むぎゅう、ぽふ、ぽふ。

すぐそばで騒音並に聞こえる真田様の声。

「某達がいるでござる」「もう淋しくないでござるよ」とか言ってた気がする。耳が痛い。


人間に抱きしめられたのなんていつぶりだろう。


「…あったかい」






人間って、こんなに暖かかったんだな。


「…お主は何もかも自分一人で抱え込み過ぎじゃ。すぐにとは言わんが、少しは頼る事を覚えた方がよい。」

「俺にはポケモン達がいます。」


ミミロップ達が真田様を引き剥がして、周りにぺとりとくっついてきた。あたたかいし可愛い。


武田様は溜め息をついて、「強情な奴じゃ」とぼやいておられた。



「…ま、いっか。」


どことなく吹っ切れた様子で呟いたのは忍の兄ちゃん。


「しょーがないから俺様もちょっとは警戒緩めてあげるよ。監視しててわかったけどアンタ危機感というか緊張感無さ過ぎ！見てて危なっかしいもん。」

「えっ」

「信じるには確実な証拠が少ないけど、信じないと辻褄が会わないところもあるのも事実だしね。」



今まで距離感的に一番ちょうどよかったのが兄ちゃんだったからかなり焦ったけど、
その後、耳元で「だからって変な気は起こさない事だね。少しでも怪しいと思えばそのほっそい首飛ばすから」と囁かれて何だか安心した。



因みに敵は兄ちゃんに任せた。
多分ごーもんだか首をチョンパだかされたんだろーなと思ってみる。





























「何であの事言ったの。」


部屋でルカリオと向かい合う。

彼は心なしかしゅんとしてるようだけど、言うつもりが無かったことを言われるのはちょっと嫌だ。


《…あぁでも言わなければ、貴方は誤解されたままだったのですよ？》

「いーんだよそれで。」

《……それに此処は、私達の世界とは違うのですよ。》








もう、怯える必要などないのです。






「…うん。」



分かってるつもりでは、いた。
けどさ、ずっとずっと恐怖や疑念を抱いていたものに対してさ、環境が代わったから受け入れろって言われて「わかった」ってすぐ受け入れられるか？

少なくとも、俺は無理だ。





だって、仮に受け入れられたとして、そこに俺の居場所はないじゃんか。