し込まれた。
何だかよくわかんなかったけど…確かに少し熱っぽかったから、素直に眠ることにした。
翌朝、目がさめると、昨晩だるかったのはすっかり治っていて、ものすごく気分よく、目が覚めた。
朝ごはんを食べていると、大久保さんがやって来て、まるで高杉さんがやるみたいに、私のスクバの中をのぞきこんだ。
「何してるんですか」
「小娘、確か前に言っていたな。
未来では、遠く離れた相手に、一瞬で文を送ることができるとか、何とか」
「メールですか」
「名は知らん。お前の持っている道具で、できるのか?」
何で突然、そんなものに興味を持ったんだろう?
「ケータイで、できますよ。ただ、ここは圏外だから無理だけど」
すると、大久保さんは圏外とは何かと聞いて来たので、私は説明した。
何だかしらないけど、急にメールに興味を持ち始めた大久保さんは、それはしつこくケータイの機能を聞いて来た。
さすがに、電気もない時代の人だから、ところどころトンチンカンなことを言ったけど、私が朝ごはんを食べ終わる頃には、それなりに大雑把なところは理解したみたいだった。
私の体調を聞いて、すっかり元気になったと聞いた大久保さんは、妙に機嫌よく、朝の散歩に付き合えなどと言い出した。
今まで、そんなことなかったから、驚いてしまった。
「…外出禁止じゃなかったんですか?」
「まあ、そうだな。外に出ても、私から十尺以上離れることは、許さん。
本来なら、首に縄をつけておきたいところだが…そうもいくまい」
なんか、本気で私の首に縄つけそうな顔をしてるから、怖いです。
で、なぜか大久保さんは、まだしつこくケータイにこだわっていたので、なんとなく大久保さんにスクバを持ってもらって、お散歩に出かけることになってしまった。
大久保さんは、珍しく、ゆっくりと私に合わせて歩いてくれた。
やっぱ、昨日、熱っぽかったせいかな。
そして、連れて行かれた先は、例の神社だった。
途中、林のそばのこんもり茂った草むらの前で、大久保さんは私に聞いた。
「お前が、未来でキーホルダーを失くしたという雑木林と、ここの風景は似とるか?」
「そうですね…けっこう、似てるかも」
「なら、その、なんだ…写メとやら言うものを作ってみせろ」
「へ?」
意味が分かんない。
ま、いいや。
私は、林と草むらの写真を撮ると、メールを作成して、貼りつけた。
「宛先は…そうだな、お前の親友がいたろう。そいつにしろ」
「カナコですか?」
はいはい。なんか、おじいちゃんのケータイを代わりに操作してあげた時のことを、思い出してしまう。
昔の男の人って、時々、なんか無意味なとこで、機械の操作にこだわるからなあ…。
下手な質問するとドツボにはまるから…言うとおりにしとこっと。
「本文はだな…。ま、適当に挨拶を書いて、後ろに『しょうこうねつになった』と打て」
「なんですか、それ」
「知らんのか?いい傾向だ」
「へ?」
「知らんということは、お前の育った時代では、大したものではないということだからな」
そう言って、大久保さんは機嫌良さそうに笑った。
「しかし、未来のひらがなというやつは、読みにくいな」
うーん…高杉さんが未来の物に興味を持った時って、ある意味、とってもわかりやすかったけど…。
大久保さんがケータイをオモチャにして遊ぶ方法って…いまいち、何が楽しいのかよくわかんないです。
とにかく、大久保さんは、興味津々といった様子で、私の横からケータイの画面をのぞきこむと、
「送信してみろ」
と、無理難題を言った。
「だから、圏外だから無理ですって」
「では、圏内とやらになったら、勝手に送られるように指定してみろ」
「いいですけど…。この時代にいる限り、永久に圏内にはなりませんよ」
「いいから、やれ」
よくわかんないなあ…。
ま、逆らってもしかたないので、私はそのとおりにした。
大久保さんは、ふん、と言うとなんだか満足したように、歩き出した。
私は、その後を素直について行ったんだけど…。
神社の、例のしめ縄のある場所に着くと、大久保さんは言った。
「小娘、お前は未来に帰れ」
何だかよくわかんなかったけど…確かに少し熱っぽかったから、素直に眠ることにした。
翌朝、目がさめると、昨晩だるかったのはすっかり治っていて、ものすごく気分よく、目が覚めた。
朝ごはんを食べていると、大久保さんがやって来て、まるで高杉さんがやるみたいに、私のスクバの中をのぞきこんだ。
「何してるんですか」
「小娘、確か前に言っていたな。
未来では、遠く離れた相手に、一瞬で文を送ることができるとか、何とか」
「メールですか」
「名は知らん。お前の持っている道具で、できるのか?」
何で突然、そんなものに興味を持ったんだろう?
