第十章 炎上
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そんな悲惨な戦だったから、お公家さんたちは、開戦の知らせを聞いて、心底ふるえあがっちゃったらしい。
大久保さんが御所についた時、お公家さんたちの頭の中には、もうとにかく戦から…京都から逃げたいということしかなかった。
そして、こそこそと皆で、どうやって逃げるかと相談をしてた。
あと一歩遅かったら、本当に皆、逃げちゃってたらしい。
私は政治のことはよくわかんないけど…ここでお公家さんや天皇陛下が京都から逃げてたら、その時点でゲームオーバーで、薩長の負けだったらしい。
朝廷の後ろ盾を失ってしまえば、その途端、薩長軍は賊軍になってしまう。
そして、日本全国逃げ回って…皆に袋叩きにされて、なぶり殺しにされて終わり…ってパターンもありえたんだって。
よくわかんないけど。
だけど、御所に駆けつけた大久保さんを見て、お公家さんたちはびっくりしてしまった。
最近はいつも苦虫をかみつぶしたような顔をして、深刻な雰囲気で倒幕を語っていた大久保さんが、その日はもう上機嫌でにこにこしていた。
鳥羽や伏見で戦が始まっても、そうか、よくやったとか言っちゃって、あたり中に幸せオーラをまき散らしていたらしい。
で、あんまり大久保さんが上機嫌で余裕の態度なので、お公家さんとか天皇陛下とか、朝廷にいた全員が、これはこの戦、絶対勝つぞと確信しちゃったんだって。
いかにも御所っぽい御簾のかかった広間の片隅で、お公家さんたちが期待して見守る中…。
大久保さんは、いかにも参謀って感じで白い扇子をパチリパチリと鳴らしながら、
「まあ、これならきっと勝つでしょうという作戦はあります。お聞きになりますかな」
と、うそぶいた。
お公家さんたちは一斉にうんうんとうなずいた…らしい。
私は見てないから知らないんだけどさ。
とにかく朝廷の人たちって、それまで何かにつけびくびくして、少し情勢が動くと有利な方へ味方するって感じだったのに…。
大久保さんが絶対勝つ作戦があるとか言い切っちゃうもんだから、皆喜んじゃって、薩長を全面的に応援するぞ、おおって方向で、いきなり団結して盛り上がっちゃったらしいです。
作戦はすぐに実行の許可が下りた。
薩長の軍には、錦の御旗…つまり、天皇陛下の軍隊であることを示す旗が掲げられた。
まあ、そんな旗が使われるのは何百年かぶりだから…知らない人がほとんどだったろうとは思うけど…。
少なくとも、将軍様は知ってた。なにしろ、水戸の出身だもん。
確か、武市さんが言ってたけど…幕末のいろいろ難しい尊皇攘夷の話って、本家本元は水戸らしいもんね。
将軍様は錦旗の話を聞いて、びっくりして逃げちゃった。その時点で、幕軍側がほとんどゲームオーバーに近い状態になっちゃったわけです。
土佐とか他のいろんな藩も、最初は様子見してて、味方してくれてなかったのに、錦の旗が上がったって聞くと、次々に薩摩側についた。
反対に、幕府の味方をしていたはずの藩は、そんなことなかったよって顔で、どんどん抜けて行った。
大久保さんは、そんな知らせが朝廷に届くたび、いつものようにふふん、と笑って、当然だなって顔をしてたらしいけど…。
一緒に作戦立てた岩倉さんってお公家さんだけは、大久保さんが
「…ここまでハッタリが通るとはおもわなかったぞ…」
って、つぶやいたのをしっかり聞いた、と後で私に面白そうに教えてくれた。
この日の朝廷での出来事は、大久保利通という人は、戦にまったく動じない肝の太い人だってことで、いろいろ語り継がれたらしいけど…。
当の大久保さんは、自分の態度がその日突然がらりと変わったってことを、全然自覚してなかったらしい。
