はぐれ巫女の鬼子
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さて、河童事件から三日後。
この日は月曜日。
僕は朝早くから三平ちゃんを返しに、河野くんの家を訪れた。
河野くんには、思ってたヤツと違う!とユキちゃんに返されてしまったと言って、すぐに返却しておいた。
安堵した表情を浮かべる河野くんに三平ちゃんを返した後は、仲良く二人で学校へ登校。
今日は珍しく安倍くんがお休みだとのことで、ようやっと速水さんとの約束が果たせそうだと、僕は一人息を着いていた。
善は急げということで、早速、その日の放課後に、僕は陸上部の部活動に行ってみる。
放課後のグラウンドには、様々な部活動に所属する生徒が走り回っていて、青春を謳歌している感じだった。
陸上部の所まで行くと、既に速水さんが話を通しておいてくれたのか、コーチの女の人が僕を迎えてくれた。
「お前が速水の言ってた子だな?、陸上部顧問のチー子だ、早速体験入部と行こうぜ〜。」
軽快な言葉遣いと共に、顧問の先生は僕の体力テストをするとかで、一年の陸上部の子と並んで一緒に走るようだ。
そこには速水さんも含まれてて、一緒に走るとなると知らない人よりも正直安心感がある。
しかしまあ、今現在、僕は人に化けている身。
半妖ながら、人間の間は普通の男の子だ。
だから記録も普通。
ただし、持久力はあるので、その分ストレートに走る運動だけでスタミナ不足になることはない。
「記録は普通だけど、筋は良いな。磨けば光る原石タイプか、__!」
「どうも、はは…」
コーチのテンションにあんまり着いていけてない僕は、曖昧に笑う。
そんな僕を他所に、少し考える仕草をしながら、コーチは、「速水から聞いたかも知れないんだが…」と話を続けた。
「今度、香港で開催されるアジアJr陸上って知ってるか?」
「いえ…、何も。」
「もし、陸上部に入るなら、__を追加で推薦してやれるかも知れないんだ。」
「え、ああ…、そうなんですか。」
実感が湧かない状態でコーチからそう言われたのだが、曰く、筋が良いので、コツさえ掴めばすぐに三年すら追い抜けるかもとのことで。
しかしながら、香港と言うとベルターや、あの雪女がいる土地だ。
今の状態の僕だと、ユキちゃんを置いてわざわざ自殺しに行くようなものである。
せっかくのお誘いではあったが、僕は丁重にお断りすることにした。
速水さんや、コーチからは惜しまれたけれども、それ以前にやる事があるので、部活にまで時間を割いてられない。
申し訳ないと思いつつ、その日は切り上げて帰ることにした。
だが結果的に、それは大正解だった。
帰り道、スマホに連絡が入ったかと思えば、ユキちゃんのお友達から、ユキちゃんの発作が出たとの電話が。
慌ててお迎えに行けば、ユキちゃんがお友達といつも遊んでる公園で、日陰に座り込む見知った姿が。
「ユキちゃん!」
「あ!ユッキー、お兄ちゃん来たよー。」
「ありがとうね、連絡くれて。ユキちゃん大丈夫?体調悪いなら、明日病院行こうか。」
様子を伺いながら助け起こすと、「病院キライ…」ともにょもにょ。
発作のお薬は飲んだらしいが、まだちょっと落ち着いてないみたいで。
「私、ユキのお兄ちゃん初めて見たけど似てないねー。」
「でもすげえ優しいよ、ユッキーの兄貴。この間、家遊びに行った時、お菓子めっちゃ出してくれたし。」
「えー!なにそれー!」
私も行きたい!と言われ、家にいる時ならいつでもいいよ。と困り笑いをしていると、不意に、僕の背後に濃い影が差した。
