FFI編
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ゆう side
一回戦の相手、強豪・オーストラリア代表のビッグウェイブスに決まった……のは良いものの久遠監督により一回戦が始まる2日間練習禁止、合宿所から出るなと命令が下された。
皆各々、不安や不満を募らせている。
鬼道や円堂達が監督に異議を申し立て返り討ちにあったり、虎丸や飛鷹みたいに訳があるのか抜けるのを許可することもあった。
私も監督の意図は分からない。
練習禁止なんて頭が可笑しくなったのかと思ったが、日本が負ける為に用意された監督ではない…と直感だけどそう思う。
きっと、彼等自身で考えさせたい何かがあるのだろう。
私が洗濯物を取り込もうと廊下を歩いていた時、ばったりと不動に出くわす。
不動は嫌そうに顔を顰めてる。私もおそらく同じ顔をしている。
……今回の件、彼の意見も聞いて損はないだろう。そんな事が頭をよぎり、通り過ぎようとする彼に話しかける。
「ねぇ、今回の監督命令どう思う?」
不動は私に声を掛けられるなんて思いもよらなかったのか、少し目を見開きながらぶっきらぼうに答える。
「……何で俺に聞くんだよ」
「アンタはサッカーにおいて超論理的だからかな?だから、監督の意図を汲み取ってると思ってね」
「はっ、何だソレ。……分かってても、お前らに教えてやんねぇよ!俺は今出来る所で練習するだけだ」
そう言い切って不動は自室に戻る道を歩く。
不動の言葉が頭に残る。
あー、そうか。合宿所から出ないで、自室で練習なら監督も止めないのか!
やっぱり、不動はサッカーに対しては誠実な男だ。愛想は砂漠と化しているが。
監督の意図が段々と分かってきた、そしたら次は……。
私は洗濯物を取り込み、畳みながら思考を巡らせる。
自分にできる事、やらなければならない事。
……鬼道のメンタルが心配だ。彼は表立って久遠監督に不信感を募らせている。
彼は総帥の1番だ。様子を伺う必要がある。
私は洗濯物を渡しに行くついでを装い、鬼道の部屋をノックする。
・
・
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no side
コンコン、とノック音が聞こえて鬼道は扉を開く。
「はい、お届け物でーす!」
ゆうはにこやかに洗濯物を鬼道に渡す。
鬼道は懐かしむように、または気恥ずかしさもあるのか照れ臭そうに受け取る。
「ありがとう。……何だか懐かしいやり取りだな」
「そだね。キャラバン乗ってた時はよく渡してたね」
思い出を振り返り鬼道とゆうはお互い顔を合わせ、ははっと笑い合う。
笑い合ったのは束の間、ゆうは鬼道を伺う様に笑いかけながら問う。
「…きどー君、最近ちょっと元気ないよね?大丈夫かなーって」
鬼道は何て言おうか言い淀む。
彼自身も今現状のチームの状況、そして目下監督の事で悩んでいる。
ただそれを無闇に話しても不安を煽ってしまう…そんな思いで話すか話さないか迷っているのだ。
「もし、悩んでる事があったら聞くからさ。きどー君ってあまり人に頼らないでしょ?」
「ふっ、お前は人の事よく見てるな」
「それがマネの仕事でもありますので。…私じゃなくてもさ、その悩みを誰かに打ち明けたら何か得られると思うよ」
「それもそうだな…。なら聞いてもらおうか。立ち話もアレだ、上がってくれ」
そう言うと鬼道は自室へ入ることを促す。
ゆうは「おっじゃましまーす」と言いながら入っていく。
「座る所が無いな…」
鬼道は眉を顰める。少し考え、提案する。
「お前が嫌でなければ、ベッドの上に座ってくれ。俺は床に座る」
