【サゴマキ】His back

 頭の近くからアラーム音が聞こえる。音の出所を探り、携帯を掴んで止めて。薄く開けた目に飛び込んできたのは、いつもと違う部屋だった。自分はなぜここに。そもそもここはどこだ。考えているうちに、少しずつ思い出した。ここは昨日から、高砂が生活するようになった部屋だ。そして今いるこの場所、改め国は、アメリカ。昨日は入国後に手続きをして、荷物を置いてから日用品や食料品を買いに出掛けた。空港で出迎えてくれた牧は、手続きを終えてからも行動を共にしてくれて、部屋に置くと良いものを一通り教えてもらった。それだけではなく、買い物にも着いてきてくれた。さらに荷物まで持ってもらい、流石に申し訳ないと伝えるも、自分がしたいからしているだけだ、の一言で済まされてしまう。意外と頑固なところも懐かしく、結局は頼んでしまった。それから……それから?
「ん? おはよう、もう起きたのか?」
「お、はよう……」
「帰ろうと思ってはいたんだが、鍵がどこにあるか分からなかったんだ。勝手に泊まって悪かったな。今日は休みだったよな。オレは練習があるから一回部屋に戻るが、戸締まりはちゃんとしておけよ? 何も無いに越した事はないが、対策できるならしておいた方がいいからな。じゃ、またな」
「あぁ、気を付けて」
 返事代わりに片手を上げた牧を見送り、高砂は一人になった。……一人になった? 昨日は確か……買い物の後には高砂の部屋に荷物を運ぶのも手伝ってもらい、買った物を仕舞いながら部屋の配置も確認して、少し早いが夕飯にした。学生時代の話や互いの近況、放送中のテレビ番組を見ながら雑談もした。買ったばかりの食器類も片付けて、同時に適度な疲労から来る睡魔に襲われ、眠った。その際に牧にベッドに行くよう促され、牧は……どこで眠ったんだ? ここまで考えてから、漸くベッドから降りた。部屋を見渡しながら歩き、リビングに置かれた備え付けのソファが目に入る。肘掛けに畳まれたタオルケットが置かれており、状況を理解した。
「……嘘だろ……」
 体が資本の仕事をしているというのに、どうして。なぜあの時、牧にベッドを譲らなかったのか。自らに問うたが、脳内の牧も高砂が部屋の主だからとベッドを勧めてきた。それに男二人が同じベッドで寝るなんて、簡単にできる事ではない。先日、日本で行われた試合後に牧と話をしてから、これまで無かった感情が高砂の中に産まれていた。もしかしたらどこかで思っていた事に対し、蓋をし続けていたのかもしれない。それを今になって気付かされた、といったところか。それは一旦置いておいたとしても、頼りにしていた人に頼られる事がどれだけ嬉しいか。来てほしいと言ってくれたからには、応えたい。具体的に何をしたら良いのかはまだ分からないが、それはこれから見付けていくしかないだろう。幸いにも、すぐに会える距離にいる。今は明日の出社に備えて、準備を進めるのが重要だった。
「その前に鍵だったな、そういえば」
 言われた通りに施錠をして、朝食を摂る。今日はアパート周辺の散策や通勤路の確認をして、職場用の鞄を整理するだけで終わりそうな気がした。
 通勤路の確認は予想より早く完了して(職場近くを通るバスがあった)、途中で昼食のサンドイッチを購入し、アパートへの帰り道で公園を見付けた。バスケットコートも併設されており、子供達で賑わっている。その中の一人が着ていたシャツは、牧が所属するチームのユニフォームととてもよく似ていた。きっとファンなのだろう、勝手に推測して誇らしい気持ちになった。帰宅後に、鞄と部屋を整理していると、いつの間にか夕方になっていた。昨日買っておいた食材を使い簡単な炒め物を作り、テレビを見ながら夕食を摂る。見慣れない天気予報によると、明日も晴れるらしい。これからの職場ではどうなるのか、何も予想はできないが、前よりは不安は不思議と少なかった。忘れ物が無いかだけは再度確認をして、早めに就寝すべく行動する。ベッドに入り瞼を閉じると、すんなり眠りに就けた。
 そうして、出社後のミーティングで自己紹介を終えた高砂に任された取引先は、高砂がこれまで属していた五十嵐のチームだった。小川達もこの事を知っていたようで、最初に届いたメールは最後まで日本語で書かれており、緊張が解れた気がした。やり取りを続けていくうちに英語で書かれる部分が増え、一通丸々英語でのメールが届く頃には、高砂も周囲の雰囲気に慣れていた(ちなみに畠田からのメールは未だに全文日本語である)。居酒屋での打ち上げで耳にしていた楠の隣席に配置された事もあり、補助的に通訳をしてもらいながら徐々に他の社員と雑談もするようになっていった。
