歪なカンケイ
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「名前の彼氏って、あの宇海零でしょー、ほんと羨ましいー」
「本当だよね、あんなに優しくってイケメンな彼氏、中々いないよ」
宇海零と付き合っている、と言えば誰もが皆口を揃えて彼を讃える言葉を紡ぐ。
確かに、彼は凄く格好良くって、優しい。
「噂をすれば、ほら名前、お迎えが来たよー」
零が微笑みながら私の元へ来る。
「お待たせ、名前。行こっか」
彼は優しく微笑みながら私の手を取り、帰路へと促した。
友達はキャーッと黄色い歓声を上げて、私へ手を振る。
彼女たちは知らない、彼がどんなに優しいか。
彼女たちは知らない、彼がどんなに格好いいか。
そして、今握る手がどんなに強いかを。
零は家に急ぎ足で歩みを進めた。それに伴って私も足早に向かう。
(今日は何かお仕置きがあるな……)
零が急ぎ足で家に帰る時は何かがある時だ。
家に着き、零が私を先に家に入れドアを急いで締めた。
私は実家暮らしだったのだが、零の上手い口車に親が乗せられ今は彼と2人で暮らしている。
「ねぇ、名前。今日男子と話したでしょ」
私を廊下の壁に押し付けて、彼ら問答する。
みんなの思う零の爽やかな顔なんて影もない。
「……勝手に向こうから告白してきただけだよ」
今日の昼下がり、突然男子が私に告白してきたのだ。唐突のことでとても困惑したが、きちんとお断りした。
「へーえ。告白だったんだ。」
零の顔色がどんどん悪くなっている。しまった。
「私は零一筋だから。他の人なんていらないよ。」
そう言って向かい合っている彼を抱きしめる。
「……俺以外に名前が好きな奴がいるなんて、許せない。名前は俺だけの、特別なんだよ。」
そう言って彼は私を力強く抱きしめる。
「……本当は名前に男子がいる場所にいて欲しくないよ、卒業したら、ずっと俺の側にいて」
「うん、わかった。」
「名前が他の男になんて見ないように、本当はずっとずっと閉じ込めておきたいんだ」
私の頬に手を添えながら彼は愛の言葉を囁き続ける。
「名前、大好きだよ、世界で一番……誰にも、君を渡さない……」
みんなは彼が優しいとか、格好いいとか、そんな外側だけしか知らない。けど、私は隠れた彼の歪な愛情を愛している。
「私も零のこと、大好き……」
私もそんな彼の一面も含めて彼を世界で一番愛している。世間から私たちは少し歪に見えるだろう、だけど、これが私たちの愛のあり方なんだ。
「一生名前を幸せにするから……どこにも行かないで……ね。」
彼の愛情を感じながら、私はゆっくりと目を閉じるのであった。
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