第二章 物知らぬことなのたまひそ
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私は、急に不安になった。
大久保さんが、このまま、ふっとどっかに消えちゃうんじゃないか…みたいな、変な気分になった。
だから、隣に座った大久保さんとの距離を、ちょっとだけ詰めてみた。
肩が触れて、体温が伝わってきて…少しだけ安心した。
大久保さんは、何気なく…小娘、何を甘えてるんだとでも言いたげな感じで、片手を伸ばすと、私の髪をくしゃくしゃっとかき上げてくれて…。
ふと、その手が止まった。
急に、私に向き直る。私の顔を見た途端、細い眉がきゅっと曲がった。
「小娘、お前、少し熱が出ているな」
「え…」
「自分で気づいとらんかったのか?舌を出してみろ」
なんか、声のトーンがきつくなった。
舌…?なんでまた?
そう思ったけど、私は素直に舌を出した。
「小娘、お前…最近、どこか出先で、病気の子どもの近くに行かなかったか?」
う…。
いきなり、その話をツッコまれるとは思わなかった…。
「あの…。行きました」
「その子どもは、体に赤い発疹ができてなかったか?」
「はい…」
大久保さんは、それ以上は詳しく聞こうとしなかった。
その代わり、私の手を引いて、藩医の先生のところに連れて行った。
藩医の先生は、私を見ると、大久保さんと同じように、少し妙な表情をした。
また、舌を出せと言われて…。
病気の子どもと、どこで会ったかを詳しく聞いて来た。
だから、しかたなく話したんだけど…。
大久保さんは、私が話し出してすぐ、さっと後ろを向いてしまった。
私の方を、見ようともしてくれない。
やっぱり、よくないことだったのかな…。
大久保さんが、声を荒げた。
「だから…お前は考えなしだと言うんだっ!」
「ごめんなさい…」
「…お前は…何でも軽く考えて、そうやっていつも、ふらふらと出歩いてしまう。
お前にとっては、何でもなく見えることが、どれほど危険かということに、まったく気づきもしない…」
え…?
私は、大久保さんの言っていることが、よくわからなかった。
大久保さんが怒っているのは、弟さんのお墓を勝手に探したことじゃないの?
「…そんな馬鹿な小娘でも…私は自分なら守れると思っていた…。
ふん。とんだ茶番だ。思い上がりもいいところだったな…」
大久保さんはそう言って、背中で笑った。
笑ったんだけど…なんだか、すごく悲しそうに見えた。
大久保さんが、このまま、ふっとどっかに消えちゃうんじゃないか…みたいな、変な気分になった。
だから、隣に座った大久保さんとの距離を、ちょっとだけ詰めてみた。
肩が触れて、体温が伝わってきて…少しだけ安心した。
大久保さんは、何気なく…小娘、何を甘えてるんだとでも言いたげな感じで、片手を伸ばすと、私の髪をくしゃくしゃっとかき上げてくれて…。
ふと、その手が止まった。
急に、私に向き直る。私の顔を見た途端、細い眉がきゅっと曲がった。
「小娘、お前、少し熱が出ているな」
「え…」
「自分で気づいとらんかったのか?舌を出してみろ」
なんか、声のトーンがきつくなった。
舌…?なんでまた?
そう思ったけど、私は素直に舌を出した。
「小娘、お前…最近、どこか出先で、病気の子どもの近くに行かなかったか?」
う…。
いきなり、その話をツッコまれるとは思わなかった…。
「あの…。行きました」
「その子どもは、体に赤い発疹ができてなかったか?」
「はい…」
大久保さんは、それ以上は詳しく聞こうとしなかった。
その代わり、私の手を引いて、藩医の先生のところに連れて行った。
藩医の先生は、私を見ると、大久保さんと同じように、少し妙な表情をした。
また、舌を出せと言われて…。
病気の子どもと、どこで会ったかを詳しく聞いて来た。
だから、しかたなく話したんだけど…。
大久保さんは、私が話し出してすぐ、さっと後ろを向いてしまった。
私の方を、見ようともしてくれない。
やっぱり、よくないことだったのかな…。
大久保さんが、声を荒げた。
「だから…お前は考えなしだと言うんだっ!」
「ごめんなさい…」
「…お前は…何でも軽く考えて、そうやっていつも、ふらふらと出歩いてしまう。
お前にとっては、何でもなく見えることが、どれほど危険かということに、まったく気づきもしない…」
え…?
私は、大久保さんの言っていることが、よくわからなかった。
大久保さんが怒っているのは、弟さんのお墓を勝手に探したことじゃないの?
「…そんな馬鹿な小娘でも…私は自分なら守れると思っていた…。
ふん。とんだ茶番だ。思い上がりもいいところだったな…」
大久保さんはそう言って、背中で笑った。
笑ったんだけど…なんだか、すごく悲しそうに見えた。