 そんなある日、気を付けていたはずだったが取引先への送信メールの添付ファイルを間違えてしまった。送信先に含めていた他の社員に素早くカバーしてもらったお陰でどうにかなり、動いてくれた社員へ感謝と謝罪をしようと立ち上がったが、それよりも早くその社員がすぐ後ろに立っており、行動を先読みされていた。
『多分さっきのだろ? 俺もやった事あるし、どうにかなる範囲だから気にするな。それでも気にするんなら、代わりに日本の美味い飯教えてくれ。俺のアドレスはさっきのメールにあるから、そこ宛に送っといてくれよ。それでいいからさ。……って伝えてくれ』
「あー、さっきのは気にしなくていいから、代わりに日本の美味い料理屋を教えてくれってさ」
「あ、はい、ありがとうございます!」
『はいよ』
「……ま、気にするなよ。俺も最初の頃は他の事を気にしてて、ついうっかりとかやってたからなー」
『クスノキは今でもやるだろ』
『げ、まだいたのかよ』
『ははっ、んじゃ戻るわ』
 そう言って自席へと戻って行った。ならばと幾つかピックアップした日本の料理屋をメールで送ると、今度旅行か出張の時に探してみると返信があった。本当にそれだけで良かったらしく、以降掘り返して言われる事も無かった。

 それから二ヶ月が経過した時に、楠と昼食を共にする機会があった。
「そういや、高砂さんの勧めた店、美味かったってよ」
「本当ですか? 良かったです」
「それにしても慣れるの早いなぁ、もう小川達以外にも担当してるんだっけ?」
「はい。……定期的に日本から社員が来ているからか、受け入れの体制が整っていますね」
「お、分かる? 俺もそれは思ったわ。こっちに来るまでの間に、どれだけ言葉が通じねぇって脅されたか……」
「オレもそう思ってました。意外と日本語分かる方も多いんですね」
「そうなんだよ、びっくりしたよな。……あ、試合結果出てるな」
 ちょっと失礼、と言いながら携帯を取り出した楠は、何かを検索している。ほー、ふーんと呟いてから、高砂を見た。
「そういえば小川から聞いたけど、高砂さんって学生時代にバスケ部だったんだって?」
「はい、高校と大学で」
「へー、じゃあ知ってそうだな。俺ここ最近急にバスケにハマってさ、応援してる選手がいて……ほら、知ってるか?」
 言いながら見せられた携帯にはバスケチームのホームページが表示されており、載っていた選手は高砂もよーく知る人物だった。
「……あぁ、牧、ですね」
「おっ、やっぱり知ってる感じ?」
「知ってるというか……高校の同級生です」
「えっ……じゃ、じゃあ前に雑誌に載ってた高砂って……」
「表紙が牧の雑誌なら……多分オレです」
 数秒の間をおいてから、楠の大声が響き渡った。周囲からの注目を浴びたが、なんでもないとジェスチャーで伝えて丸く収める。数秒後、落ち着きを取り戻した楠は途切れ途切れに言葉を発した。
「え、同級、生……? 同じ、学校……? 部活……?」
「まぁ、はい、そうです」
「……高砂さん、いや、高砂先輩。牧選手の、こう、面白い話なんかあったり……」
「先輩は勘弁してください。それと、ノーコメントで……」
「いやぁすまんすまん、そりゃそうだよな。びっくりしてつい聞いちまった」
「いえ、気になる気持ちも分かるので」
「はー、大人の対応だ……本当に高砂先輩って呼んでいい?」
「いや、流石にそれは……っと、すみません、今日はこれから会議が……」
「なにっ、もうそんな時間か? じゃあ俺も戻ろうかな。午後も気楽にやろうぜ、良かったらまた飯行こうな」
「はい、ありがとうございます」
 楠と別れ、オフィスで会議に使うものを揃えて会議室へ向かう。これまでは楠と共に参加していた会議にも、一人で招集されるようになった。慣れるまで苦労しつつも、思ったよりは順調で。しかし悩みの種は、また他にあった。

 時は遡り一ヶ月前。牧から一通のメールが入った。内容は、渡米時の荷物の中にバッシュはあるのかどうかという事だった。本当は持ってこようと思ってはいたが、実家の自室で確認してみると、記憶の中の状態よりも傷んでしまっており、諦めるしかなかったのだ。それをそのまま入力し、返信をしたら電話が掛かってきた。
「急にどうしたんだ?」
『なぁ、次の休みはいつだ? バッシュ買いに行こうぜ』
「……牧のをか?」
『高砂のだよ。このアパートの近くにコートがあるのは知ってるだろ? 久々にワンオンやろうぜ』
「今はもっと上手い選手が周りにいるんじゃねぇか?」
『オレはまたお前とやりてぇんだよ』
「……ブランクだらけの一般人でも良ければ」
