17話: 未共有事項

 先日未明、図書館の近くで歩行者が車と接触し、女子高生一人が亡くなる事故がありました。発生したと思われる時刻、特別人通りが少なかった訳ではないにも関わらず目撃者はおらず、犯人の特定に至るまでの証拠が見つかっておりません。
 また、反対側でも歩行者を含む交通事故が多発しており、同一の人物である可能性が考えられます。警察が警戒体制をとって巡回してはいるものの、各自事故付近を通らない、不審な車や人物がいたら警戒するなどの注意を怠らないように気を付けてください。何れの事故も犯人の目星が立っておらず、警察の捜査怠慢なのではないかと見解が――。

 最近のニュースは、この類いの内容が多い。ここ数ヶ月、立て続けに起きている交通事故に気を付けろと言われても、モノには限界というものがある。それが例えば、この世に存在しないモノによるものであるならば尚更だ。

 七月某日。これは、外の空気に負けて冷房がついていることが当たり前になっていたとある日のこと。恐らく、切っ掛けはこれよりも前に既にあったのだろう。けれど、目に見えて状況が一変したのは紛れもなくここからだと言っていい。

 ――出来ることなら、余り思い出したくはないものだ。
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