「『__』だな?いやーマジで生きてるとはなー。」
子供っぽい声な割に、その雰囲気はかなり好戦的だ。
振り向くと、褐色の肌に変な兜を被った男の子が。
武道に秀でているのか、洋服がそれっぽいものになっているが、ひと目で人間ではなさそうだと分かった。
なんて言うか、僕と同じ系統の術を持ってる。
体から脈というか、大地と一体化しているような、そんな感じのする子。
「コニャーが言ってた可能性の一個が当たったなー、アイツやっぱ頭良いわ。」
「…君は?ユキちゃんのお友達?」
暴れられる前に、愛想笑いを浮かべながらその場を濁そうと、ユキちゃんを抱えて立ち上がる。
「頭の良いコニャーから、今度はお前が『本物』か確かめて来いって言われたんだけどさぁー。」
パキ、と準備運動からか、骨を鳴らす彼。
「お前、『本物』だろ?分かるぜー、『鬼』って、大地との結び付きが強いとかで、俺と同じような術使うって話、師匠から聞いたことあんだー。」
というか、鬼の術から派生したのが俺の流派だし。とケラケラと幼げに笑っている。
安倍くんとかならいざ知らず、人間の状態で僕を鬼だと瞬時に見抜けるってことは、何かしら理由があるのだろうか。
……まあいい。とりあえず、やるべきことは、
「あー…えっと、ごめんね。今この通り、妹の体調が優れなくて…病院に連れて行かないといけないから、遊ぶのはまた今度にしてくれる?」
「ああ?、なんだそりゃ…」
誤魔化しは効かないか、なら…
「超大変じゃねーかよ、おい!!早く休ませてやれよ!家族は大事にな!良いもん喰わせてやれ!」
………なんか思ってたんと違う。
「あ、ありがとう、また今度遊ぼうね…」
「おう、また今度なー!」
根は悪い子じゃないのか、なんか結構素直に離してくれた。
離してくれるならありがたいと、僕はユキちゃんのお友達にお礼を言って、小走りで近くの病院に向かった。
お医者さんに診てもらった所、特に体に異常はなく、また持病の発作を起こしたのだろうと。
一安心の後、すっかり回復した様子のユキちゃんが、病院に連れて行かれてご機嫌ナナメだったので、ジュースを買ってあげて、その日はそのまま歩いて帰ることに。
「大丈夫って言ったじゃん!もっと遊びたかったのに…」
「ごめんねユキちゃん、お友達凄くいい子だったもんね。お礼もしたいし、今度お家に連れて来てあげて。」
「連れてきた所で何にもないじゃん。」
「ゔっ…」
確かに、最新のゲーム機器を買えるお金が無いので、そういう友達同士で遊べるのとかはない…。
せいぜいカードゲーム類がちょこっと置いてあるだけ。
ユキちゃんに出来るだけお金を割いてあげたいけれど、現実は厳しいもので…。
「最近忙しそうだよね、お兄ちゃん。急に家出て行ったり、遅くに帰って来たりして、バイト無い日も、休みの日も家に居ること少ないし…。」
「…うぅ」
ユキちゃんの疑心が心に突き刺さる。
「別に…邪魔ならほっといたら良いじゃん。」
「…ユキちゃん」
「ユキちゃんの事なんかほっといて、好きに生きれば良いじゃん。」
そう言えば、最近ユキちゃんとほとんど接してない。
あんまりお話もしてないし、最近ユキちゃんの学校生活がどんなのとか、お友達の話とか、何も知らないや…。
子供っぽいかも知れないけど、膝枕したり、頭を撫でてあげたりしたのも、いつぐらいで止まってただろう。
子離れの名目で少なくなるならまだしも、いきなりそう言うのがパタリとなくなったら、寂しいよね。
「ユキちゃん、おんぶさせてくれる?」
「え、何いきなり…キモイんだけど…」
