包容と疑心、熱血と気迫。
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再び歩き始めて数時間。ウエストバッグについているボールがカタカタと小刻みに揺れる。
外から見てみると、中にいるミミロップが何か感じたようで、ひたすらに指を指していた。
その方向には、大きな館がうっすらと見えた。
「…なんか、あんのか?」
ミミロップは頷く。
そうと決まれば、行くしかない。
俺は館を目指して歩き出した
のが、二時間くらい前の出来事。
え?今?
なんか知らん奴に捕まった
いや、さ、
なんかな、まぁ向かって行ったんだよ。あのうっすらと見える館へ。
そしたらな、遠くから聞こえてくるの。人の声が。
「うおおぉぉぉ」「がるるぉぉぉぉ」って。
前者は知らんけど、後者の声は聞き覚えが有りすぎて、まさかって思って走ってったんだ。
そしたら捕まった。しかも声が町でぶつかった兄ちゃんそっくり。
「…町の兄ちゃん?」
「あはー、ばれちゃった?ま、あの時は本格的な変装してなかったからねぇ。」
首に突きつけられた刃物に力がこもる。
…なんかコマタナに襲われてる気分だな。
俺に向けられてる目線が滅茶苦茶鋭い。目線だけならアローラの島巡りで出てくるぬしポケモンと同じかそれ以上。でも気迫が違うんだよなぁ、なんだろ。
…ミミロップのボールがメッチャガタガタいってる。落ち着け。
「此処は躑躅ヶ崎館の敷地内だよ?門から入ってくるならまだしも、裏庭からだなんて…」
「えっ、此処敷地内?」
「は?」
気づかなかったとはいえ俺思いっきり不法侵入じゃねーか!!そりゃ捕まっても文句言えねーよ!!
「す、すみません、すぐ帰ります。」
「ちょっと、すぐ帰れるなんて思わないでよ?てかアンタ、この状況わかってる?」
状況?
「町で会った兄ちゃんに刃物を突きつけられてます。まるでコマタナに警戒されてる気分。」
「そのこまたなって何か知らないけどなめてんの?」
まさか。
「はぁ、ホントにもー…これ以上仕事増やさないで欲しいんだけど。旦那は旦那で得体の知れない青い物の怪と手合わせとかいって暴れ回ってるし、大将も何も言わないどころか加勢してるし」
「青い物の怪…?」
青い物の怪。
それが、さっきの鳴き声だとしたら。
「兄ちゃん、」
「あーごめん、アンタの事ほっといてたね。」
「喋んな。命が惜しけりゃじっとしてな。」
刃物が喉に食い込む。
冷たさの内側から鋭い熱さがじわじわと肌へ漏れ出て、そこを伝って降りていく。
あー、血ぃでたわ。
そう思った瞬間、兄ちゃんの呻き声が聞こえた。
「なんっ、はぁ!?体が、ぐっ、」
俺から勝手に離れていく兄ちゃん。
…いや、離れていくっつーか、離れて浮いていってる。
「アンタ何者?やっぱり何処かの忍?」
「え、いや違います。」
「しらばっくれんなよ、こういう事できるって事は忍だろ?」
あぁそっか、この世界にはポケモンがいないから、「サイコキネシス」の存在も知らないのか。
…うっわ何なのあの兄ちゃん、サイコキネシスを自力で振り切りやがった。やべーな。
なんて悠長に構えてるけど、刃物…あれ苦無だ。それを振りかざしてきてる。あ、死んだ。
「サァナッ!!」
…っあ、
若干の低さが心地よい声と共に、闇色の弾が、兄ちゃんの手から苦無を弾き飛ばした。
俺の前に庇うようにして降りたったのは、緑の頭に真っ白いワンピースのようなヒラヒラ、一見人間の女性みてーな出で立ちのポケモン。
俺の二番目の相棒、サーナイト。
「…サ、ナイト?」
「サーナ」
サーナイトは手をかざし、ふたたび兄ちゃんの動きを封じる。
「本物、だよな?」
「サァナサナ。」
サーナイトは、俺をふわりと抱きしめた。
「サナ、サナ。」
とん、とん、とあやすように背中を撫でられ、不意に涙腺が緩む。
「…うあ、お、俺のこと、きらいに、ならないで、」
「サナ」
「ひとりはいや、なんだ」
「サナ。」
「気付いたら全く知らない土地にいて、ミミロップはいたけどっ、お前も、みんなも、居なく、なってて、」
「ナート」
「俺のこと、嫌いになったんじゃ、ねーかって、」
「サナナ!」
あーあ、兄ちゃん、顔しかめてる。
うん、悪い。こんなよくわかんねーところ見せられてもな。
「…悪い、サーナイト。もうへーき。」
「サナッ!」
え、まってんなギューッてやられても。ちょ、くっそかわいいな何お前。
あっ兄ちゃんがまたサイコキネシス振り切った。
「…ねぇ、そこの物の怪。」
物の怪…って、サーナイトの事か?
