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空はどこまでも澄み渡り、これ以上ないというほどの行楽日和。ぽかぽかと降り注ぐ柔らかな日差しが心地いいこの日に、休暇をもらったわたしは同じく休暇をもらっていたルカさんに誘われ、ピクニックをすることになった。
浮き足立つ気分をそのままに、ルカさんともに新緑の道を歩く。いつもよりもそわそわとした気分なのは私だけではなく、彼も例外ではないらしい。
「ふふっ、楽しみですね」
「ええ。せっかくの休暇ですし、今日は任務を忘れてのんびり過ごしましょうか。シオンさん」
「もちろん、思い切り楽しみましょうね」
「そうですね。…ピクニックなんて久しぶりなのでちょっと緊張しますね…ええと、忘れ物はないでしょうか」
はっとした表情の彼に、いつもとは違う一面が見えた気がして思わず笑みがこぽれてしまう。
「大丈夫ですよ。ふたりでしっかり確認しましたし、問題はないはずです」
「…っと、それもそうですね」
それからどちらともなく微笑んで、目的の場所へと足を進める。やがて道が一気に開けると、風が大きく吹き抜けた。
風が止み、細めた目を開いて辺りを見回すと、
青々と茂る芝生、空と同じくらい青く澄んだ湖、色とりどりの花が咲いている風景が一面に広がっている。
「わあ…! 綺麗…!」
「これは見事な…」
しばらくその風景に2人で見惚れた後、近くの木陰へと腰を下ろす。枝葉の間から木漏れ日がきらきらと降り注ぐ中、ふうっと息をつく。
「気持ちいいですね…こうして羽を伸ばすのも久しぶりな気がします」
「ええ、戦乱続きで肩の力を抜くことなどありませんでしたし…こんなに穏やかな気分は久しぶりです。シオンさんと一緒だからでしょうか」
「…っ!」
突然の言葉にとくんと心臓が跳ね、じんわりと頰が熱くなる。
ふるふると頭を振り、熱を冷まそうとはしてみるものの全くと言っていいほど効果はない。
「わたしも…ルカさんと、あなたと一緒にいられて…凄く嬉しいです」
「ふふ。それは良かった」
気恥ずかしさでうまく言えていたかはわからない。けれど、彼は本当に優しい笑顔を見せてくれていた。
風が優しく吹き抜ける。木々がざわざわと音を立てて、その身を揺らす。
その音に耳を傾けたまま、ルカさんが口を開く。
「さ、お昼にしましょう?」
「あっ、そうですね…!」
私は大きく頷いて、バスケットを開く。中には基本のハムサンドや、たくさんのフルーツとクリームを挟んだフルーツサンドなどサンドイッチを中心としたお弁当や、紅茶によく合うクッキーなどのお菓子を詰めてきていた。
「流石に料理はしたことがなくて…お任せしてしまってすみません」
「いえ、これくらいは。美味しくできているといいんですけど…」
私は、バスケットからひとつフルーツサンドを取り出すとルカさんへと手渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。これは…とても美味しそうですね」
ルカさんは笑顔を崩さずにぱくぱくと食べ進めていく。彼の口に合っているかどうか考えてしまい、少しはらはらしてしまう。
フルーツサンドをひとつ食べ終えた彼に、意を決して聞いてみる。
「どうでしたか…?」
「とても美味しかったですよ。では…」
そう言ってルカさんはバスケットからフルーツサンドを取り出す。そして──。
「はい、シオンさん。あーん」
「…っ!?」
先程とは比べものにならないほどに鼓動が早くなる。照れと動揺で余計に頰が熱くなるのを止めることも出来なかった。
「あ、あの…自分で…っ」
赤い顔のままルカさんを見やれば、彼は悪戯っぽい笑顔を浮かべたままで、どうやら引いてはもらえないらしい。
ぱくり、とサンドを頬張ると甘さがじんわりと広がっていく。いつもより増して甘く感じるのは、気のせいなどではないはずで。
「もう…ルカさんには敵わないです…」
「そうでしょうか? それなら私も…」
「えっ….?」
「いえ、こちらの話ですよ」
そう言って彼はまた穏やかな笑顔を見せ、人差し指を自らの唇に寄せる。本当に敵わないなぁ、なんて心の内でつぶやいた。
ひとしきりお弁当を食べ終え、紅茶を淹れようとしているとルカさんがそっとそれを制した。
「お茶くらい…私に淹れさせてください。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
紅茶を受け取ると、綺麗な紅色が小さく波打ち、口を付ければこくん、と喉が小さく鳴った。紅茶の温かさと優しい香りが染み渡っていく。
日々の色々なことも、不安なことでさえも全部温かさに溶けて消えてしまう気がした。
「美味しい…!」
「それはなによりです。あなたには本当にたくさんのことをお任せしてしまいましたし…それに…」
「それに…?」
「今、この時を含めて…シオンさんにはたくさんの幸せな時間をもらいました。だから、私が受け取るばかりではなく…これから、あなたといっしょにたくさんの思い出を作っていきたいんです」
まっすぐな視線から目を離せないまま、私は言葉を紡ぐ。
「わたしも…ルカさんとたくさん思い出を作りたいです。もっと…もっと数え切れないくらい」
「約束ですよ?」
「ええ、もちろん」
「またこうして遊びに行きましょう。シオンさんといっしょなら、どこへ行っても私は楽しいです」
「わたしも…ルカさんと同じ気持ちです。あなたとならきっと…どこへだって行けます」
そしてまた、どちらともなく微笑みあう。この穏やかで優しい時間が、いつまでも続けばいいと願わずにはいられなかった。