「いいから、いいから。」
こうしてすんなりとユキちゃんをおんぶ出来る機会も、今のうちだ。
たくさん触れ合っておこう。
中学から高校で、反抗期に入ったらもうこんなことさせて貰えなくなるだろうし……。
照れたしかめっ面で、素直に背中に倒れ込んでくるユキちゃんを背負い、僕は帰路に着く。
夕暮れ時、ユキちゃんと簡単な夕食を作った。
眠りに着く時は子守唄なんか歌って、ユキちゃんにちょっと怒られた。
もう小学生なんだからいらない!って。
すやすやと眠りにつくユキちゃんの頭を撫でて、熱が下がってきたとホッとする。
家に帰って来ても少し微熱気味だったから、念の為、病院で貰って来た解熱剤を飲んでもらった。
それがよく効いてるみたい。
音を出さないように、ユキちゃんの傍らを離れ、部屋を出る。
「…今日は遊んであげられないよ。」
ポツリと、部屋を出た後に呟いたのはそんな一言。
語りかけたのは、屋根の上。
スタ、と降り立ってきたのは今日公園で出会った、あの小さな妖怪の男の子。
「…ユキちゃんを狙って来てるなら、申し訳ないけど、死んでもらうことになる。」
僕が淡々とした声でそう呟くと、好戦的な笑みを浮かべ、着いて来いと仕切られた草木を飛び越えていく彼。
僕はため息混じりに、彼の後を追いかけた。
着いて行かなきゃ、この場合その場で戦闘を始めることにも繋がる。
そうなったら、ユキちゃんが危ない。
…て言うか、神社には結界が張ってあったのに、どうやってくぐって来たんだ、あの子。
小さな疑問を抱きながら、走って行く彼を追いかけていくと、見えたのは今にも崩れそうな廃ビル。
こんな良さげな所、家の近くにあったんだ。
そう思うくらいには、この廃ビルが建っていた土地に興味もなかった。
「これはまた随分おあつらえ向きな…」
廃ビルの中へ入っていく彼を追いかけると、中には彼以外にも人がいた。
「ようこそ。良い所でしょう?、情報収集が得意なもので。この得意技のお陰で、貴方に辿り着けました。」
彼と同じくらいの少年だが、恐らく日本人じゃない。
日本語は上手だが、プラチナブロンドの髪だとか、大きなオッドアイの瞳、白めな肌に、両耳に綺麗なピアスがひとつずつ。
そんな感じの容姿なので、まずどこか外国の方から来た少年なんじゃないかと、僕は推測する。
「君は…」
「コニア様。」
不意に、天井の方から女性の声がした。
降り立って来たのは、メイド服を着た背の高い女性。
義眼なのか、右目がハート模様の目になっている。
「ハリス。」
「呪符による、認識阻害の結界、貼り終えました。」
「いつも仕事が早くて助かるよ、ハリス。」
「いえ、滅相もございません。」
「……あの、もしかして僕の結界に穴を開けたのって…」
嫌な予感がしてそう聞くと、コニアと呼ばれた少年は、「ああ、」と、さも当たり前のように肯定してきた。
「そうです、ハリスはそう言うの得意ですから、少し穴を開けさせて貰ったんですよ。コイツが入るには、あまりにも強過ぎるものだったのでね。」
準備運動をしている彼を指しながらそう呟くコニアくんに、そういう事か…と、僕はため息を着く。
穴を開けられたなら、また張り直さなきゃ…。
結界にわざわざ穴を開けるくらいなら、玄関から入ってきて欲しいものである。
「さて、聞いての通りだ。これである程度暴れても問題ない。」
「おう、分かった!」
「ただ呪符の効力も絶対じゃない。出来る限り隠密に済ませろ、良いか?フリじゃないぞ、本当に頼むからなるだけ静かに済ませろよ?」
「よっしゃ、任せろ!」
ダ〇ョウ倶楽部かな?
