エイリア学園/真帝国編
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ゆうside
1人は寂しい。
パパは借金を残し、首を吊って亡くなった。
ママは娼館の路地裏のゴミ溜めで、ネズミに食われながら亡くなった。
あの温かかった家族は、私を置いていった。
私が行き着いた、あの苦しくて悲しいサーカス団は燃えてなくなった。
一緒に働いた意地悪で憎い仲間も、私の事を認めてくれた師匠も私を捨てて、どこかに行ってしまった。
もう誰も…私の事を置いていなないで…捨てないで欲しい。
寒いのは嫌だ、隙間風が入ってくるボロボロの小屋を思い出すから。
側に居てほしい、温めてほしい。
ずっと、ずっと、ずっと手を握っててほしい。
…昔の願い事や自分の生い立ちが嫌と言う程、脳内を駆け巡る。
もう、あの頃に戻るのは嫌だ。居場所が欲しい、必要とされたい、愛されたい。
私の目の前からじろーちゃんが居なくなろうとしてる。
どんどん遠ざかっていく。
…嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だっ!
お願いだから、捨てないで!!ずっと側にいて、1人にしないで!!!
重なる。あの頃私を捨てたあの人達の姿と。
——私が愛した、師匠の姿と。
私は衝動に任せて、じろーちゃんの背中に抱きついた。
鎖の様に重く、彼を逃がさないように。自分に縛り付けるかの様に。
強く、強く、強く、強く———。
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no side
「お願い…捨てないで…さむいよ、側に居て…。」
意識が混濁してるのか、譫言の様にぶつぶつとゆうは呟く。
焦燥感に駆られるが如く、切実に悲痛な声で。
ゆうに引き留められた佐久間は、彼女のその異様な様子に血の気が引く恐ろしさを感じた。
ここで別れたら壊れてしまいそうな…そんな恐ろしさを。
——自分は人としてまだ未熟で…ゆうに相応しい男でもない
この現状に流されてしまいそうな自分が怖い。
そんな思いを抱えていた佐久間だが腹を括り決意をする。
「分かった、側に居る。だから…もう大丈夫だ。」
青ざめた顔で震えるゆうを優しく抱きしめ、佐久間の温もりとゆうの温もりがお互い取り換え合う様に混ざり合う様に伝わっていく。
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佐久間は源田の名前を使い、両親に泊まってくると言い訳をした。
後日源田には菓子折りを持って口裏合わせをお願いしないと、と考えながらゆうに許可を貰いシャワーを浴びる。
シャワーから上がりジャージに着替えて、ベットに寝かせたゆうの顔を見る。
佐久間は眉を顰めながら、神妙な面持ちで静かに呟く。
「お前は、何が怖いんだ…?」
その問いに答える声もなく、静かに眠るゆうだけがいた。
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佐久間 side
俺は静かに眠るゆうの頭をそっと撫でる。
先程の様子は明らかにおかしい、何かに怯えてる様子だった。
過去に一回だけあった、真帝国の時に俺がゆうの手首を掴んだ時。
だが、今回はそれ以上に怯えていた。幼い子供が、震えて泣いてる様な…。
ゆうの過去のトラウマを悲しみを取り除いてあげたいが…自分から聞くのも違うと思う。
こればかりは、彼女がもっと俺に心を開いてくれるのを待つしかない。
もっと俺自身が心が預けられる、頼れる男に変わっていくしかないんだ。
「はぁ、俺も寝るか。」
自分の無力を胸に刻みつつ、洗面所で寝るためゆうの頭から手を引こうとした…その時、腕を掴まれた。
「どこへ行くの?」
ゆうは酷く怯えた表情で俺を見つめる。
「起こしちゃったか…ごめんな。…まあ、洗面所で寝ようかと…。」
一応、俺たちは付き合ってもないし未成年だ。間違いがあってはいけない。
ゆうは更に力を込めて俺の腕を握ってくる。それは、離れて欲しくないと願ってるかの様に。
「……床、硬いよ。」
「それぐらい大丈夫だ。ほら、手を離してくれ。」
それでもゆうの手は離そうとしない。何か言いたそうだが、一向に口を開かない。
少し間が空き、ゆうは俺の顔を見上げて上目遣いで懇願する様に言う。その姿は正に可愛い。
「一緒に…寝よ。」
「へっ!?」
そう言い切ると、グッと力を込めて俺の腕を自分の方へ引っ張り込む。
いきなりの事だったので大勢が崩れて、ゆうの身体を押し倒した様な体勢となってしまった。やばいやばいやばい。
「いや、本当にダメだって!俺達…まだっ、」
俺の諌める言葉が煩わしかったのか、ゆうの手が俺の口を塞ぐ。
反対の手が背中の方へ伸びていき抱き寄せ様とする。
自分の真摯でありたい気持ちと男としての劣情との葛藤だ。
俺がそんな煩悩に塗れて思考がぐるぐるとしていたが、ゆうは泣きそうな顔であった。
「お願い…今日だけだから。側にいて…。」
………そんな怯えた子供の様に、親を求める子供の様に求められてしまったら何も言えない。
今そこにいるのは、14歳のゆうではなく幼少期のゆうかもしれない。
なら、俺に出来ることは…。
「分かった!煮るなり、焼くなりしてくれ!!」
仏の心でゆうの隣にいることだ。その場で仰向けになった。念仏を唱えよう。
俺の言葉を聞いて、ゆうは安心したのか腕を絡ませ安堵の顔で眠りについた。