「ケータイで、できますよ。ただ、ここは圏外だから無理だけど」
すると、大久保さんは圏外とは何かと聞いて来たので、私は説明した。
何だかしらないけど、急にメールに興味を持ち始めた大久保さんは、それはしつこくケータイの機能を聞いて来た。
さすがに、電気もない時代の人だから、ところどころトンチンカンなことを言ったけど、私が朝ごはんを食べ終わる頃には、それなりに大雑把なところは理解したみたいだった。
私の体調を聞いて、すっかり元気になったと聞いた大久保さんは、妙に機嫌よく、朝の散歩に付き合えなどと言い出した。
今まで、そんなことなかったから、驚いてしまった。
「…外出禁止じゃなかったんですか?」
「まあ、そうだな。外に出ても、私から十尺以上離れることは、許さん。
本来なら、首に縄をつけておきたいところだが…そうもいくまい」
なんか、本気で私の首に縄つけそうな顔をしてるから、怖いです。
で、なぜか大久保さんは、まだしつこくケータイにこだわっていたので、なんとなく大久保さんにスクバを持ってもらって、お散歩に出かけることになってしまった。
大久保さんは、珍しく、ゆっくりと私に合わせて歩いてくれた。
やっぱ、昨日、熱っぽかったせいかな。
そして、連れて行かれた先は、例の神社だった。
途中、林のそばのこんもり茂った草むらの前で、大久保さんは私に聞いた。
「お前が、未来でキーホルダーを失くしたという雑木林と、ここの風景は似とるか?」
「そうですね…けっこう、似てるかも」
「なら、その、なんだ…写メとやら言うものを作ってみせろ」
「へ?」
意味が分かんない。
ま、いいや。
私は、林と草むらの写真を撮ると、メールを作成して、貼りつけた。
「宛先は…そうだな、お前の親友がいたろう。そいつにしろ」
「カナコですか?」
はいはい。なんか、おじいちゃんのケータイを代わりに操作してあげた時のことを、思い出してしまう。
昔の男の人って、時々、なんか無意味なとこで、機械の操作にこだわるからなあ…。
下手な質問するとドツボにはまるから…言うとおりにしとこっと。
「本文はだな…。ま、適当に挨拶を書いて、後ろに『しょうこうねつになった』と打て」
「なんですか、それ」
「知らんのか?いい傾向だ」
「へ?」
「知らんということは、お前の育った時代では、大したものではないということだからな」
そう言って、大久保さんは機嫌良さそうに笑った。
「しかし、未来のひらがなというやつは、読みにくいな」
うーん…高杉さんが未来の物に興味を持った時って、ある意味、とってもわかりやすかったけど…。
大久保さんがケータイをオモチャにして遊ぶ方法って…いまいち、何が楽しいのかよくわかんないです。
とにかく、大久保さんは、興味津々といった様子で、私の横からケータイの画面をのぞきこむと、
「送信してみろ」
と、無理難題を言った。
「だから、圏外だから無理ですって」
「では、圏内とやらになったら、勝手に送られるように指定してみろ」
「いいですけど…。この時代にいる限り、永久に圏内にはなりませんよ」
「いいから、やれ」
よくわかんないなあ…。
ま、逆らってもしかたないので、私はそのとおりにした。
大久保さんは、ふん、と言うとなんだか満足したように、歩き出した。
私は、その後を素直について行ったんだけど…。
神社の、例のしめ縄のある場所に着くと、大久保さんは言った。
「小娘、お前は未来に帰れ」