あまりにもコニアくんが念を押し過ぎて、逆に押してよ!の状態になってる気がするんだが…。
それを裏付けるように、腹から声を出そうとする妖怪の彼。
思わず耳を塞げば、建物が揺れるくらいの、
「やるぞォオオオ!!!」
と言う咆哮がビル内に響き渡り、本日何度目かのため息をつかざるを得ない。
コニアくんの方も、ハリスさんに耳を塞がれていたようだが、胃痛がしているようでお腹を押さえている。
普段から彼に手を焼いているのがよく分かった。
「…元気いっぱいだね、君、何の妖怪なの…?」
「猪!カッケーだろ!、お前は鬼だもんな。分かるぜ!」
大地の繋がりが強い妖怪同士だ!と意気揚々とする彼。
「俺、ベリコ!、鬼は強いから、勝ったらそれだけで功績になる。俺の名前、ちゃんと覚えとけよー!」
「好戦的だなぁ…凄い真面目で、素直…だから、攻撃も真っ直ぐ、猪みたいに来るんだね。」
瞬きをする頃には、すでに距離を詰められていた。
一瞬の内に詰め寄られたその至近距離から、突きのストレートを出され、僕はそれを軽く受け止める。
多分、フェイントとかそう言うのはガラじゃないんだろう。
徒手空拳を主とする安倍くんと、彼のやり方は似て非なるものだ。
彼恐らく、安倍くんより戦闘経験は少ない。
「守るだけかぁ?」
腕で攻撃を防いでいると、今度は蹴りが飛んでくる。
戦闘経験は少ないものの、彼自身、めちゃくちゃ身軽で機動力が高い。
すぐに攻撃の切り替えが出来て、的確且つ、しっかりとした連続での攻撃を、なんでもないようにやってのける。
…でもなぁ。
「ちょっと軽過ぎるかも。」
急所の首に来た蹴り技すら、鬼の自分にとっては少し衝撃が来た程度。
正面から真っ直ぐに、ベリコちゃんの顔を鷲掴みにして、後頭部からコンクリートの地面へと思いっきり叩き付ける。
しかし、身軽ということは、その分ガードまでの隙も短い。
すぐに空いていた手で、頭をガードしたらしく、叩き付けたその後、素早く後退の手段を取った。
「いってぇ…、頭ごと潰す気かよ、えげつねえー…」
そー言うシンプルなのが一番怖いんだよ。と、本気でビビったらしく、笑みを浮かべながらも、カタカタと小刻みに震えるベリコちゃん。
「やっぱ鬼ってすげぇなー、聞いてた話と実際に体験するんじゃ、全然違えや…」
「…ずっと気になってたんだけど、聞いてた話って、君のお師匠さんから?」
「そうだ!、鬼は大地に宿る命を“呼んで”術と力を手に入れるけど、俺みたいな猪は、地脈の流れを“読んで掴む”!、それを自分の一部にすることで、力を手に入れるんだ!」
「なるほど、似て非なるっていう感覚は、そういうことだったのか。」
どちらも大地から力を手に入れてるけど、“呼ぶ”と“読む”じゃ、また違った意味になってくる。
僕の場合は、大地の命、植物だとか、地下に眠る水の力だとか、そう言うのを呼んで力を貸して貰う。
けど、彼の場合、大地に流れる脈と一体化して、力を手に入れることで、それを徒手空拳として落とし込んでるんだ。
「でも、どうするの?徒手空拳じゃ、力の差は僕の方が上だよ、単純な肉弾戦で勝ち目がないなら、術でも使う?」
「ああ、使う!それに、日常茶飯事だからな、自分よりデカイヤツとの闘いも!」
“樹陣豚甲”
「!」
突如、地面が揺れ出した。
みるみるうちにコンクリートを押し上げ、何かがせり出して来たかと思えば、それは木の根っこ。
「踏んずけてやろうか、鬼子。」
「わあ」
本当に大地を操れるのか、この子。
…だとしたら、相性が悪いな。
「ま、ガラじゃねえからやんねえけど。やっぱ漢なら、ド正面からのド突き合いだろ!」
「!」
根っこから根っこへ滑るように移動してきた。
機動力が格段に上がってる。