かけがえのないあなたとの時間が堪らなく愛おしくて、この場所さえもふたりのためだけの箱庭のように────。
浮き足立つ気分をそのままに、ルカさんともに新緑の道を歩く。いつもよりもそわそわとした気分なのは私だけではなく、彼も例外ではないらしい。
「ふふっ、楽しみですね」
「ええ。せっかくの休暇ですし、今日は任務を忘れてのんびり過ごしましょうか。シオンさん」
「もちろん、思い切り楽しみましょうね」
「そうですね。…ピクニックなんて久しぶりなのでちょっと緊張しますね…ええと、忘れ物はないでしょうか」
はっとした表情の彼に、いつもとは違う一面が見えた気がして思わず笑みがこぽれてしまう。
「大丈夫ですよ。ふたりでしっかり確認しましたし、問題はないはずです」
「…っと、それもそうですね」
それからどちらともなく微笑んで、目的の場所へと足を進める。やがて道が一気に開けると、風が大きく吹き抜けた。
風が止み、細めた目を開いて辺りを見回すと、
青々と茂る芝生、空と同じくらい青く澄んだ湖、色とりどりの花が咲いている風景が一面に広がっている。
「わあ…! 綺麗…!」
「これは見事な…」
しばらくその風景に2人で見惚れた後、近くの木陰へと腰を下ろす。枝葉の間から木漏れ日がきらきらと降り注ぐ中、ふうっと息をつく。
「気持ちいいですね…こうして羽を伸ばすのも久しぶりな気がします」
「ええ、戦乱続きで肩の力を抜くことなどありませんでしたし…こんなに穏やかな気分は久しぶりです。シオンさんと一緒だからでしょうか」
「…っ!」
突然の言葉にとくんと心臓が跳ね、じんわりと頰が熱くなる。
ふるふると頭を振り、熱を冷まそうとはしてみるものの全くと言っていいほど効果はない。
「わたしも…ルカさんと、あなたと一緒にいられて…凄く嬉しいです」
「ふふ。それは良かった」
気恥ずかしさでうまく言えていたかはわからない。けれど、彼は本当に優しい笑顔を見せてくれていた。
風が優しく吹き抜ける。木々がざわざわと音を立てて、その身を揺らす。
その音に耳を傾けたまま、ルカさんが口を開く。
「さ、お昼にしましょう?」
「あっ、そうですね…!」
私は大きく頷いて、バスケットを開く。中には基本のハムサンドや、たくさんのフルーツとクリームを挟んだフルーツサンドなどサンドイッチを中心としたお弁当や、紅茶によく合うクッキーなどのお菓子を詰めてきていた。
「流石に料理はしたことがなくて…お任せしてしまってすみません」
「いえ、これくらいは。美味しくできているといいんですけど…」
私は、バスケットからひとつフルーツサンドを取り出すとルカさんへと手渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。これは…とても美味しそうですね」
ルカさんは笑顔を崩さずにぱくぱくと食べ進めていく。彼の口に合っているかどうか考えてしまい、少しはらはらしてしまう。
フルーツサンドをひとつ食べ終えた彼に、意を決して聞いてみる。
「どうでしたか…?」
「とても美味しかったですよ。では…」
そう言ってルカさんはバスケットからフルーツサンドを取り出す。そして──。
「はい、シオンさん。あーん」
「…っ!?」
先程とは比べものにならないほどに鼓動が早くなる。照れと動揺で余計に頰が熱くなるのを止めることも出来なかった。
「あ、あの…自分で…っ」
赤い顔のままルカさんを見やれば、彼は悪戯っぽい笑顔を浮かべたままで、どうやら引いてはもらえないらしい。
ぱくり、とサンドを頬張ると甘さがじんわりと広がっていく。いつもより増して甘く感じるのは、気のせいなどではないはずで。
「もう…ルカさんには敵わないです…」
「そうでしょうか? それなら私も…」
「えっ….?」
「いえ、こちらの話ですよ」
そう言って彼はまた穏やかな笑顔を見せ、人差し指を自らの唇に寄せる。本当に敵わないなぁ、なんて心の内でつぶやいた。
ひとしきりお弁当を食べ終え、紅茶を淹れようとしているとルカさんがそっとそれを制した。
「お茶くらい…私に淹れさせてください。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
紅茶を受け取ると、綺麗な紅色が小さく波打ち、口を付ければこくん、と喉が小さく鳴った。紅茶の温かさと優しい香りが染み渡っていく。
日々の色々なことも、不安なことでさえも全部温かさに溶けて消えてしまう気がした。
「美味しい…!」
「それはなによりです。あなたには本当にたくさんのことをお任せしてしまいましたし…それに…」
「それに…?」
「今、この時を含めて…シオンさんにはたくさんの幸せな時間をもらいました。だから、私が受け取るばかりではなく…これから、あなたといっしょにたくさんの思い出を作っていきたいんです」
まっすぐな視線から目を離せないまま、私は言葉を紡ぐ。
「わたしも…ルカさんとたくさん思い出を作りたいです。もっと…もっと数え切れないくらい」
「約束ですよ?」
「ええ、もちろん」
「またこうして遊びに行きましょう。シオンさんといっしょなら、どこへ行っても私は楽しいです」
「わたしも…ルカさんと同じ気持ちです。あなたとならきっと…どこへだって行けます」
そしてまた、どちらともなく微笑みあう。この穏やかで優しい時間が、いつまでも続けばいいと願わずにはいられなかった。
かけがえのないあなたとの時間が堪らなく愛おしくて、この場所さえもふたりのためだけの箱庭のように────。