「サーナイトの事ですか?」
「その緑と白の女人みたいなの以外に誰がいるの?」
刺々しい。まるでロズレイドのブーケだ。
「さっきのその術にその雰囲気。もしかしてなんだけど、あの青い物の怪と関係あるの?」
「そうだ!その物の怪って、なんか青い弾を手から出してたりしました!?」
だとしたら、ソイツはやっぱり…っ!
「…ふぅん?ソイツ、アンタにとってそんなに大切なんだ?」
「大切も何も、アイツは俺の家族同然!アイツがいなきゃ俺はただのクズだ。なんだ?アイツを殺そうってか?なら俺を殺せよ。それかお前を全力で叩きのめす。アイツがいない世界なんて俺はいらねぇ。」
これは、本気だ。
アイツだけじゃねえ。ミミロップやサーナイトも、同じ事が言える。
そん時の俺、相当ひでえ顔してたんだな。兄ちゃんがめっちゃ顔ひきつらせてたよ。
「……はぁ、わかったよ、取引をしよう。」
「取引…?」
「そ。俺様は一旦アンタを信用して館まで送り届ける。それであの青い物の怪に会わせてあげるよ。その代わり、アンタの事を俺様や俺様の主達に包み隠さず話せ。」
…包み隠さず、か。
「破ったら?」
「容赦なく殺す。」
「ふーん。」
「……あのさ、ホントに状況わかってる?」
「んー?まぁ。」
「はぁ…んで?呑むの、呑まないの?」
「呑みます。」
「りょーかいっと。」
そういうわけで、あの館に案内された。
外から見てみると、中にいるミミロップが何か感じたようで、ひたすらに指を指していた。
その方向には、大きな館がうっすらと見えた。
「…なんか、あんのか?」
ミミロップは頷く。
そうと決まれば、行くしかない。
俺は館を目指して歩き出した
のが、二時間くらい前の出来事。
え?今?
なんか知らん奴に捕まった
いや、さ、
なんかな、まぁ向かって行ったんだよ。あのうっすらと見える館へ。
そしたらな、遠くから聞こえてくるの。人の声が。
「うおおぉぉぉ」「がるるぉぉぉぉ」って。
前者は知らんけど、後者の声は聞き覚えが有りすぎて、まさかって思って走ってったんだ。
そしたら捕まった。しかも声が町でぶつかった兄ちゃんそっくり。
「…町の兄ちゃん?」
「あはー、ばれちゃった?ま、あの時は本格的な変装してなかったからねぇ。」
首に突きつけられた刃物に力がこもる。
…なんかコマタナに襲われてる気分だな。
俺に向けられてる目線が滅茶苦茶鋭い。目線だけならアローラの島巡りで出てくるぬしポケモンと同じかそれ以上。でも気迫が違うんだよなぁ、なんだろ。
…ミミロップのボールがメッチャガタガタいってる。落ち着け。
「此処は躑躅ヶ崎館の敷地内だよ?門から入ってくるならまだしも、裏庭からだなんて…」
「えっ、此処敷地内?」
「は?」
気づかなかったとはいえ俺思いっきり不法侵入じゃねーか!!そりゃ捕まっても文句言えねーよ!!
「す、すみません、すぐ帰ります。」
「ちょっと、すぐ帰れるなんて思わないでよ?てかアンタ、この状況わかってる?」
状況?
