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七月の季節

【知識欲の果て】
 あるところに好奇心旺盛な少女がいた。彼女はどんな知識にも興味があり、知らないことがないのではないかとまで言われていた――。

 市立図書館にあるような知識なら彼女は絶対的に知っていた。古い歴史の話から最新の音楽の話、昨日のテレビ番組、空の星の名前、恋のおまじないに爆薬の作り方。
 インターネットで検索するよりも彼女に尋ねる方が早く詳しいくらいだった。

 誰もが彼女は知らないことがないのではないかというほどに彼女は何でも知っていて、それでも知識欲を満たそうと日々、色々なことを学んでいる。

 そして、あるときから彼女はオカルトという分野にとても興味を示し始めたのだ。
 科学的アプローチ、医学的アプローチと自分の持てる知識からオカルトという分野も自分の知識に変え始めていく。

 けれど、オカルトはあくまでもオカルトで彼女はそのあまりにも答えがない世界にのめり込んでしまった。

 オカルトにのめりこんだ彼女はどこか狂気的で彼女を慕っていた周囲のクラスメイトなども彼女を避けはじめ、最終的にイジメにまで発展したのは一種、必然的だったと思う。
 元からあまりにも膨大な知識を持ち、それでも知識を求める彼女は浮世離れしていて、同じ年齢とは思えない異物。それに成績もいつもトップだったし。
 だから誰もが気が付かなかった。彼女が年相応の心と精神の持ち主だったということに。

 ……彼女は、そう、彼女は自分が追及し、求めていた知識になってしまった。
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