『良いに決まってるだろ。こっちの予定は後で送るから、また連絡くれ』
「あぁ、分かった」
 終話後には、自分の買い物に付き合わせて申し訳ない気持ちよりも、また牧とバスケができる機会への嬉しさが勝っていた。買い物だけで終わるかもしれないし、ついでにそのままコートに向かうかもしれない。今日から日課にストレッチを加える事に決めた。
 その翌週には牧行き付けのスポーツショップに行き、丁度良いサイズと好みの履き心地のバッシュに出会い、即座に購入した。今日だけで終わらず何度か吟味するつもりで入店したが、これ程早く入手する事になるとは思わず、店の外で二人で笑みを浮かべる。
「流石、牧が選んだ店だな」
「だろ? ここなら大体はどうにかなるんだよ。あ、そういや数ヶ月前に、この近くにバーガーショップができたって聞いたな……昼メシはどうする? 寄ってくか?」
「そうだな、行ってみるか」
 高砂の返答を受け、牧は店までの行き方を検索する。店名までは正確に聞いていなかったらしく、牧の携帯の画面を見ながら右に左に進んだり引き返したりした。ようやく辿り着き、数あるメニューの中から牧が注文したものと同じ内容で注文した。
「同じのにしたのか?」
「メニューが思ったより多くて、悩んじまいそうだったからな」
「ふむ、オレのと一緒に注文すればよかったか」
「そこまでしてくれなくて大丈夫だ。……お、美味いなこれ」
「本当だな……ニックに言っておくか」
「そういや、職場の先輩が最近バスケにハマったって言っててよ。牧のファンなんだと」
「む、そうか。なら、もっと頑張らねぇとな」
 そう笑う牧を見ていたら、何かが胸元を過った気がした。バーガーが喉に詰まるだとかもう満腹だとか、そういった物理的なものでは無くて。形容し難いモヤがかかっているような、どうにもスッキリしない感覚だ。だが今は考えるのはやめた。互いに身近で起きた出来事を話していたら、いつの間にか完食していた。その後またバスに乗り、アパートへと向かう。この日はこれで解散となった。
 その二週間後、今日こそワンオンをとコートに向かっていた時の事だった。
「そういえばこの間買ってから家でも試しに履いてみたが、問題無く使えそうだ」
「そうか、良かった……ん? 子供の声がするぞ」
「コートを使ってるんだろ、ここに来たばかりの時にも見かけたような……」
「そうか……普段この時間帯は練習に行ってたから知らなかったな」
「……場所、変えるか? それか別の日でも構わねぇが」
「…………悪ぃな、また次の予定が出たら、」
『あれ? シンがいる!』
 牧の言葉の続きは、少年の声に掻き消された。周囲を見渡すと少年と目が合った。前回も見かけた覚えがあり、今日もまた、牧のチームのユニフォームに似たシャツを着ている。次の案を出すよりも早く、少年達に囲まれてしまった。
『シン! 今日は練習無いの?』
『どうしてここにいるの?』
『ねぇ! このシャツ見て! シンのチームのだよ!』
『お兄さんはだぁれ? シンのお友達?』
 少年達は口々に牧へ話し掛ける。返事をしようにも、その前に他の子が口を開く。高砂も話し掛けられ、勢いにたじろぐ事しかできなかった。
『あー、そうだな。この人はオレの友達だ。君達はここで練習してるのか?』
『そうだよ!』
『シンもここで練習してるの?』
『オレは今日はお休みだ。だからここで会った事は内緒に……』
『いいよ! バスケしてくれたらね!』
 真っ直ぐな笑顔で出された交換条件に、牧は少し考えているようだ。それから高砂に、タイマーで十分測るように伝えた。
「分かった。……大丈夫か?」
「あぁ、そのくらいなら問題無い。一応チームとしての規則があってな。頼むぞ」
 高砂は返事をして、少年達の輪から外れる。携帯のタイマー機能を設定してから顔を上げると、牧と目が合った。十分間のミニ講座が始まるようだ。近くのベンチに腰掛けてその様子を見ていたら、隣に少女が座った。高砂と同じ目線の動き方をする彼女は、牧のチームのユニフォームのシャツを着た少年を見ているらしい。
『ねぇ、お兄さんはシンのファン? それともお友達?』
 何か話し掛けた方が良いだろうかと悩む高砂が結論を出す前に、少女に声を掛けられる。どちらも正しいが、先程の牧の回答に合わせる事にした。
『そうだな、牧……シンの友達だ』
『そうなんだ。ね、やっぱりシンって格好良いの?』
『オレは……シンを尊敬している。練習も頑張ってるし、試合でも活躍してるからな』
『ふーん、やっぱり格好良いんだ』
『……あぁ、そうだな。それがどうかしたのか?』
