現在地:カイシティ
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スダチと名乗ったその男。
一人で世界を旅していたという全く信用できない(荷物を見る限り本当っぽいけど、警戒しとくに越したことはないでしょ)そいつの話を大将はあっさりと信じ、
あろう事か「長旅や訳の分からない奇っ怪な現象に巻き込まれて疲れているだろう。今日のところは儂の館で休むとよい」なんて言い出した。
俺様が止めようとしたら旦那まで便乗し出して…全くもー!二人とも自分の立場わかってんの!?
なんて思っていたら、二人ともどうやらなにもただの親切心で泊めたって訳じゃないらしい。
「正直儂も、あの者の話を信じていない。しかし今現在あの者が本当に敵かどうか見極める手段がないのも事実。
ならば敢えて懐に潜り込ませ、向こうの出方を窺おうというわけじゃ。」
「流石は御館様!!佐助にはああ言いましたが、実は某もあの者が何処かの間者ではないかと疑っておりました。確かに襲われやすくなる危険は上がりますが、そのぶん敵と見なした時確実に仕留める事ができると言うもの!!」
うーん、お人好しな大将らにしてはいい判断だ。
…まぁ伊達の旦那や前田の旦那が無断で何回もこっちに来てるから感覚が麻痺してるってのもあるんだろうけど。
因みに男の監視は俺様がやる事に。
信頼してくれてるのは嬉しいんだけどねぇ…はぁ、どれだけ俺様の仕事増やすわけ?
なーんてぐちぐち言いつつもきっちりお仕事こなす俺様ってばホント優秀過ぎて困っちゃーう。
夕餉も済ませ、与えられた部屋でただ座っているだけの男。
今の所何も怪しい動きは無い。
男が持ってた「ばっくぱっく」とかいう風呂敷は、少しでも武器になりそうなものだけを取り上げて後は返した。
いや、この御時世に小刀とか全くないのも可笑しいけど荷物を取られて少しも慌てない所か取りに行こうともしないってどういうことさ!?
それどころか調子外れな声で「ひーまーだーなー」って歌ってるんだけど…
はぁ、ホント調子狂う。
男はその日、敷いてあった布団ではなく荷物から変な袋みたいなものを取り出して、そこにくるまるようにして眠った。
勿論仕込み武器が無いかどうかは確認済み。ただの変な袋だった。
…なんか蓑虫みたいだな。
すよすよと無防備に眠るその顔は、悔しいけど昼間の間抜け顔より断然可愛らしくて、女の子みたいだなって思ってしまった。
僅かに漏れる月明かりが、彼の僅かに金が交じっている不思議な黒髪を照らす。
「…夜空みてー…」
って、なになになに!?俺様ってば何でこんな雅やかな事考えちゃってるの!?
またアイツの調子に乗せられかけたとか!?
いけないいけない、平常心平常心っと……!!
ガキンッ、
「ちょっと~…こんな時間に来客?困るんだよねぇ、時間考えてくれないと。」
ぴん、と張り詰めた殺気、俺様とよく似た気配。
天井裏から降りて顔を上げれば、巨大な蛙の物の怪がこっちを睨みつけていた。
「あっちゃ~…俺様大失敗…?」
今まで何もせずじっと出来ていたのは、コイツに夜忍び込むよう指示していたから!!
くそっ、物の怪はあの女人みたいな奴しかいないと思って油断した…!!
…ん?待てよ?だとしても普通あんな無防備に寝るか?
夜、眠る前に殺される事を把握してなかったのか?
眠っている時に殺気を飛ばしてみたけど、ぴくりとも反応しなかった。
…っと、いけない。
まずは目の前の敵に集中しなきゃ。
さっき苦無で防いだのは少し大きい小石。
耳がよくて良かったぁ。この俺様に気配を悟らせないなんてねぇ。
コイツはちょいと手こずりそうだ。
そう思ってるのにつり上がる口角を抑え、苦無を両手に構えて飛びかかる。
物の怪はそれを軽々とよけて…
(後ろっ!?)
一瞬のうちに背後に回り込まれ、何かを放った。
圧縮された水のようなそれは手裏剣のように見え、とっさに苦無を構えて防ぐ。
が
「んなあぁっ!?」
それは簡単には欠けない筈の苦無を軽々と切断して……って、はぁ!?
咄嗟に背中を反らせば、その水の手裏剣は顔面すれすれを通って部屋の壁に聞き慣れた水の音を弾けさせて消えた。
「ウッソだろぉ~…?」
思わず額に手を触れると、額当てには傷が走っていて思わず頬が引きつった。
冗談じゃないぜ、こんなの水の威力じゃない!!
