オーバーラップ
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苗字はタバコを吸うようになった。俺の影響、と言っていいのかはわからない。少なくとも、喜べなかった。染めるならもっと似合う色があるのに。そう思った。
緩慢と、痛みを忘れるように絶え間なく煙を吸い込んでは吐いた。白い煙の向こうにいる園田は俺の視線に気づいてタバコを口から離してははなしてはにかんだ。白かった歯に、やにがつき黄色くなっていた。苗字ははにかみ、結局どうしていいかわからず、目を逸らしてまたタバコを吸った。つけっぱなしのテレビと白い煙が俺たちの空白を埋め立てていた。そして園田の中にある空白は今もまだ埋めようが無いことを俺は知っていた。
俺たちはこの狭いワンルームで死んでいくんだろうな、という予感がニコチンを取り込んだ頭に充満していた。タバコのように短い人生をゆっくりとゆっくりと遠回りな自殺を繰り返した。愛を確かめ合う代わりに俺たちは俺たちは寿命を削りあっている。あまりにも自然に、俺たちは曖昧な死の領域に親指から沈み込んでいく。
苗字は大学に行くのも相談所に来るのもやめてしまった。俺の部屋に入り浸るようになり、相談所にも体調不良を理由に来なくなった。モブと芹沢は心配しているが、適当に誤魔化していた。それももう限界だろう、二人はもう大人の階段に足をかけている。
園田は俺の部屋で何をするかというと、薄っぺらい笑みを浮かべ何かに追い立てられるようにセックスをした。園田は軽い笑い声を立てながら俺の熱を受け取る。俺たちの行為はただ性器を使ってそこにお互いがいること確認するだけの作業のようだった。その地続きに快楽があって、そこに至ったらただ降りていくだけだった。快楽というのはいつもそういうもので、苦痛も喜びもそこにはなくあるのは達成感のようなものだった。その達成感もきっとひとつの美しいものを磨けた時のように身のあるものでは無いと思う。ただ愛情や自分を確認するのに性行為に同意するのが、お互い1番手っ取り早いからそうしているのであった。
俺はよく見るとグロテスクな自分の臓物を苗字の中から引き出して、自分と園田の後処理をするとタバコを吸った。初めてタバコを吸いたいと園田が言ったのもベッドの上だった。2回目のセックスの後だった。
「私にも吸わせてください」
「百害あって一理なしだぞ」
「副流煙の方が危険なんですよ。私を危険に晒しておいて今更です」
俺はわかったわかったという代わりに自分が吸っていたものを口を開くように言って咥えさせた。苗字はむせることもなく手慣れたようにタバコを呑んでいた。
「なんだ、吸ったことあるのか」
「いえ初めてです」
「それにしてはうまいな」
「ずっと見てたから」
ドクンと胸が跳ねた。その視点の先に俺はおらず、どこか遠くを眺めていたからすぐに気づいた。エクボのことだ。ツメの守衛だった男の体をエクボは好き勝手扱って戦ったりタバコを吸ったりして貸主の事お構いなく寿命を縮めていた。手持ち無沙汰になると俺のタバコを一本抜いて実に美味そうに呑んだ。
緩慢と、痛みを忘れるように絶え間なく煙を吸い込んでは吐いた。白い煙の向こうにいる園田は俺の視線に気づいてタバコを口から離してははなしてはにかんだ。白かった歯に、やにがつき黄色くなっていた。苗字ははにかみ、結局どうしていいかわからず、目を逸らしてまたタバコを吸った。つけっぱなしのテレビと白い煙が俺たちの空白を埋め立てていた。そして園田の中にある空白は今もまだ埋めようが無いことを俺は知っていた。
俺たちはこの狭いワンルームで死んでいくんだろうな、という予感がニコチンを取り込んだ頭に充満していた。タバコのように短い人生をゆっくりとゆっくりと遠回りな自殺を繰り返した。愛を確かめ合う代わりに俺たちは俺たちは寿命を削りあっている。あまりにも自然に、俺たちは曖昧な死の領域に親指から沈み込んでいく。
苗字は大学に行くのも相談所に来るのもやめてしまった。俺の部屋に入り浸るようになり、相談所にも体調不良を理由に来なくなった。モブと芹沢は心配しているが、適当に誤魔化していた。それももう限界だろう、二人はもう大人の階段に足をかけている。
園田は俺の部屋で何をするかというと、薄っぺらい笑みを浮かべ何かに追い立てられるようにセックスをした。園田は軽い笑い声を立てながら俺の熱を受け取る。俺たちの行為はただ性器を使ってそこにお互いがいること確認するだけの作業のようだった。その地続きに快楽があって、そこに至ったらただ降りていくだけだった。快楽というのはいつもそういうもので、苦痛も喜びもそこにはなくあるのは達成感のようなものだった。その達成感もきっとひとつの美しいものを磨けた時のように身のあるものでは無いと思う。ただ愛情や自分を確認するのに性行為に同意するのが、お互い1番手っ取り早いからそうしているのであった。
俺はよく見るとグロテスクな自分の臓物を苗字の中から引き出して、自分と園田の後処理をするとタバコを吸った。初めてタバコを吸いたいと園田が言ったのもベッドの上だった。2回目のセックスの後だった。
「私にも吸わせてください」
「百害あって一理なしだぞ」
「副流煙の方が危険なんですよ。私を危険に晒しておいて今更です」
俺はわかったわかったという代わりに自分が吸っていたものを口を開くように言って咥えさせた。苗字はむせることもなく手慣れたようにタバコを呑んでいた。
「なんだ、吸ったことあるのか」
「いえ初めてです」
「それにしてはうまいな」
「ずっと見てたから」
ドクンと胸が跳ねた。その視点の先に俺はおらず、どこか遠くを眺めていたからすぐに気づいた。エクボのことだ。ツメの守衛だった男の体をエクボは好き勝手扱って戦ったりタバコを吸ったりして貸主の事お構いなく寿命を縮めていた。手持ち無沙汰になると俺のタバコを一本抜いて実に美味そうに呑んだ。
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