 問いに自分なりに考えてみたが、少女の想像する【格好良い】の枠の中の回答だったようだ。しかし、少女の表情は晴れない。この話は、牧が関係しているのだろうか。
『……えっと、みんなには内緒にしてくれる?』
『それは構わないが……言いづらい事なのか?』
『うーん……そうじゃないんだけど……あのね、私ね、好きな子がいるの』
 今日はシンのチームのシャツを着てるんだけど……と少女は続ける。まさか切り出されるのが恋バナだとは思わず、高砂はこっそり身構えた。
『前は野球とかサッカーとかが好きだったから、私もパパにルールを教えてもらって、一緒にお話できてたのよ? でも、パパはバスケは詳しく分からないって言ってて、私は見てるだけになっちゃったの』
 溜息をつく少女に、掛けるべき言葉はすぐには浮かばない。そもそも話を聞いてほしいだけなのか、アドバイスがほしいのかすら分からないのだから、浮かぶはずもなかった。
『今までできた事ができなくなるのは、寂しいよな』
『そう、そうなの! なんだか急に遠くに行っちゃったみたいで……周りの子に言っても、そんな事ないよって、気の所為だよって言われて……私がおかしいのかなぁ』
『それは……そこまで気にしなくていいと思うが……。それにそういった感覚は、本人にしか分からないものだろう。周りから言われた事で焦る気持ちも分かるが、ゆっくり考えてみてもいいんじゃないか?』
 牧がそうだ。高校時代には同じ部室で、同じ体育館で、同じコートで過ごしたはずなのに。たった数年会わなかっただけで、遠い人のように思っている自分がいた。けれど、牧と再会した時には、そんな雰囲気は微塵も感じられなかった。自分だけが、複雑に考えていたのかもしれない。そんな感情もあった。
『ゆっくり考える、か……。そうね、私の思いは私だけのものだもの。大事にしなくっちゃ。ふふっ、お話聞いてくれてありがとう』
『どういたしまして。悪いな、勝手に喋っちまって』
『気にしないで! それより、お兄さんも何か悩んでるの?』
『えっ……あー……』
『無理に言わなくてもいいわ! ただ、納得できる答えがすぐに出てきたから、同じような事で悩んでるのかなーって思っただけ! あっ、もう時間ね……じゃあ、はい! お兄さんも、ゆっくり考えること! 約束ね!』
 十分経過を知らせるアラームが鳴る中で、少女は高砂に小指を向ける。屈託の無い笑顔を曇らせる事はできず、高砂もそっと小指を絡めた。そのまま上下に数回振って、少女は帰っていった。アラームが鳴った事を牧に知らせる為にコートへ向かって大きく手を振り、気付いた牧は少年達と言葉を交わしてから戻ってきた。少年達は引き続きコートを使用するようで、牧が荷物を纏めていた時に牧の携帯にチームに関するミーティングが急遽決定した連絡が入った為に、この日は解散となった。

 そうして、現在。高砂の携帯へとまたメールが届く。差出人は牧であり、未だに行えていないワンオンワンの約束の為に自らの予定を知らせるものだった。
「ゆっくり考える、か……」
 時折、少女との会話を思い出しては、高砂も頭を悩ませていた。勿論、牧についてだ。アメリカに来てから、出会う人皆牧を知っているかのような感覚がある。高校時代から有名ではあったが、規模が違う。雑誌やグッズも出ていて、購入する人がいる。自分もそのうちの一人であり、喜ばしい事である。そのはずなのだが、何かがどこかで引っ掛かっている気がして。特に、バーガーショップで楠の話をした時だ。応援してくれている事に対し、応えたいと思う。当然の反応だと分かってはいるが……その場で話しているのは自分なのに、他の誰かを思って浮かべる笑顔に対し、嫉妬でもしていたのだろうか。その二文字にまさか、とは思うが、当時の感情に一番近い気がした。だが、同時にもうあの頃とは違うのだから、嫉妬するような間柄ではないのだ、といった思いもある。自分の感情は自分だけのもの。少女へと向けた言葉が、自らに刺さる。色々と言い訳を並べはしたが、結局は【嫉妬】に落ち着くのかもしれない。隣にいてほしい。本人から直接向けられた言葉だったが、それだけでは足りないとでもいうのだろうか。そもそも楠の話題は自分から切り出したクセにと一人苦笑した後、予定を確認して返信を終える。隣にいる以上の事、とは。浮かんだ関係の名前に軽く頭を振っても消えないのならば、認めるしかない。しかし、意外とすんなり納得する自分もいて。あの日、神奈川の帝王として名を馳せていた牧の脆さに微かに触れた。それだけで理由は十分だった。……牧も同じ考えに至っていれば嬉しいが、そうでなくても自分の感情として、牧の活躍の妨げにならないように想い続けるのも悪くないと考え直した。