「えっ、それは悪いよ!なら、私も床に座るから」
2人は座る座らないで問答を繰り返す。
そんなやり取りに痺れを切らしたゆうは鬼道の腕を掴み、一緒にベッドの上に座る様に誘導する。
鬼道も不意を突かれたのか、すぐに反応出来ずなすがままゆうの隣に座り込む。
ゆうは頬をぷくっと膨らませて軽口を言いながら怒る。
「もー、強情なんだから!隣で話そう?」
鬼道自身も本来ならそこまで拘る必要もなかった事だが——気になる異性、ゆうを自室に入れた事が間違いだった。
招き入れた時は深く考えてなかったが、扉を閉めた時に気付いてしまったのだ。…自室に2人っきりだと。
意識してしまったら、隣にはいられない。そんな考えが過り不毛なやり取りをしてしまっていた。
「分かった!座った!だから、手を離してくれ!」
これ以上恥ずかしいのか、耐えれないと言わんばかりに鬼道は顔を背ける。
ゴーグルをつけているので分かりにくいが頬と耳元が赤らんでいた。ゆうはそれに気付き、ぱっと手を離す。
「っあ……。掴んでごめん。痛くなかった?」
「それは…大丈夫だ。」
鬼道はこの空気を変える為「こほんっ」と咳払いをしてから、自身の悩みを打ち明ける。
チームの事、監督の事を。
鬼道は自身の悩みを打ち明け、一息つく。
ゆうは苦笑いしつつ、鬼道の悩みに同意する様に答える。
「そりゃ悩むよねぇ。私も不思議に思う事、沢山あるもん」
「きっと、皆もこの現状に対して思う所はあると思う。だから、監督に訴えかけてはいたが…」
「久遠監督の口数の少なさは…どうかと思うけど。私は監督が皆を陥れようとしてる訳では無いと思う」
「何故言い切れる?」
「うーん、難しいなぁ。直感ってやつ?監督ってサッカーしてる皆を見てる時凄く目が輝いてるの。今回の監督命令も自分で考え抜いた上で成長して欲しいんだと思う」
「成長…」
「そう!自分で考えて成長する…それが監督の狙いなんじゃないかな?」
その言葉を聞いて鬼道は考える。チームメイトの事、監督の事。
「まあ、私が勝手に思ってる事だから…。きどー君、今回の事はきっと自分の中で完結は出来ないと思う」
次の言葉を出そうと思った時ゆうは少し言い淀む。
一瞬、寂しげな表情をしながら続けて話す。
「だから、仲間達に…えんどー君や豪炎寺君とかに相談してみたら?」
「あぁ…」
鬼道はゆうの一瞬の表情の変化を見逃してはなかった。
それは、キャラバンで一緒にいた時に時々見せていた表情だ。
自分と春奈が話してる時、仲間達を見つめる時、ふとした瞬間に見せていた。消えてしまいそうなくらい…悲しい顔だ。
鬼道の心の傷、それがゆうに共鳴するかの様に惹きつける。
その寂しさをどうにかしたい…そう思った鬼道は無意識にゆうに手を伸ばしていたが、ゆうがバッと鬼道の方に向き直り手を引っ込める。
そんな事は露知らずにゆうは明るく笑顔を取り繕いながら話す。
「兎に角!仲間を頼ってみる事だよ!抱え込みすぎたら、ストレスで禿げちゃうよ??」
「はげっ…、まだ14歳だぞ。そんな事で…」
「あっま〜い!ストレス禿げは歳なんて関係ないんだからね!」
そして、ゆうは鬼道の顔を覗き込む様に微笑みかける。
「だからね…頼って。これでも、心配してるんだぞ?」
上目遣い気味に言われ、鬼道は良い悪いどちらの意味でも心臓の鼓動が速まる。
そんな様子を悟られない様に表情を引き締める。
「分かった、分かった!……なるべく抱え込まない様にする」
「なら、よろしい」
そう言うとゆうは他の仕事を思い出したのか、急いで戻る。
鬼道もゆうからもらった助言を元に、まずは豪炎寺の元へ行くのであった。