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もう、怯える必要などないのです。
るかりおがスダチに言った言葉。
結構重要そうな話だけど、気配を読むことなら悔しい事に俺様と互角がそれ以上なるかりおが天井裏に潜む俺様に気づかない訳もないし、
そのまま話を続けてるってことは聞かれて拙い話でもないんだろう。
スダチは俯いて気まずそうにしている。
…怯えるって何の話さ?そいつ、怯えるどころか殺されそうになっても表情一つ変えずにヘラヘラしてた奴だぜ?
「わかってる…わかってるんだ。
…でもさ、この短期間でも分かったんだ。ここは生きるか死ぬかの世界。情なんて二の次だ。みんなみんな互いを疑ってて、ピリピリしてる。」
スダチの声。
何だ、結構わかってんじゃん。
戦がない世界から来たっていうから、もっとついていけてないかと思ってたけど。
だから俺様は、こいつの次の言葉に耳を疑った。
「でも、こっちの方が過ごしやすいんだ。」
「こっちは確かにピリピリしてる。けれど、それは人のため。他はどーだか知らんけど、少なくとも此処は、あの兄ちゃんは真田様の為に。真田様は御館様の為に疑ってる。
…こっちとは大違いだ。」
《スダチ殿…》
おかしい。
だってあいつのあの目は、御館様が太平の世を夢見ている時と、戦を憂いでいる時と同じ眼だ。
やはり戦がないと言うのは嘘なのか?いやでもそしたら、あの細いのに栄養が行き届いた体はどう説明する?傷も肉刺もないあの女人のような小さな手は…
「確かに俺達の世界には戦はない。平和な世界だ。世界中の技術も入ってきた。便利な世にもなった。しかしどーだ?俺達の世界の人間は次第に利便性を追求し、怠惰になっていった。自然を煩わしく思うようになった。自分以外の生物を軽んじるようになった。」
淡々と話すアイツの目は相変わらず澱んだまま。
「戦はない。でも犯罪はある。しかも年々増え続け、減った試しもない。警察が無能なんて言わねーさ。でも押さえ切れてねーんだ。その結果、優しさは全て偽善と認識されるようになった。可笑しいよな、見知らぬ子供に癒されて、純粋に話してみたいなと思って話し掛けただけで犯罪者扱いだ。
手助けをしようと話しかけたって無視される。死にそうになってる奴を助けようとしたら犠牲者と罵られる。そのくせほっといたら今度は"何故助けなかった"と罵られる。」
「…戦を捨てて平和や便利さを求めた結果がこれかよ。何でだよ。
結局は何も変わってねーじゃねーか。
それに地位とかが無くなって平等にもなったはずなのに、ポケモンバトルが強い奴が次第に権力を握っていった。ポケモンをもたない子供の意見はみんな無視される。助けてって叫んだって、誰も聞いちゃくれねぇ。」
信じられなかった。
いや、むしろ信じたくなかった。
彼は俺様達の望む戦のない太平の世から来たはずなのに、その世界は彼にとって平和から程遠いはずのこの乱世よりも、生きにくい世界だという。
…彼はそこで、様々な人に裏切られたのだろうか。
人間の醜さを間近で見てきてしまったのだろうか。
欲に踊らされる大人たちを、ただただ滑稽なその光景を見てきたのだろうか。
「いいなぁ、ここは。」
「緑がいっぱいで、空気も綺麗。便利なものはないけど、人のために頑張ってる。」
澱みきった瞳の中に、微かな涙の色を見つけて手を伸ばしかけてしまったけれど。
「まぁ俺にはポケモン達がいるし、関係ねーけどな。俺の居場所でもねーんだし。」
その言葉に、俺様ってば何絆されかけてんの?という気持ちと、慰める資格なんてないって気持ちがもつれ合って、腕はそのままストンと垂れ下がった。
るかりおがスダチに言った言葉。
結構重要そうな話だけど、気配を読むことなら悔しい事に俺様と互角がそれ以上なるかりおが天井裏に潜む俺様に気づかない訳もないし、
そのまま話を続けてるってことは聞かれて拙い話でもないんだろう。
スダチは俯いて気まずそうにしている。
…怯えるって何の話さ?そいつ、怯えるどころか殺されそうになっても表情一つ変えずにヘラヘラしてた奴だぜ?
「わかってる…わかってるんだ。
…でもさ、この短期間でも分かったんだ。ここは生きるか死ぬかの世界。情なんて二の次だ。みんなみんな互いを疑ってて、ピリピリしてる。」
スダチの声。
何だ、結構わかってんじゃん。
戦がない世界から来たっていうから、もっとついていけてないかと思ってたけど。
だから俺様は、こいつの次の言葉に耳を疑った。
「でも、こっちの方が過ごしやすいんだ。」
「こっちは確かにピリピリしてる。けれど、それは人のため。他はどーだか知らんけど、少なくとも此処は、あの兄ちゃんは真田様の為に。真田様は御館様の為に疑ってる。
…こっちとは大違いだ。」
《スダチ殿…》
おかしい。
だってあいつのあの目は、御館様が太平の世を夢見ている時と、戦を憂いでいる時と同じ眼だ。
やはり戦がないと言うのは嘘なのか?いやでもそしたら、あの細いのに栄養が行き届いた体はどう説明する?傷も肉刺もないあの女人のような小さな手は…
「確かに俺達の世界には戦はない。平和な世界だ。世界中の技術も入ってきた。便利な世にもなった。しかしどーだ?俺達の世界の人間は次第に利便性を追求し、怠惰になっていった。自然を煩わしく思うようになった。自分以外の生物を軽んじるようになった。」
淡々と話すアイツの目は相変わらず澱んだまま。
「戦はない。でも犯罪はある。しかも年々増え続け、減った試しもない。警察が無能なんて言わねーさ。でも押さえ切れてねーんだ。その結果、優しさは全て偽善と認識されるようになった。可笑しいよな、見知らぬ子供に癒されて、純粋に話してみたいなと思って話し掛けただけで犯罪者扱いだ。
手助けをしようと話しかけたって無視される。死にそうになってる奴を助けようとしたら犠牲者と罵られる。そのくせほっといたら今度は"何故助けなかった"と罵られる。」
「…戦を捨てて平和や便利さを求めた結果がこれかよ。何でだよ。
結局は何も変わってねーじゃねーか。
それに地位とかが無くなって平等にもなったはずなのに、ポケモンバトルが強い奴が次第に権力を握っていった。ポケモンをもたない子供の意見はみんな無視される。助けてって叫んだって、誰も聞いちゃくれねぇ。」
信じられなかった。
いや、むしろ信じたくなかった。
彼は俺様達の望む戦のない太平の世から来たはずなのに、その世界は彼にとって平和から程遠いはずのこの乱世よりも、生きにくい世界だという。
…彼はそこで、様々な人に裏切られたのだろうか。
人間の醜さを間近で見てきてしまったのだろうか。
欲に踊らされる大人たちを、ただただ滑稽なその光景を見てきたのだろうか。
「いいなぁ、ここは。」
「緑がいっぱいで、空気も綺麗。便利なものはないけど、人のために頑張ってる。」
澱みきった瞳の中に、微かな涙の色を見つけて手を伸ばしかけてしまったけれど。
「まぁ俺にはポケモン達がいるし、関係ねーけどな。俺の居場所でもねーんだし。」
その言葉に、俺様ってば何絆されかけてんの?という気持ちと、慰める資格なんてないって気持ちがもつれ合って、腕はそのままストンと垂れ下がった。
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