 一週間後。ドアの近くで待っていると、牧が出てきた。待ち合わせ時間の二分前だ。
「うおっ……悪ぃ、待たせたか?」
「待ってねぇよ、ちょうど今出たところだ」
「今日の仕事は休みにしたって聞いたが、本当に大丈夫なのか……?」
「あぁ、今月最初に休日出勤があったからな。その分は同じ月で休みを取るように言われてて、ちょうどよかったんだ」
「そうか……それに今の時間帯なら、子供達は学校に行ってるからコートも空いてるってことか」
「だと良いがな。それより、牧の方こそ大丈夫だったのか?」
「こっちは途中加入の選手の取材やら写真撮影やらで、練習場を使うようになっていてな。寧ろ鈍っちまうから、オレも体を動かしたかったんだ」
「……オレだと力不足だろ」
「そんな事ねぇよ。お、コートは……空いてるな。準備運動はしっかりやれよ」
 高砂にとっては久々のバスケとなる。折角の機会に怪我をする訳にはいかない。言われた通り、入念に準備運動を行ってから、バッシュに履き替えた。ボールの感触がとても懐かしい。ゴールを背にした牧と目が合い、数年振りのワンオンが始まった。
 牧の十回目のゴールと同時に、高砂はコートへ座り込んだ。転がるボールを拾った牧は、息一つ乱していない。
「て、手加減無しかよ……」
「して欲しかったのか?」
「……そうじゃねぇよ。ありがとな、本気でやってくれて」
「ブランクがどうとか言ってたが、動きは悪くないぞ。それに……懐かしいな、ゴール下にいる姿を見ると……やっぱり、安心するんだ」
「……オレが、か?」
「おう。……おかしいだろ?」
 そう続ける牧に、上手く返事ができずにいると、コートの外から声を掛けられた。
『あ? シンじゃねぇか、なんで今日もバスケやってんだよ』
『ニック、それにアルフレッドとケビンも……どうしたんだよ』
『ニックのナンパの付き添いだ』
『アルフレッド! お前、嘘言うなって! お前の冗談は冗談に聞こえねぇんだよ!』
『えっと……もしかしてシンが言ってた友達……?』
 三人のうちの一人が高砂を見る。確か……ケビン。数ヶ月前に日本で行われた試合に出ていたはずだ。その近くにいる二人も試合で見かけた選手であり、途端に部外者のような気分になってくる。
『あぁ、高砂だ』
『おお! シンが表紙だった時の雑誌に載ってたタカサゴか!』
『ぐっ…………そうだ』
「……おい、牧、オレってここにいて大丈夫なのか……?」
「は? なんでだよ」
「なんでって……いねぇ方がいいんじゃねぇのか? 今日はこのまま解散でも……」
 有名な顔触れが並ぶ中に、自分がいる方が違和感に思えてしまう。今の牧の近くにいるべきは、きっと彼らだ。
「そんな事する必要ねぇって」
「だが……」
『あー、話してる所悪ぃな。時間があるなら、ケビンがタカサゴサンに聞きたい事があるって言ってるんだが』
「え、オレ……?」
『シンはその間暇になるだろ? 代わりに……ニックを置いていこう』
『俺かよ』
『オレは、構わねぇが……』
『構えよ』
 牧はちらりと高砂を見る。その目には心配が映っているように見えたが、大丈夫だと伝えるように一度だけ頷いた。
『オレで良ければ』
『お、じゃあこっちまで一回来てもらって……ケビン、ボール……はもう持ってたな』
「オネガィシマス」
「あっ、はい、こちらこそ」
 三人が反対側のコートへと移動するのを見ていた牧の足元に、ボールが転がってくる。拾い上げようと下げた視界に、シューズの爪先が映った。
『心配か?』
『……いや、大丈夫だ』
『シン……お前相変わらず嘘下手だなっと』
『なっ……!』
 動揺して緩んだ牧の手から、ボールだけが叩き落とされ奪われた。反射的に追いかけようとしたが、後一歩のところで届かない。空を切り続けた手は、ネットを揺らすボールに触れることはなかった。
『ど、どうしたんだよいきなり……』
『日本での試合の時に呼んだのって、さっきのタカサゴだろ?』
『……だったらなんだ』
『別になんでもないさ。ただ、あの試合以降なんか……シンの雰囲気が違うんだよ。知り合いがこっちに来るからって言ってたと思うが……それ以上の間柄なんじゃねぇの? これでもPGとして四年連続最優秀選手に選ばれてんだ、視野の広さは舐めんなよ? ま、五年連続はシンに阻まれたけどな』
 ドリブルを再開したニックに対し、牧もディフェンスの構えを取る。しかしニックは一向に攻めてこない。それどころか、ボールをキャッチしてドリブルを止めてしまった。
『なんか……らしくねぇんだよなぁ、ここ最近。何悩んでんだよ』
『らしくないって……何がだよ』
