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完全に某の失態だ。
敵の気配に気付かず部屋の中まで進入を許すなど、城を預かっている武将としてあるまじき失態…っ!!
しかし、こうなってしまった以上御館様の元まで行かせぬようにしなくては。
咄嗟に佐助を呼んだは良いものの、思ったより数が多い上室内のため動きにくそうにしている。
某も護身用の刀で抑え込んではいるものの、矢張り本来の獲物ではないからか手に馴染まない。
そんな事を言っている暇が無いのは重々承知だが。
他の忍は全員御館様の護衛や周りの残党始末にあたらせている。
「旦那っ!!」
佐助の声に反射的に振り向けば、目前に刃が迫って───
「くそが…っ」
ふわり、と香ったのは爽やかで優しい柚子の香り。
目の前には奇天烈な形の着物。
「てめー、人の事を調味料扱いするだけじゃ飽きたらず、さらにゃ人殺しまでしよーとしてんな?」
急すぎる登場に辺りが水を打ったように静かになった。
見上げれば、あちこちに跳ねている髪の毛に真上にまるで葉のように跳ねた髪。
彼は、昨日監視も兼ねて泊めたスダチ殿であった。
「…小童、我が身が可愛いのなら引っ込んでおれ。」
「うるせーよ。俺だって関わりたくはなかったさ。けど怪我しそうになってんだ。助けなきゃだろ。関わるしかねーだろーがよ。」
スダチ殿は手甲をしておられるのか、刃を左の手の甲で受け止めている。
しかし刀を振り回す敵の力に押し負けそうになっているのか、腕がプルプル震えている。
辛うじて弾くも、スダチ殿はふらりとよろめき、その隙を縫って敵が彼に向かって刀を振り上げた。
「スダチ殿っ!!」
咄嗟に刀を持ち直してその刃を受け止めようとしたら
「ガルォッ!!」
「コガッ!!」
「サァナッ!!」
青色の淡い光を発する弾が、敵の手を弾いて刀をとばし、その刀が青い手裏剣によって二つに斬られ、急に敵全員の体が縛られたかのように動かなくなった。
「ナイスタイミーング、皆。
サーナイト、刀危ないから回収しといて。ルカリオとゲッコウガで刀全部壊すこと。
そしてミミロップ。」
ひらりと舞った、茶と桃の兎。
「好きなよーにやったれ。」
彼の命を受けて動く物の怪達は、まるで大将や殿の命で動く兵士達と見間違える程に統率力があり、また互いに「信頼」という絆が見えた。
兎の物の怪は軽やかに飛び跳ねては敵を文字通り蹴散らしてゆく。
適が此方に誰一人として飛んでこないのは気のせいだろうか。
あっという間に周囲の敵を地に伏せ、堂々と胸を張る物の怪。
しかしその勇ましい表情は、スダチ殿が頭をなでるとふにゃふにゃと緩み、主に甘える獣のそれになる。
「大事ないか、幸村よ!」
「御館様!!」
襖を開き、悠然と参られた御館様。
忍達は上手くやってくれたようだ。
「はっ!しかしながら僅かに油断をしてしまい、あろう事か客人に守られてしまいました。」
「城の主が油断など、何たる落ち度か幸村あぁぁぁああぁぁぁぁ!!!」
「申し訳御座いませぬっ!!!!!」
「慢心は敵に最も付け込まれやすい。今回は無事だったが、次はないぞ!」
「御意、御館様!!」
御館様に頭を下げ、未だ物の怪の頭を撫でるスダチ殿へと向き直る。
「スダチ殿!此度は某を守っていただき誠に感謝いたす!!」
「守ったつもりなど御座いませぬ」
「は…?しかし先程は、」
「言葉の綾という奴です。それに聞けば、貴方様は城の主というではありませぬか。その様な方がこのような素性も知れぬ怪しい者に簡単に頭を下げるなど何事ですか。」
「だ、だが」
「俺は貴方を騙して殺めようとしているやもしれぬと言いますのに。」
空気が冷えたような気がした。
確かに彼の事は今の所何も分かっていない。
佐助が調べても何も情報が出てこないのだ。
そんな彼を危険視し、怪しい行動が取れぬようにと躑躅ヶ崎館に置いた。
…しかし彼はその後もなにも行動を起こさなかった。
今までもやろうと思えば、あの物の怪達の力で某等の首を狙うなど容易かっただろうに、それをしなかったのだ。
だから、某は。
「某等の首を狙う機会など、今まで幾らでもあった筈でござる。」
「その物の怪達の力なら、簡単に殺すことが出来た筈でござろう?」
「………あの話を、信じると?」
「あの物の怪達の力をこの目で見たのだ。あのような奇怪な術が使える者がいるのなら、別の世界やら未来やら越える力がある者もいるやもしれぬと考えたまで。」
「………」
「それにそなたはあの物の怪達からとても慕われている!下の者から慕われる主に悪い者などおらぬでござる!!」
佐助が呆れたように溜め息をつくが、こればかりは譲れぬ。
「…お人好しですね」
「何とでも言うといい!某はそなたを信じてみたいのだ。」
「止めてください」
冷たく切り返され、再び周りの空気がかたまった。
敵の気配に気付かず部屋の中まで進入を許すなど、城を預かっている武将としてあるまじき失態…っ!!
