包容と疑心、熱血と気迫。
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警戒心を剥き出しにされつつも、一応館内に通してもらった。
そんで今は、その館の主の部屋の前。
兄ちゃんが「大将、例の男を連れてきました」と言ったところから、既に情報は回っていたらしい。はっや。
部屋から「うむ、入れ。」と威厳たっぷりの声が聞こえ、ふすまが開けられる。
「失礼します」
一応礼儀作法には自信がある。
畳の縁を踏まないように歩き、恐らく「大将」と呼ばれているであろう人の前に進む。
右足から座り、手を膝の前に添えて深々と頭を下げる。
「お初にお目にかかります。スダチと申します。」
正直、名前を明かす事は人と人の間の「縁」を強めるからやりたくはなかった。
けど、変に疑われるのも面倒だからさっさと明かす。
冤罪はかけられたくねーし。
「面をあげよ。」
すげぇ…
声だけで体が固まるなんて初めてだぜ。
緊張と少しの恐怖からぎこちなく動く体に鞭を打つ。
ゆっくり、ゆっくりと顔を上げて見えたのは、どっしりと悠然に構える真っ赤な虎だった。
その目は、なんというか、俺のいた世界では決して見られないような鋭さだった。
ジム戦前のトレーナーの瞳とは違う、悪の組織に果敢に立ち向かっていくトレーナーともまた違う、不思議な鋭さ。
俺の苦手な瞳。
ふい、と目を反らすと何故か笑い声が降ってきた。
「はっはっはっはっは!!なに、そんなに緊張せずともよい。
儂は武田信玄。此処、甲斐の地を治める者じゃ。
して、スダチの傍に控えるその物の怪は、お主の従者か?」
…あれ?
「いえ、俺の家族です。」
「家族、とな?」
「はい。血はつながってないですし、お察しの通り人間でもありません。しかしながら、俺にとって家族同然の存在にございます。」
…なんだ?
なんかおかしい。やけにフレンドリーだ。
彼は見たところかなりの地位の人物…だからもっと事務的な、冷たい態度をとられるのかと思った。
ましてや今の俺は不法侵入者。犯罪者だ。
…って、武田信玄?
待って、武田信玄ってあの武田信玄?
グラードンの力を借りてランせ地方で勢力を広げていったっていう、あのブショー?
…いや、ここは俺の知ってる世界とは全く違う。
別の世界の武田信玄だろう。
「そうか。」
…そういえば、この部屋にきてからサーナイトの警戒が解けたみたいだ。
「不思議な物の怪よ。
そやつ、先程までかなり警戒しておったのに、儂と目を合わせたかと思えばあっさりと警戒を止めおった。
…まるで、儂がお主等に敵意を持ってないことを見透かしたようじゃ。」
…!
そうか。だから…
「サーナイト…この物の怪は、人の心を感じ取ることができるのです。
おそらく武田様のお心を感じ取り、落ち着いたのかと。」
「…なーんか信じらんないなぁ。」
兄ちゃんが訝しげに此方に近付くと、サーナイトは再び兄ちゃんを警戒し始める。
…本当なんだけどなー。
まーポケモンを全く見かけないこの世界じゃ疑われても仕方ないか?
…ん?
「何の音?」
「音?……あ。」
地響きというより、うなり声のようなそれ。
それは段々とこっちにちかづいていて…あれ、兄ちゃんが頭抱えてる。
すっぱーん!と弾けるような襖の開く音。体全体の衝撃。
「ガゥル!!」
青と黒の体、耳元に二つずつ揺れる黒い房。
少しの沈黙の後、俺の前に跪き恭しく頭を垂れてからこちらを見上げるその瞳は、変わらず強い意志が感じられた。
「ルカリオッ!!」
感極まってその体を抱きしめる。
よかった、お前も無事だったんだな。ごめん、俺が、パルキアのことは知っていた筈なのに、やりのはしらへ行こうとか言い出したから、
言いたいことは沢山あるのに言葉にはならなくて、ひたすらに目の前の蒼い命に縋りつく。
俺の想いを波動として受け取ったのだろう、波動を見たり感知することのできるルカリオは、
少し戸惑ったように両手をさまよわせ、優しく俺の背中に添えてくれた。
「る、るかりお殿!突然如何なされたのだ!」
遅れて部屋に入ってきたのは、赤いハチマキが特徴的な俺と同じくらいの青年。
…めっちゃ気合いのハチマキまいてやりてぇ。ぜってー似合う。
「ちょっ、旦那…!!暫くはこっちに来るなって俺様言ったよね!?」
「ぐ…すまぬ佐助、しかしるかりお殿との手合わせ中、突如耳をぴくりと振るわせたかと思えば何事かを叫びながら走り去っていってしまった故…」
「…またあの蒼い物の怪と手合わせしてたの?懲りないねぇ…」
あの赤い人が、ルカリオを保護してくれてた、のか…。
…それより手合わせって何?ここポケモンいないんだよな、それに獣と戦わせた訳でもなさそうだし…ってことは、な、生身で、ルカリオと……!?
