七月の季節
【ドジな子】
自分の友人にとんでもなくドジなやつがいる――。
どのくらいそいつがドジかと言えば、家の中でもよく転ぶ。台所からリビングテーブルに食事を運ぶまでの間に中身を米以外だと半分近くこぼす。
そんな友人が独り暮らしを始めたらしい。
周り全員がとても心配したがなんだかんだ、大事も起きずに1年が過ぎようとしていた。一人で生活し始めると流石に誰でもしっかりするものなのだろうと誰もが胸をなでおろしていたのだが……。
ある日、タイムラインに《部屋の中でこけちゃった。作った食事も全部ぶちまけちゃって、物をくわえたまま歩いちゃダメだね》という書き込みが流れてきた。安否を確認しようとしたが返事がない。
1ヶ月程経ってから、やはり気になったの他の友人に書き込みのことを訊ねたのだ。すると友人はクスクス笑いながらこう言われた。
「あいつ、1年以上前にあのアカウント盗られたって言ってたじゃん。気が付かないなんて、お前は本当に昔からドジだよなー」
スマホの画面に視線を落とし、少し悩む。じゃあ自分は、1年以上誰とやり取りをしていたんだろう。そしてその人物は生きているのだろうか……。
自分の友人にとんでもなくドジなやつがいる――。
どのくらいそいつがドジかと言えば、家の中でもよく転ぶ。台所からリビングテーブルに食事を運ぶまでの間に中身を米以外だと半分近くこぼす。
そんな友人が独り暮らしを始めたらしい。
周り全員がとても心配したがなんだかんだ、大事も起きずに1年が過ぎようとしていた。一人で生活し始めると流石に誰でもしっかりするものなのだろうと誰もが胸をなでおろしていたのだが……。
ある日、タイムラインに《部屋の中でこけちゃった。作った食事も全部ぶちまけちゃって、物をくわえたまま歩いちゃダメだね》という書き込みが流れてきた。安否を確認しようとしたが返事がない。
1ヶ月程経ってから、やはり気になったの他の友人に書き込みのことを訊ねたのだ。すると友人はクスクス笑いながらこう言われた。
「あいつ、1年以上前にあのアカウント盗られたって言ってたじゃん。気が付かないなんて、お前は本当に昔からドジだよなー」
スマホの画面に視線を落とし、少し悩む。じゃあ自分は、1年以上誰とやり取りをしていたんだろう。そしてその人物は生きているのだろうか……。