銀河の果てより、貴方へ。
「聞いてねーっすよ、こんなの」
「……すまん。だがオレもだ」
二月十四日。世間はバレンタインデーだ。多数のチョコレートを受け取った二人が、喫茶店で集合し、仙道から牧へと投げかけられた言葉であった。
「牧さん去年まで全然貰ってなかったって言ってたじゃないすか」
「あぁ。貰っても人伝てだったが……」
「なんで今年は両手一杯に……あ、髪型変えたからすか?」
「知らん。が……確かに去年と違うのはそのくらいか……? まぁ、何にせよ応援してくれるのは有り難いな」
仙道は納得していない様子ではあったが、仙道自身の両手に持っているものを見てから言ってほしい。目の前のこの男は、恐らく去年もその前もかなりの数を貰っている筈だ。
「仙道も沢山貰ったんじゃないのか?」
「そーっすけど……」
「何だ、不満か?」
「不満……すね。本命から貰えなさそうだし」
言いながらこちらを向く仙道と、目が合った。何かを言いたそうな目をしているが、そのまま逸らしてしまう。
「それなら来月貰おうかなって事で。はい牧さん、ハッピーバレンタイン」
「……オレにか?」
「あ、買ったやつだから安心して食べてね」
足元に置いていた鞄から、取り出した紙袋を渡してきた。中の箱は、紫色の包装紙で覆われている。
「……わざわざ買ってきたのか?」
「そっすよ。すっげぇ混んでてびっくり」
「そうか……お前が、わざわざ……」
「ちょっと、なんか照れるからやめて……」
ほんの少しだけ揶揄ってしまったが、あまり続けて紙袋ごと手を引っ込められてしまっては良くない。程々にして、受け取る事にした。
「悪かった。ありがとな」
「いーえ。……牧さん、あのさ」
「どうした?」
辺りを数回見回してから、仙道が顔を近付けてくる。軽く手招きをされ、牧もそれに倣った。耳元で囁かれる。
「色々考えたんすけど、オレ、やっぱり牧さんの【特別】になりたいみたい」
「みたいって……他人事かよ」
「だよね、オレもそう思う。だからさ、来月……返事を貰っても良いですか?」
真っ直ぐ、芯の通った目で牧を見て伺う仙道。来月なんて言わずとも、既に答えは決まっていた。
「……先延ばしにする必要なんてねぇ。もうなってんだよ、いつの間にか、な」
「……すまん。だがオレもだ」
二月十四日。世間はバレンタインデーだ。多数のチョコレートを受け取った二人が、喫茶店で集合し、仙道から牧へと投げかけられた言葉であった。
「牧さん去年まで全然貰ってなかったって言ってたじゃないすか」
「あぁ。貰っても人伝てだったが……」
「なんで今年は両手一杯に……あ、髪型変えたからすか?」
「知らん。が……確かに去年と違うのはそのくらいか……? まぁ、何にせよ応援してくれるのは有り難いな」
仙道は納得していない様子ではあったが、仙道自身の両手に持っているものを見てから言ってほしい。目の前のこの男は、恐らく去年もその前もかなりの数を貰っている筈だ。
「仙道も沢山貰ったんじゃないのか?」
「そーっすけど……」
「何だ、不満か?」
「不満……すね。本命から貰えなさそうだし」
言いながらこちらを向く仙道と、目が合った。何かを言いたそうな目をしているが、そのまま逸らしてしまう。
「それなら来月貰おうかなって事で。はい牧さん、ハッピーバレンタイン」
「……オレにか?」
「あ、買ったやつだから安心して食べてね」
足元に置いていた鞄から、取り出した紙袋を渡してきた。中の箱は、紫色の包装紙で覆われている。
「……わざわざ買ってきたのか?」
「そっすよ。すっげぇ混んでてびっくり」
「そうか……お前が、わざわざ……」
「ちょっと、なんか照れるからやめて……」
ほんの少しだけ揶揄ってしまったが、あまり続けて紙袋ごと手を引っ込められてしまっては良くない。程々にして、受け取る事にした。
「悪かった。ありがとな」
「いーえ。……牧さん、あのさ」
「どうした?」
辺りを数回見回してから、仙道が顔を近付けてくる。軽く手招きをされ、牧もそれに倣った。耳元で囁かれる。
「色々考えたんすけど、オレ、やっぱり牧さんの【特別】になりたいみたい」
「みたいって……他人事かよ」
「だよね、オレもそう思う。だからさ、来月……返事を貰っても良いですか?」
真っ直ぐ、芯の通った目で牧を見て伺う仙道。来月なんて言わずとも、既に答えは決まっていた。
「……先延ばしにする必要なんてねぇ。もうなってんだよ、いつの間にか、な」
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