「町で会った兄ちゃんに刃物を突きつけられてます。まるでコマタナに警戒されてる気分。」
「そのこまたなって何か知らないけどなめてんの?」
まさか。
「はぁ、ホントにもー…これ以上仕事増やさないで欲しいんだけど。旦那は旦那で得体の知れない青い物の怪と手合わせとかいって暴れ回ってるし、大将も何も言わないどころか加勢してるし」
「青い物の怪…?」
青い物の怪。
それが、さっきの鳴き声だとしたら。
「兄ちゃん、」
「あーごめん、アンタの事ほっといてたね。」
「喋んな。命が惜しけりゃじっとしてな。」
刃物が喉に食い込む。
冷たさの内側から鋭い熱さがじわじわと肌へ漏れ出て、そこを伝って降りていく。
あー、血ぃでたわ。
そう思った瞬間、兄ちゃんの呻き声が聞こえた。
「なんっ、はぁ!?体が、ぐっ、」
俺から勝手に離れていく兄ちゃん。
…いや、離れていくっつーか、離れて浮いていってる。
「アンタ何者?やっぱり何処かの忍?」
「え、いや違います。」
「しらばっくれんなよ、こういう事できるって事は忍だろ?」
あぁそっか、この世界にはポケモンがいないから、「サイコキネシス」の存在も知らないのか。
…うっわ何なのあの兄ちゃん、サイコキネシスを自力で振り切りやがった。やべーな。
なんて悠長に構えてるけど、刃物…あれ苦無だ。それを振りかざしてきてる。あ、死んだ。
「サァナッ!!」
…っあ、
若干の低さが心地よい声と共に、闇色の弾が、兄ちゃんの手から苦無を弾き飛ばした。
俺の前に庇うようにして降りたったのは、緑の頭に真っ白いワンピースのようなヒラヒラ、一見人間の女性みてーな出で立ちのポケモン。
俺の二番目の相棒、サーナイト。
「…サ、ナイト?」
「サーナ」
サーナイトは手をかざし、ふたたび兄ちゃんの動きを封じる。
「本物、だよな?」
「サァナサナ。」
サーナイトは、俺をふわりと抱きしめた。
「サナ、サナ。」
とん、とん、とあやすように背中を撫でられ、不意に涙腺が緩む。
「…うあ、お、俺のこと、きらいに、ならないで、」
「サナ」
「ひとりはいや、なんだ」
「サナ。」
「気付いたら全く知らない土地にいて、ミミロップはいたけどっ、お前も、みんなも、居なく、なってて、」
「ナート」
「俺のこと、嫌いになったんじゃ、ねーかって、」
「サナナ!」
あーあ、兄ちゃん、顔しかめてる。
うん、悪い。こんなよくわかんねーところ見せられてもな。
「…悪い、サーナイト。もうへーき。」
「サナッ!」
え、まってんなギューッてやられても。ちょ、くっそかわいいな何お前。
あっ兄ちゃんがまたサイコキネシス振り切った。
「…ねぇ、そこの物の怪。」
物の怪…って、サーナイトの事か?
「サーナイトの事ですか?」
「その緑と白の女人みたいなの以外に誰がいるの?」
刺々しい。まるでロズレイドのブーケだ。
「さっきのその術にその雰囲気。もしかしてなんだけど、あの青い物の怪と関係あるの?」
「そうだ!その物の怪って、なんか青い弾を手から出してたりしました!?」
だとしたら、ソイツはやっぱり…っ!
「…ふぅん?ソイツ、アンタにとってそんなに大切なんだ?」
「大切も何も、アイツは俺の家族同然!アイツがいなきゃ俺はただのクズだ。なんだ?アイツを殺そうってか?なら俺を殺せよ。それかお前を全力で叩きのめす。アイツがいない世界なんて俺はいらねぇ。」
これは、本気だ。
アイツだけじゃねえ。ミミロップやサーナイトも、同じ事が言える。
そん時の俺、相当ひでえ顔してたんだな。兄ちゃんがめっちゃ顔ひきつらせてたよ。
「……はぁ、わかったよ、取引をしよう。」
「取引…?」
「そ。俺様は一旦アンタを信用して館まで送り届ける。それであの青い物の怪に会わせてあげるよ。その代わり、アンタの事を俺様や俺様の主達に包み隠さず話せ。」
…包み隠さず、か。
「破ったら?」
「容赦なく殺す。」
「ふーん。」
「……あのさ、ホントに状況わかってる?」
「んー?まぁ。」
「はぁ…んで?呑むの、呑まないの?」
「呑みます。」
「りょーかいっと。」
そういうわけで、あの館に案内された。