そう思う間もなく、彼の拳が腹目掛けて飛んでくる。
回避、間に合わない、
「師匠直伝、猪突猛進拳!!」
「ゔッ!!」
結構な衝撃と、力。
二、三歩吹っ飛び、僕は尻もちを着く。
うわ…しかもこれ、内側にめちゃくちゃ響く…体の中に打撃が響くってことは、中国とか、そこら辺の拳法も混ざってるのかな…。
「…んー?おっかしいなぁ、予定ではもっと吹っ飛ぶ算段だったんだけど…それも鬼の力なのかぁ?」
「…君、大地の力を読んで掴むって言ったよね?」
「そうだ、凄いだろ?最強無敵の“猪突猛進拳”。お前がもう少し派手に吹っ飛んでくれりゃ、カッコよく決まったんだけど…、」
「まあ、そりゃ威力が半減されてるからね。」
一瞬、僕の言った意味が分からなかったのか、ベリコちゃんは首を傾げる。
「威力が、半減…?俺は全力を叩き込んだぞ、お前が頑丈だからじゃないのか?」
「いいや、頑丈でも、筋が良いからマトモに食らってたら、君の言う通り吹っ飛んでたよ。」
どっこいしょと起き上がり、僕は服に着いた砂埃を払う。
「…お前、効いてねえだろ。」
「効いてないって言えば嘘になるけど、とりあえず、足元見てご覧。」
「?、うわ!なんだこれっ、…苔!?」
「そう、苔。」
ベリコちゃんの術で出した樹木には、青々とした苔が生えていて、すでに樹皮を埋めつくしている。
「僕だって、安倍くんとの日から何もしてない訳じゃないからね。」
ほぼ一夜漬けみたいなもんだけど、本当に簡単な阻害とかの術なら、何もしなくても発動出来るようになった。
だから、この術には名前がない。
それほどまでに、当たり前の術だから。
要は、ベリコちゃんの出した樹木は現在、ベリコちゃんが掴むための力が宿ってる。
それを阻害してしまえば、力は大幅に減り、さっきの技の威力も減ってしまう訳だ。
「木だって歳を取るんだよ、ベリコちゃん。歳を取ると、生命力が少しずつ減って、代謝が悪くなるよね?そうなると、苔が生えるんだよ。」
「ぐぬ…」
「木の苔は悪いものじゃないけど、歳を取った証。歳を取って弱った木に、同じような力は宿らない。」
だから木属性同士だと、相性が悪いんだ。
さて、彼のバフは封じた、後は単純な殴り合いでどう決着を付けるか、だが…。
「いいや、まだ終わらせないッ!」
使い物にならないと判断した木から飛び降り、新しい構えの動作をするベリコちゃん。
「“大樹播生”…!」
「待て!ベリコ!」
コニアくんの声が響く。
どうやら、コニアくんの声音からするに、大きい技を使うつもりだったらしい。
静止の声が上がったかと思うと、つかつかとこちらに歩み寄ってくる彼。
「お前とあの人とじゃ、そもそもの相性が悪い。体力をそこまで消耗してない彼と、大技を使うまで追い込まれてるお前とじゃ、差が大き過ぎる。」
ベリコちゃんにそう言うと、今度は僕の方に向き直る。
そうして、深々と僕に頭を下げてきた。
しかし、そんなことをされる覚えがない。
僕は慌てて、彼に駆け寄った。
「…すみませんでした。僕の謝罪でどうこうなるとは思いませんが、これまでの非礼を詫びます。望まれるのなら、土下座をして地べたに頭を着けましょう。それがこの国における、謝罪を表すポーズだと教わりました。」
「そんなことしなくていいです!子供にそんなことさせる趣味ないので、頭を上げてください!!」
「では、僕の話を聞いてくださいますか?貴方にとっても決して悪い話でないと、お約束します。」
「…?」
コニアくんの言うことはよく分からないが、とりあえず、理由もなしに襲って来た訳ではないらしい。
話を聞いて欲しいと言うので、とりあえずベリコちゃんの手当てを先にしてから、話し合いに移ることにした。