「っえ、だ、大丈夫なんです、か…?」
「…?そなたは…」
「さっき話した、変わった着物の男だよ。」
きょとんとする青年に、兄ちゃんが説明する。
すると青年は目を輝かせ
「なんと、それでは貴殿がるかりお殿の主で御座ったか!」
と…え?
「あ、主?」
「うむ!るかりお殿が申しておった。」
おそらく、テレパシーを使ったんだろう。
「う…ん、主っていうか、家族に、ちかい、な。」
「おぉ…!部下の事をその様に考えられるとは、なんと温かき心の持ち主…!」
「えっ」
人の話聞かねーなこの人。
なんかうおぉぉぉぉおおお館様あああああああああああとか叫んでうっせーなぁとか思ってたらなんか武田様まで
「人の話は最後までよく聞かんか幸村あああああああああぁぁぁぁぁぁ」とか言い出してなんかハチマキの人を殴ってた。
…え?
「おぉぉやがださばああぁぁぁっ!!!」
「ゆぅぅぅきぶらあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
…え、えぇ…?
止めた方が、いい、のか…?これ…
でも二人の表情は輝いてるし、兄ちゃんは呆れたように「まぁた始まったよ…」っていってるからいつもの事なんだろーか。
だとしたら部外者の俺は下手に口出さねーほうがいーよな。
《これが、彼らなりのスキンシップだそうです。》
頭に響いてきたルカリオの声。
俺のルカリオは普通のルカリオよりも波動を操る力が長けているらしく、こうしてテレパシーが使えるんだぜ。
「…ふーん。」
此方を警戒しつつも「あまり館の物壊さないでよー!?」と叫ぶ兄ちゃん。
相変わらず激しいスキンシップを続ける二人。
なんだか、家族みたいだ。
そんで今は、その館の主の部屋の前。
兄ちゃんが「大将、例の男を連れてきました」と言ったところから、既に情報は回っていたらしい。はっや。
部屋から「うむ、入れ。」と威厳たっぷりの声が聞こえ、ふすまが開けられる。
「失礼します」
一応礼儀作法には自信がある。
畳の縁を踏まないように歩き、恐らく「大将」と呼ばれているであろう人の前に進む。
右足から座り、手を膝の前に添えて深々と頭を下げる。
「お初にお目にかかります。スダチと申します。」
正直、名前を明かす事は人と人の間の「縁」を強めるからやりたくはなかった。
けど、変に疑われるのも面倒だからさっさと明かす。
冤罪はかけられたくねーし。
「面をあげよ。」
すげぇ…
声だけで体が固まるなんて初めてだぜ。
緊張と少しの恐怖からぎこちなく動く体に鞭を打つ。
ゆっくり、ゆっくりと顔を上げて見えたのは、どっしりと悠然に構える真っ赤な虎だった。
その目は、なんというか、俺のいた世界では決して見られないような鋭さだった。
ジム戦前のトレーナーの瞳とは違う、悪の組織に果敢に立ち向かっていくトレーナーともまた違う、不思議な鋭さ。
俺の苦手な瞳。
ふい、と目を反らすと何故か笑い声が降ってきた。
「はっはっはっはっは!!なに、そんなに緊張せずともよい。
儂は武田信玄。此処、甲斐の地を治める者じゃ。
して、スダチの傍に控えるその物の怪は、お主の従者か?」
…あれ?
「いえ、俺の家族です。」
「家族、とな?」
「はい。血はつながってないですし、お察しの通り人間でもありません。しかしながら、俺にとって家族同然の存在にございます。」
…なんだ?
なんかおかしい。やけにフレンドリーだ。
彼は見たところかなりの地位の人物…だからもっと事務的な、冷たい態度をとられるのかと思った。
ましてや今の俺は不法侵入者。犯罪者だ。
…って、武田信玄?
待って、武田信玄ってあの武田信玄?
グラードンの力を借りてランせ地方で勢力を広げていったっていう、あのブショー?
