教室へ戻ってから数人にボソッと言った「かわいい」について色々言われたが適当に流しておいた。
この後は生徒会本部と校歌の練習があるらしい。ということは例の先輩が生徒会本部であるかどうか確かめることが出来る。あわよくばもっとはっきり顔が見られる。
彼と話がしてみたい。どんな声だか聞いてみたい。切りがなさそうな心の欲望に蓋をし、音楽室へ向かった。
音楽室には生徒会全員が集まっているようで、運のいいことに丁度俺らの前には例の先輩が居た。
名札を見ると「木城」と書いてある。よし、名前は覚えた。
後は適当に校歌を歌い、それなりに覚えたところで教室へ戻る。
これから使う教科書を貰い、すぐに帰りの会が始まる。
それもすぐに終わると、俺は先生に質問をしにいった。
「先生、生徒会ってどうすれば入れるのでしょうか」
「あら、生徒会に興味があるの？生徒会は10月頃に立候補者の選挙を行って、それに当選した人が為れるのよ。」
「ありがとうございます」
10月。その選挙で当選するには一定数の信頼をそれまでに得ることが必要だ。俺はそれに向けて動き出すことを決めた。