『いやそれを俺が聞いてるんだよ。タカサゴ絡みで気になる事でもあったりしてー……えっ、あったのか?』
 無い、と言えば嘘になる。故に回答を思案した結果、無言故の肯定と取られてしまった。今更訂正しようにも、何を伝えるべきかが決まらず。腹を括るべく長く息を吐いた。
『高砂は、職場で上手くやっているらしい』
『いい事じゃねぇか』
『それで、バスケの話題になって、先輩がオレのファンなんだと』
『選手冥利に尽きるってやつだな』
『あぁ、そうなんだよ。ありがたい事なんだが、なんだか素直に喜べなかったんだ……。あと……ここの公園で、女の子と、指切りを……』
『わぁお』
『……だから言いたくなかったんだ』
 言葉にしたら、自らを折り合いが付けられないような奴だと認めてしまう気がして。ちっぽけなプライドに、ずっと邪魔をされていた。職場の先輩と、何を話したんだ。それに自分が居るのに、他の人の話を。いや、元気でやっているならそれでいい。……嘘だ。高砂の周りの人ではなく、まずは高砂が好きなものを知りたい。
『指切りねぇ……何を約束したのかは聞いたのか?』
『……聞ける訳ねぇだろ』
『あーら強がりシンちゃんだ。直接聞けばいいんじゃね? てか、どのくらいの女の子よ』
『小学生、くらいに見えたが……』
『あぁ、ならそんなに気にしなくていいだろ』
 ニックは話しながら、先程まで持っていたボールを宙へ放っては掴む。数度繰り返されるその動きを、牧も無意識に追っていた。
『俺の親戚の子供が今小学生でよ、友達との間で内緒の話をしたら指切りするのが流行ってるんだと。俺も何回かやったけどよ、夕食のピーマン残しちゃったのをママに内緒にしてとか、テストで良い点取れたら買ってほしいものがあるとか、そんな感じだったな』
『そう、なのか?』
『それに、一回冷静になって考えてみろよ。親戚でもない子供と重大な約束するか? 初めて会った子なんだろ?』
『言われてみれば、そうだが……他人だからこそ言える事もあるだろ』
『そりゃそうかもしれねぇけど……だからそんなに気になるなら聞いてみろって。見た感じ、そんな怒るタイプじゃねぇだろ?』
『……格好悪ぃだろ、こんな、ガキみてぇな意地張っちまって……』
 ニックの手が止まり、自然と牧の目線はニックの顔で止まる。唖然とした表情の後、喉で笑うニックは続けた。
『今更気にするのかよ! 大人のフリして全部納得した気でいるより、全部ぶち撒けちまう方が楽だぞ? それに俺の周りでも、ガキみたいなテンションでいられる二人の方が、結構長続きしてるんだぜ?』
『……そう言うニックは、もう少し大人になった方が』
『だーっ! 余計なお世話だっての!』
 思わず言い返してしまったが、その場で地団駄を踏むニックを見ていると、自然と笑いが込み上げてきた。声を出して笑ったのは、久し振りな気がする。
『しょうがないなぁ、オトナな俺は折れてやるとしますかねぇ。ちゃんとタカサゴと話すんだぞー?』
『あぁ、分かってる。……ありがとな』
『いいって事よ。さーて向こうが終わるまでワンオンしますか』
 幾分か心は落ち着いた。自己の整理の為に、感情を吐き出す事も大事であると……ニックが狙っていたかは不明だが、お陰で高砂と話せそうだ。アルフレッド達の様子はどうだろうかと一瞥してから、再びニックと向き合った。

 一方その頃。高砂はケビンからの質問に一つ一つ答えていた。ボールの出し方、牧の受け取りやすいパス、攻め方の傾向等、記憶を手繰り寄せながら実演もした。途中からはアルフレッドも加わり、より賑やかになっている。
『いつもならこのタイミングでパスを出してるんだけど……』
『走り始める前なら、もう少し遅くてもいいかと』
『最近はなんか、受け取りづらそうで……後から聞いたら別に気にしなくてもいいって言ってたけど、こっちでも何かできないかなって』
『あー……なら、牧……シンも調整してると思うので、もう一度同じ位置でも問題無いと思います。それでも合わなかったら、何かしら言いに来るはずなので……』
『そっか……分かった、ありがとう。じゃあ明日からも続けてみようかな』
『……にしても、シンの事をよく分かってるなぁ、専属マネージャーとかできるんじゃないか?』
『いえいえ、そんな……』
『高校だけが同じ、ねぇ……勿体ねぇな。もし色々あって転職とか考えるなら、いつでも相談乗るからな』
『……気持ちだけもらっておきます』
『そうか。んじゃあ後はあっちがいつ終わるかだな』
 ケビンからの確認を終え、高砂は息を吐いた。現役のプロ選手から何を聞かれるかと思っていたが、牧との呼吸の合わせ方だった。とはいえ高砂が知っているのは高校時代の牧であり、参考になったかは分からないが。