婆娑羅者?いや、水の婆娑羅なんて聞いたことがない。
物の怪は、未だ呑気に眠りこけている男を守るように構える。
一人で世界を旅していたという全く信用できない(荷物を見る限り本当っぽいけど、警戒しとくに越したことはないでしょ)そいつの話を大将はあっさりと信じ、
あろう事か「長旅や訳の分からない奇っ怪な現象に巻き込まれて疲れているだろう。今日のところは儂の館で休むとよい」なんて言い出した。
俺様が止めようとしたら旦那まで便乗し出して…全くもー!二人とも自分の立場わかってんの!?
なんて思っていたら、二人ともどうやらなにもただの親切心で泊めたって訳じゃないらしい。
「正直儂も、あの者の話を信じていない。しかし今現在あの者が本当に敵かどうか見極める手段がないのも事実。
ならば敢えて懐に潜り込ませ、向こうの出方を窺おうというわけじゃ。」
「流石は御館様!!佐助にはああ言いましたが、実は某もあの者が何処かの間者ではないかと疑っておりました。確かに襲われやすくなる危険は上がりますが、そのぶん敵と見なした時確実に仕留める事ができると言うもの!!」
うーん、お人好しな大将らにしてはいい判断だ。
…まぁ伊達の旦那や前田の旦那が無断で何回もこっちに来てるから感覚が麻痺してるってのもあるんだろうけど。
因みに男の監視は俺様がやる事に。
信頼してくれてるのは嬉しいんだけどねぇ…はぁ、どれだけ俺様の仕事増やすわけ?
なーんてぐちぐち言いつつもきっちりお仕事こなす俺様ってばホント優秀過ぎて困っちゃーう。
夕餉も済ませ、与えられた部屋でただ座っているだけの男。
今の所何も怪しい動きは無い。
男が持ってた「ばっくぱっく」とかいう風呂敷は、少しでも武器になりそうなものだけを取り上げて後は返した。
いや、この御時世に小刀とか全くないのも可笑しいけど荷物を取られて少しも慌てない所か取りに行こうともしないってどういうことさ!?
それどころか調子外れな声で「ひーまーだーなー」って歌ってるんだけど…
はぁ、ホント調子狂う。
男はその日、敷いてあった布団ではなく荷物から変な袋みたいなものを取り出して、そこにくるまるようにして眠った。
勿論仕込み武器が無いかどうかは確認済み。ただの変な袋だった。
…なんか蓑虫みたいだな。
すよすよと無防備に眠るその顔は、悔しいけど昼間の間抜け顔より断然可愛らしくて、女の子みたいだなって思ってしまった。
僅かに漏れる月明かりが、彼の僅かに金が交じっている不思議な黒髪を照らす。
「…夜空みてー…」
って、なになになに!?俺様ってば何でこんな雅やかな事考えちゃってるの!?
またアイツの調子に乗せられかけたとか!?
いけないいけない、平常心平常心っと……!!
ガキンッ、
「ちょっと~…こんな時間に来客?困るんだよねぇ、時間考えてくれないと。」
ぴん、と張り詰めた殺気、俺様とよく似た気配。
天井裏から降りて顔を上げれば、巨大な蛙の物の怪がこっちを睨みつけていた。
「あっちゃ~…俺様大失敗…?」
今まで何もせずじっと出来ていたのは、コイツに夜忍び込むよう指示していたから!!
くそっ、物の怪はあの女人みたいな奴しかいないと思って油断した…!!
…ん?待てよ?だとしても普通あんな無防備に寝るか?
夜、眠る前に殺される事を把握してなかったのか?
眠っている時に殺気を飛ばしてみたけど、ぴくりとも反応しなかった。
…っと、いけない。
まずは目の前の敵に集中しなきゃ。
さっき苦無で防いだのは少し大きい小石。
耳がよくて良かったぁ。この俺様に気配を悟らせないなんてねぇ。
コイツはちょいと手こずりそうだ。
そう思ってるのにつり上がる口角を抑え、苦無を両手に構えて飛びかかる。
物の怪はそれを軽々とよけて…
(後ろっ!?)
一瞬のうちに背後に回り込まれ、何かを放った。
圧縮された水のようなそれは手裏剣のように見え、とっさに苦無を構えて防ぐ。
が
「んなあぁっ!?」
それは簡単には欠けない筈の苦無を軽々と切断して……って、はぁ!?
咄嗟に背中を反らせば、その水の手裏剣は顔面すれすれを通って部屋の壁に聞き慣れた水の音を弾けさせて消えた。
「ウッソだろぉ~…?」
思わず額に手を触れると、額当てには傷が走っていて思わず頬が引きつった。
冗談じゃないぜ、こんなの水の威力じゃない!!
婆娑羅者?いや、水の婆娑羅なんて聞いたことがない。
物の怪は、未だ呑気に眠りこけている男を守るように構える。
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