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近未来の話

 やれ、太陽光発電だ。やれ、風力発電だとエコロジーという言葉が過剰になっていた時代のお話――。

 とても小さな島国の貧しい少女は覚えたてのつたない文字で、自分の名前と住所、そして境遇を小さな紙に書き、路地に転がっていた酒瓶に入れて海に流した。

 それは絵本の中にあるような絶対的に叶わぬ希望にたくした少女のSOS。

 多くの漂流物はそのまま浜に戻ってくるのだが、その瓶だけはゆっくりと沖へ、沖へと流れていき、ついには何万キロも離れた先進国の浜辺に打ち上げられた。

 数ヶ月後、まだ夢見る年頃の少女はスキマだらけの家で自分を今の環境から助け出してくれることについて考え続けていたのだが、本当にその夢を叶えるように扉を青年が扉を叩く。
 青年はその国にはあまりにも不釣り合いな綺麗な身なりで数人のボディーガードと現地ガイドを連れて現れた。

「この瓶を海に流したのは貴女ですか??」
 あの日流した瓶と手紙を見せながら、青年はそのように問いかける。
「こんな奇跡ってあるのね!!」
 少女は満面の笑みで両手を握りしめ「はい!! それを流したのはわたしです!!」と返事をした。

 その返答を聴いた青年は銀色に光るものをポケットから取り出すと、そっと少女の“腕”にはめる。

「○○国時間、××時〇×分。海洋不法投棄罪の容疑者を確保!! 連行いたします!!」

 少女は自分の腕の手錠を見ながら唖然とした。そう、エコロジーという名のもとには国境も国土もなければ情もない。
 そんな時代のお話。
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