…いや、ここは俺の知ってる世界とは全く違う。
別の世界の武田信玄だろう。
「そうか。」
…そういえば、この部屋にきてからサーナイトの警戒が解けたみたいだ。
「不思議な物の怪よ。
そやつ、先程までかなり警戒しておったのに、儂と目を合わせたかと思えばあっさりと警戒を止めおった。
…まるで、儂がお主等に敵意を持ってないことを見透かしたようじゃ。」
…!
そうか。だから…
「サーナイト…この物の怪は、人の心を感じ取ることができるのです。
おそらく武田様のお心を感じ取り、落ち着いたのかと。」
「…なーんか信じらんないなぁ。」
兄ちゃんが訝しげに此方に近付くと、サーナイトは再び兄ちゃんを警戒し始める。
…本当なんだけどなー。
まーポケモンを全く見かけないこの世界じゃ疑われても仕方ないか?
…ん?
「何の音?」
「音?……あ。」
地響きというより、うなり声のようなそれ。
それは段々とこっちにちかづいていて…あれ、兄ちゃんが頭抱えてる。
すっぱーん!と弾けるような襖の開く音。体全体の衝撃。
「ガゥル!!」
青と黒の体、耳元に二つずつ揺れる黒い房。
少しの沈黙の後、俺の前に跪き恭しく頭を垂れてからこちらを見上げるその瞳は、変わらず強い意志が感じられた。
「ルカリオッ!!」
感極まってその体を抱きしめる。
よかった、お前も無事だったんだな。ごめん、俺が、パルキアのことは知っていた筈なのに、やりのはしらへ行こうとか言い出したから、
言いたいことは沢山あるのに言葉にはならなくて、ひたすらに目の前の蒼い命に縋りつく。
俺の想いを波動として受け取ったのだろう、波動を見たり感知することのできるルカリオは、
少し戸惑ったように両手をさまよわせ、優しく俺の背中に添えてくれた。
「る、るかりお殿!突然如何なされたのだ!」
遅れて部屋に入ってきたのは、赤いハチマキが特徴的な俺と同じくらいの青年。
…めっちゃ気合いのハチマキまいてやりてぇ。ぜってー似合う。
「ちょっ、旦那…!!暫くはこっちに来るなって俺様言ったよね!?」
「ぐ…すまぬ佐助、しかしるかりお殿との手合わせ中、突如耳をぴくりと振るわせたかと思えば何事かを叫びながら走り去っていってしまった故…」
「…またあの蒼い物の怪と手合わせしてたの?懲りないねぇ…」
あの赤い人が、ルカリオを保護してくれてた、のか…。
…それより手合わせって何?ここポケモンいないんだよな、それに獣と戦わせた訳でもなさそうだし…ってことは、な、生身で、ルカリオと……!?
「っえ、だ、大丈夫なんです、か…?」
「…?そなたは…」
「さっき話した、変わった着物の男だよ。」
きょとんとする青年に、兄ちゃんが説明する。
すると青年は目を輝かせ
「なんと、それでは貴殿がるかりお殿の主で御座ったか!」
と…え?
「あ、主?」
「うむ!るかりお殿が申しておった。」
おそらく、テレパシーを使ったんだろう。
「う…ん、主っていうか、家族に、ちかい、な。」
「おぉ…!部下の事をその様に考えられるとは、なんと温かき心の持ち主…!」
「えっ」
人の話聞かねーなこの人。
なんかうおぉぉぉぉおおお館様あああああああああああとか叫んでうっせーなぁとか思ってたらなんか武田様まで
「人の話は最後までよく聞かんか幸村あああああああああぁぁぁぁぁぁ」とか言い出してなんかハチマキの人を殴ってた。
…え?
「おぉぉやがださばああぁぁぁっ!!!」
「ゆぅぅぅきぶらあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
…え、えぇ…?
止めた方が、いい、のか…?これ…
でも二人の表情は輝いてるし、兄ちゃんは呆れたように「まぁた始まったよ…」っていってるからいつもの事なんだろーか。
だとしたら部外者の俺は下手に口出さねーほうがいーよな。
《これが、彼らなりのスキンシップだそうです。》
頭に響いてきたルカリオの声。
俺のルカリオは普通のルカリオよりも波動を操る力が長けているらしく、こうしてテレパシーが使えるんだぜ。
「…ふーん。」
此方を警戒しつつも「あまり館の物壊さないでよー!?」と叫ぶ兄ちゃん。
相変わらず激しいスキンシップを続ける二人。
なんだか、家族みたいだ。