だから、後でお公家さんたちに礼を言われても、何の話だろうって、不思議そうな顔をしてたんだって。
大久保さんが御所についた時、お公家さんたちの頭の中には、もうとにかく戦から…京都から逃げたいということしかなかった。
そして、こそこそと皆で、どうやって逃げるかと相談をしてた。
あと一歩遅かったら、本当に皆、逃げちゃってたらしい。
私は政治のことはよくわかんないけど…ここでお公家さんや天皇陛下が京都から逃げてたら、その時点でゲームオーバーで、薩長の負けだったらしい。
朝廷の後ろ盾を失ってしまえば、その途端、薩長軍は賊軍になってしまう。
そして、日本全国逃げ回って…皆に袋叩きにされて、なぶり殺しにされて終わり…ってパターンもありえたんだって。
よくわかんないけど。
だけど、御所に駆けつけた大久保さんを見て、お公家さんたちはびっくりしてしまった。
最近はいつも苦虫をかみつぶしたような顔をして、深刻な雰囲気で倒幕を語っていた大久保さんが、その日はもう上機嫌でにこにこしていた。
鳥羽や伏見で戦が始まっても、そうか、よくやったとか言っちゃって、あたり中に幸せオーラをまき散らしていたらしい。
で、あんまり大久保さんが上機嫌で余裕の態度なので、お公家さんとか天皇陛下とか、朝廷にいた全員が、これはこの戦、絶対勝つぞと確信しちゃったんだって。
いかにも御所っぽい御簾のかかった広間の片隅で、お公家さんたちが期待して見守る中…。
大久保さんは、いかにも参謀って感じで白い扇子をパチリパチリと鳴らしながら、
「まあ、これならきっと勝つでしょうという作戦はあります。お聞きになりますかな」
と、うそぶいた。
お公家さんたちは一斉にうんうんとうなずいた…らしい。
私は見てないから知らないんだけどさ。
とにかく朝廷の人たちって、それまで何かにつけびくびくして、少し情勢が動くと有利な方へ味方するって感じだったのに…。
大久保さんが絶対勝つ作戦があるとか言い切っちゃうもんだから、皆喜んじゃって、薩長を全面的に応援するぞ、おおって方向で、いきなり団結して盛り上がっちゃったらしいです。
作戦はすぐに実行の許可が下りた。
薩長の軍には、錦の御旗…つまり、天皇陛下の軍隊であることを示す旗が掲げられた。
まあ、そんな旗が使われるのは何百年かぶりだから…知らない人がほとんどだったろうとは思うけど…。
少なくとも、将軍様は知ってた。なにしろ、水戸の出身だもん。
確か、武市さんが言ってたけど…幕末のいろいろ難しい尊皇攘夷の話って、本家本元は水戸らしいもんね。
将軍様は錦旗の話を聞いて、びっくりして逃げちゃった。その時点で、幕軍側がほとんどゲームオーバーに近い状態になっちゃったわけです。
土佐とか他のいろんな藩も、最初は様子見してて、味方してくれてなかったのに、錦の旗が上がったって聞くと、次々に薩摩側についた。
反対に、幕府の味方をしていたはずの藩は、そんなことなかったよって顔で、どんどん抜けて行った。
大久保さんは、そんな知らせが朝廷に届くたび、いつものようにふふん、と笑って、当然だなって顔をしてたらしいけど…。
一緒に作戦立てた岩倉さんってお公家さんだけは、大久保さんが
「…ここまでハッタリが通るとはおもわなかったぞ…」
って、つぶやいたのをしっかり聞いた、と後で私に面白そうに教えてくれた。
この日の朝廷での出来事は、大久保利通という人は、戦にまったく動じない肝の太い人だってことで、いろいろ語り継がれたらしいけど…。
当の大久保さんは、自分の態度がその日突然がらりと変わったってことを、全然自覚してなかったらしい。
だから、後でお公家さんたちに礼を言われても、何の話だろうって、不思議そうな顔をしてたんだって。