しかし、こうなってしまった以上御館様の元まで行かせぬようにしなくては。
咄嗟に佐助を呼んだは良いものの、思ったより数が多い上室内のため動きにくそうにしている。
某も護身用の刀で抑え込んではいるものの、矢張り本来の獲物ではないからか手に馴染まない。
そんな事を言っている暇が無いのは重々承知だが。
他の忍は全員御館様の護衛や周りの残党始末にあたらせている。
「旦那っ!!」
佐助の声に反射的に振り向けば、目前に刃が迫って───
「くそが…っ」
ふわり、と香ったのは爽やかで優しい柚子の香り。
目の前には奇天烈な形の着物。
「てめー、人の事を調味料扱いするだけじゃ飽きたらず、さらにゃ人殺しまでしよーとしてんな?」
急すぎる登場に辺りが水を打ったように静かになった。
見上げれば、あちこちに跳ねている髪の毛に真上にまるで葉のように跳ねた髪。
彼は、昨日監視も兼ねて泊めたスダチ殿であった。
「…小童、我が身が可愛いのなら引っ込んでおれ。」
「うるせーよ。俺だって関わりたくはなかったさ。けど怪我しそうになってんだ。助けなきゃだろ。関わるしかねーだろーがよ。」
スダチ殿は手甲をしておられるのか、刃を左の手の甲で受け止めている。
しかし刀を振り回す敵の力に押し負けそうになっているのか、腕がプルプル震えている。
辛うじて弾くも、スダチ殿はふらりとよろめき、その隙を縫って敵が彼に向かって刀を振り上げた。
「スダチ殿っ!!」
咄嗟に刀を持ち直してその刃を受け止めようとしたら
「ガルォッ!!」
「コガッ!!」
「サァナッ!!」
青色の淡い光を発する弾が、敵の手を弾いて刀をとばし、その刀が青い手裏剣によって二つに斬られ、急に敵全員の体が縛られたかのように動かなくなった。
「ナイスタイミーング、皆。
サーナイト、刀危ないから回収しといて。ルカリオとゲッコウガで刀全部壊すこと。
そしてミミロップ。」
ひらりと舞った、茶と桃の兎。
「好きなよーにやったれ。」
彼の命を受けて動く物の怪達は、まるで大将や殿の命で動く兵士達と見間違える程に統率力があり、また互いに「信頼」という絆が見えた。
兎の物の怪は軽やかに飛び跳ねては敵を文字通り蹴散らしてゆく。
適が此方に誰一人として飛んでこないのは気のせいだろうか。
あっという間に周囲の敵を地に伏せ、堂々と胸を張る物の怪。
しかしその勇ましい表情は、スダチ殿が頭をなでるとふにゃふにゃと緩み、主に甘える獣のそれになる。
「大事ないか、幸村よ!」
「御館様!!」
襖を開き、悠然と参られた御館様。
忍達は上手くやってくれたようだ。
「はっ!しかしながら僅かに油断をしてしまい、あろう事か客人に守られてしまいました。」
「城の主が油断など、何たる落ち度か幸村あぁぁぁああぁぁぁぁ!!!」
「申し訳御座いませぬっ!!!!!」
「慢心は敵に最も付け込まれやすい。今回は無事だったが、次はないぞ!」
「御意、御館様!!」
御館様に頭を下げ、未だ物の怪の頭を撫でるスダチ殿へと向き直る。
「スダチ殿!此度は某を守っていただき誠に感謝いたす!!」
「守ったつもりなど御座いませぬ」
「は…?しかし先程は、」
「言葉の綾という奴です。それに聞けば、貴方様は城の主というではありませぬか。その様な方がこのような素性も知れぬ怪しい者に簡単に頭を下げるなど何事ですか。」
「だ、だが」
「俺は貴方を騙して殺めようとしているやもしれぬと言いますのに。」
空気が冷えたような気がした。
確かに彼の事は今の所何も分かっていない。
佐助が調べても何も情報が出てこないのだ。
そんな彼を危険視し、怪しい行動が取れぬようにと躑躅ヶ崎館に置いた。
…しかし彼はその後もなにも行動を起こさなかった。
今までもやろうと思えば、あの物の怪達の力で某等の首を狙うなど容易かっただろうに、それをしなかったのだ。
だから、某は。
「某等の首を狙う機会など、今まで幾らでもあった筈でござる。」
「その物の怪達の力なら、簡単に殺すことが出来た筈でござろう?」
「………あの話を、信じると?」
「あの物の怪達の力をこの目で見たのだ。あのような奇怪な術が使える者がいるのなら、別の世界やら未来やら越える力がある者もいるやもしれぬと考えたまで。」
「………」
「それにそなたはあの物の怪達からとても慕われている!下の者から慕われる主に悪い者などおらぬでござる!!」
佐助が呆れたように溜め息をつくが、こればかりは譲れぬ。
「…お人好しですね」
「何とでも言うといい!某はそなたを信じてみたいのだ。」
「止めてください」
冷たく切り返され、再び周りの空気がかたまった。