『……ねぇ』
『どうしました?』
『シンとは三年間だけ一緒だったの?』
『えぇ、そうですが……』
『ふぅん……』
 追加で投げられた問に答えたが、納得していなさそうな反応だ。牧から何か聞いていて、それと異なっているのだろうか。だが、高砂の答えも事実である。
『ケビン……何を言いたいのか纏まってないな?』
『うん』
『潔いな。まぁなんとなく分かるけどな。もっと付き合いが長いと思ってたんだろ』
『うん。なんか……数ヶ月前からシンの調子が良くて、どうしてかなって』
『そうなんですか?』
『あぁ。それにタカサゴサンが来ただろう時期から、シンの雰囲気がちょっと丸くなったんだ。……ちょっとだけだけどな? チームに加わったばかりの頃は、負けないようにってのもあったと思うが、かなり気を張ってたみたいで……表面上は穏やかだけど、内心はどうだか、って感じだったんだよ。新しい場所だから、余計にそうだったのかもな。ま、本人のいないところで勝手にする話でもねぇか』
 数年前を懐かしむような表情で、アルフレッドは語った。そのまま牧についての話が始まるかと思ったが、そうではなさそうだ。
『まぁでも、アレだ。タカサゴサンがこっちに来てから、シンの調子が良いのは確かだ。俺達以外にもそう言ってる奴はいるしな』
『うん。さっきのワンオン見てたけど、シン、凄く楽しそうだった』
『……見てたんですね』
 今では素人同然の動きとなってしまっていただろう。相手が牧なら尚更だ。仕方ない事だが、少しばかり羞恥を覚える。無意味だと分かっていながら、口元を手で覆った。
『そんな顔すんなって。寧ろ羨ましいくらいだ』
『うん』
『俺達も空いた時間にワンオンする時はあるが、さっきみたいなシンを見たのは初めてなんだよ』
『うん』
『タカサゴサンは、たった三年間の付き合いだからって思ってるかもしれないが……勝手に線を引いて、遠くへ行こうとしないでやってほしいんだ。きっと、シンが素の自分でいられる貴重な相手だろうから』
『うん』
『……ケビン、さっきからうんしか言ってねぇな?』
『アルフレッドは喋るの上手いから』
『……そういや試合後のインタビューっていつも俺の近くにいるよなぁ……次の試合は一人で受けろよ?』
『えっ、待ってよ』
『ふっ……あ、すみません、つい』
 先程までアルフレッドの言葉に聞き入っていたが、急に繰り広げられた光景につい吹き出してしまった。リーダーを務めるような選手は、考え方や感覚が違うのだろう……と思っていた途端、雰囲気ががらりと変わる台詞が飛び出してきて。矢張り遠くなってしまったと感じていたのは、自分だけだったのかもしれない。
『周りから見てると面白いだろ? 意外とコート出るとこんなモンなんだよ、俺達も。……さて、そろそろ戻るか。今日は本当はニックのプロテインの粉を買いに来たんだよ。店頭でしか扱ってないんだとさ』
『通販で手に入る味も試したんだけど、合わなかったんだって』
『そうなんですね、お気を付けて』
『ん、サンキュー。邪魔して悪かったな』
「アリガトゴザィマス」
「いえ、どういたしまして」
 ぺこりとお辞儀をするケビンに対し、同じようにお辞儀を返した。高砂へ軽く手を振ったアルフレッドは、未だに白熱している二人へと声を掛ける。
『ニック! お前のプロテインがどうなってもいいのか!』
『いっけね! じゃあなシン、また明日な』
『おう、またな』
 ニックはドリブルを始めようとしていた手をぴたりと止め、素早く荷物を纏めて二人に合流する。それから高砂へ大きく腕を振り、高砂もそれに小さく手を振り応えた。
 三人を見送って、再び牧と二人になった。
「盛り上がってたな」
「あぁ、ニックとのワンオンはここ最近やってなかったからな……」
 バッグからタオルを取り出しコートに座り込んで汗を拭う牧は、何かを考えているようだった。もしかしたら、もう少ししたら子供達が学校を終える時間なのだろうか。
「そうだ……牧、時間は、」
「た、高砂!」
「……どうした?」
「その、覚えていたらでいいんだが……前にここのコートで子供達に会った時、女の子と指切りしてただろ? あれは……何の約束だったんだ?」
 言いながら、牧の目線は高砂と合ったり地面に落ちたり、ゆっくり左右に動いてから、再び高砂を映した。ここのコートでの女の子との指切り。牧によるミニ講座が行われていた時に、見ていた女の子とのものだとすぐに合点がいった。……牧に見られていたとは思わなかったが。あの子は結局どうなったのだろうか。
「約束……あぁ、そういえば……」
「……言えないような事か?」
「そうじゃねぇよ。ただ、誰にも言わないってのも込みでの約束だったから、どこなら話せるかと思って……」
 隣に座り高砂が思考を巡らせている間も、牧は落ち着かない様子だった。早く答えを出したいが、内緒にしたい部分を触れないように話さなければならない。近くに少女はいない為に、そこまで気にする必要はないだろうが、できれば少女側の約束は伏せておきたかった。
「そうだな……自分の思いは自分だけのものだから、お互い大事にしようって話を……」
「……そんな話をしていたのか……?」
「まぁ……そうなるな……?」
「そ、そうか……なら良かった」
「ん? 良かった?」
 予想外の反応に、思わず牧を見た。何かが解消されたような表情だが、高砂にとっては何がなんだか分からない。そのまま見続けていると、牧は気不味そうに言葉を発した。
「あ……いや、指切りの場面しか見てなかったからな。その子と意気投合して、その……いい感じになったのかと思っちまったんだ。違うならいいんだ」
「いい感じって……流石に初対面の子供とそういった話はしねぇぞ?」
「まぁ……そうだよな。そうなんだが……」
 口では理解していそうだが、何かをごにょごにょと呟いている。全てを話せば牧の中の蟠りも解決できるのかもしれないが、可能ならば避けたかった。代わりに伝えられるのは、その約束を経た高砂の考えだけだ。
「その子にも関わる部分は詳しく言えないが……約束をした後で、オレももう一度考えてみたんだ。牧から、隣にいてほしいって言われて、どう思ったか、とか、色々」
「……聞いても、いいか?」
 控えめに尋ねる牧に、一つ頷いてみせる。本当は伝える気はなかったが、これまでの牧の様子で確信を持てた。多分これは、直接伝えても問題無い事だ。
「前に、日本で試合があった時にも話したかもしれないが……大学も卒業して、プロの世界に飛び込んだ牧は、もう遠くの人になっちまったと思ってたんだ。高校時代、同じコートに立っていたあの頃とはもう違うんだと。だから連絡もできなかったし、しても困らせるだけだと思ってた」
「……そんな事ねぇって」
「その時は本当にそう思ってたんだ。それに、牧に憧れてるんだと、ずっと勘違いしてたのかもしれねぇな。だからこそ、強く残って、離れねぇって。……けど、違った。牧に言われて気付いたのに、その後も気付かねぇフリで通そうとしてたみたいだ」
 核心に少しずつ迫るような話し方になってしまうが、いざ話しながら考えているとどうしてもそうなってしまって。一つ一つ順を追っていき、最後に伝えたい事だけが残った。何かが終わるかもしれないし、何かが始まるかもしれない。どんな結末を迎えても、構わなかった。
「プロ選手の牧も、高校時代の牧も、隣に住んでる牧も。全部好きだ。……気付くのが遅くなって悪かった。これからも、近くにいてもいいか?」
「……当たり前だ。ありがとな、言葉にしてくれて。それから、その、なんだ……」
 高砂の答えを受けた牧は、苦笑しつつぽつぽつと零した。歯切れの悪さは彼らしくないが、きちんと考えながら言葉を選んでいる事からくるものだとすぐに分かった。
「あの日、指切りしてる所を見ちまって……高砂を誰にも取られたくねぇって気付いたんだ。隣にいるだけじゃ、伝わらねぇって。……オレも、高砂が好きだ。同級生とか、友達だからとかじゃねぇ。日本での試合の後に話してた時は、まだオレの中でもハッキリ分かってなかったんだ。だが、この間バーガー屋で、高砂の職場の先輩がオレを応援してくれてるって教えてくれたよな。あの時、選手としてはありがたかったんだが……オレとしては、先輩の事よりも前に、お前の好きなものを知りたかった」
「……確かに近況は話したが、そういった話は今までしてなかったな」
「だろ? 好きな食べ物だとか休みの日に行きたい場所だとか、まだ知らねぇ事ばっかりだって思ったんだ。あ、なぁ、バーガー屋はどうだった?」
「美味かったな」
「よしっ、また行こうぜ」
 次の約束が決まり、詳細はまた帰宅後にとなったと同時に、牧は何かを思い付いた顔をした。座ったままで高砂と向き合い、両腕を広げるようにと伝える。牧が納得する角度になるまで、閉じたり開いたりを繰り返した。その直後。
「とうっ」
「ぐっ……お、重……」
「ははっ! どうだ、こっちに来てからトレーニングにも力入れてんだ。効果は出てるみたいだな」
「……あぁ、頑張ってるんだな」
 高砂の胸元に向かって飛び込んできた牧を、受け止め切れずに倒れ込んだ。それでも構わず、嬉しそうに目を細める牧の髪が喉元を擽る。両手を回した彼の背中は、離れるのが惜しい程温かかった。
5/5ページ
スキ